「異世界からのSOS。参上、ダイハッシャー!」(46)
第46回を公開します。
もっと早く公開出来る予定だったのですが、うまく纏まらず遅くなってしまいました。
待って下さっていた方にはほんとに申し訳ないです。
そんな今回は日常回の締めになってます。
それぞれの決意、楽しんで頂けたら嬉しいです。
(6)
「ブンかムンは居ますか?」
あの激戦の翌日、ストゥーリアがブンの工房を訪れた。
「ストゥーリア様、いらっしゃいっす。
かなり暴れ回ったみたいっすね。」
ブンが苦笑しつつ声を掛けた。
昨日見送った後、ストゥーリアがそこら中の都市を回って鉄騎獣を片付けていた。
とゆうのをブンの工房がある都市の防衛隊長・シペラーコプから聞いていた。
ストゥーリアの猛攻に気付いた鉄騎将が鉄騎獣を撤退させたようだが、かなりの数の鉄騎獣が倒された、らしい。
「ほんの10都市程の鉄騎獣を始末しただけです。
あの頃と比べたら大した事ではないですよ。」
控えめに怖い事をさらっと口にするストゥーリアの顔にうっすら狂気が浮かんでいるように見え、ブンは身震いするのを感じた。
「それで、どうされたんっすか?」
ブンの問い掛けに、
「少し激しく動かし過ぎたようなので、メンテナンスをお願いします。」
ストゥーリアが依頼で答えた。
「わかったっす。
明日には終わってると思うっす。」
「それでムンは?」
「自分の工房で何かやってるみたいっすよ。
呼ぶっすか?」
「お願いします。」
「わかったっす。」
答えたブンはムンの工房との通話ボタンを押して、
「ムン、ストゥーリア様が来てるっす。
頼みがあるそうなので、こっちに来るっす。」
用件を伝えた。
返事はなかったが、程なくムンが姿を現した。
「ストゥーリア様、いらっしゃいませ。
それで、頼みとゆうのは?」
ムンの問い掛けに、
「これのメンテナンスをお願いします。」
頭部武装を差し出しながら、声を掛けた。
「すごく役立ってくれましたが、やはり持続時間が短いです。
何とかなりませんか?」
受け取りながらムンが、
「そう言われると思って、今色々調べてました。
どこまで性能を上げられるかは分かりませんが、改良してみます。」
思いを伝えた。
「よろしくお願いします。
それで、どれくらい時間が必要ですか?」
「出来れば数日頂きたいです。」
「あれだけダメージを与えれば鉄騎将もしばらくは大人しくしているでしょう。
なので私は1度里に戻ります。
何事もなければ5日後に来ます。」
「わかったっす。
それじゃ、預かるっす。」
「わかりました。
出来るだけやってみます。」
「お願いしますね。」
2人に頭を下げ、店を出たストゥーリアは、
「鉄騎将、今度こそあなたを、、。」
ひとり言ちり、空に舞い上がると、エルフの里に向かった。
(7)
商業区画での買い物と昼食を終え、城に戻った ここあ たちは届いていた”オンモイール”での戦闘の記録映像を観ていた。
「やっぱり魔力をかなり無駄に使ってるんだよ。。」
ここあ は自分が戦っている姿を見て、そのあまりのお粗末さに落胆した。
「けれど、実践経験が少ないのにあれだけ戦えるのは凄いですわ。」
アルテェスは ここあ の戦闘を見て、改めて自身との差を思い知らされた。
そして内心、かなり焦っていた。
「ラビちゃんはあの時の事、覚えてるんだよ?」
ここあ に暴走した時の事を尋ねられ、
「あの”まじゅう”がとうやとかあやをころしたのをおもいだしたの。
そしたらからだがあつくなったの。」
その時の事を思い出しながら答えた。
「それからここねえやとごつんってなったの。」
どうやら暴走していた時の記憶はないようだった。
「でも、みててわかったの。
あのちからをちゃんとつかえるようになりたいの。」
戦闘種族であるミラビィーの本能がやるべき事を感じ取っていた。
暴走していた時の力を制御出来れば ここあ やアルテェスと一緒に戦えるのだとゆう事を。
「記録映像、すごく参考になったんだよ。
いろいろ分かって良かったんだよ。」
「あたしもなの。」
「私もこれを観れて良かったですわ。
それで、ここあ は1度トコート邸に戻るのですね。
アニメ?を観る、のでしたわね。」
「そうなんだよ。
アニメには50年前の戦いの全てが描かれてるんだよ。
きっとこれからの戦いの役に立つんだよ。」
「近い内に是非観せてほしいですわ。」
「わかったんだよ。
鉄騎将を倒したら一緒に観るんだよ。」
「約束ですわ。
それでは5日後の朝にこちらに来てほしいのですわ。
その次の日に鉄騎将が来る予定なのですわ。」
「わかったんだよ。
それじゃ、5日後の朝に、なんだよ。」
約束を交わし、ここあ とミラビィーは買ってきた物をハッシャーの無限収納に入れて、城を後にした。
”トコート邸”に戻った ここあ とミラビィーは買ってきたものを片付けて準備を整えると、祖父が書いてアニメ化された”異世界戦記ボアモニ”全100話を2日強掛けて視聴した。
※食事や休憩、入浴等の時間も含めてそれくらい掛かった。
「やっぱり、魔力のコントロールとトコートの必殺技の習得が必要なんだよ。」
鉄騎将と戦うのに必要な事が明確になり、ここあ の目標が決まった。
「あたしはちゃんとおっきくなれるようにするの。」
ミラビィーも目標を決めた。
それぞれが目標を定めた翌日、”修練塔”へと向かった。
(8)
「状況はどうですか?」
アルテェスが作業主任に尋ねた。
「順調です。なんとかギリギリ間に合いそうです。」
作業主任の返答に、
「やはりギリギリ、なのですわね。
こんな時、整備主任が居てくれてたら、、。」
数年前に事故で他界した整備主任・レヤマッチオはムブから色々な事を教わり、この"ディブトレース"を整備する為のノウハウも継承していた。
だが、それを伝える前に亡くなってしまい、ムブも行方知れずで、作業主任では荷が重かった。
それでも何とか間に合いそうだと聞きアルテェスは意を決した。
「状況はわかりましたわ。
ここに私が居ても役に立たないので、しばらく鍛錬部屋に籠もりますわ。
何か問題が起きたら呼ぶのですわ。」
「了解しました。」
アルテェスは作業主任に後を任せ、鍛錬部屋に移動した。
そこは魔法の鍛錬の為の部屋で、今はアルテェス専用になっていた。
「ここあ はかなり先を行っていますわ。
今のままでは実力差が広がってしまうのですわ。」
アルテェスは朝の模擬戦の事を思い出していた。
ストゥーリアは ここあ ですら未熟だと言ったと聞いた。
なら、自分は未熟以下とゆう事になる。
「課題は魔力制御と演舞魔法の強化、ですわ。」
自身の課題を決めたアルテェスは ここあ達が戻ってくる日の朝まで、費やせる全ての時間を鍛練に使った。
こうして鉄騎将が襲来する前日までの日々が過ぎていった。
如何だったでしょうか?
それぞれが決意し、決戦の日に向かいます。
次回から今話の最終章に入ります。
ついに決戦の日がやってきます。
次回は9月4日更新予定。
以降、毎週木曜更新出来るよう調整していこうと思います。
楽しみにして頂けたら嬉しいです。
よろしくお願い致します。




