「異世界からのSOS。参上、ダイハッシャー!」(42)
第42回を公開します。
相変わらずの遅れっぷりで、申し訳ありません。
ちょっと脳内でアルテェスから苦情を言われまして、途中まで書いてたのを大幅に内容変更する事になってしまいまして。。
今回で日常回を終わらせて本筋に戻る予定が、あと3回くらいは続きそうです。
なので、しばらくまったりした日常話を楽しんで頂けたらと思います。
(2)
「ここあ ちゃん、久しぶりね~。」
食堂に入った ここあ に突然、美しい女性がハグしてきた。
「えっと、あの、、。」
突然の事態を把握出来ず、戸惑っている ここあ を解放し、
「あら、私の事、覚えてないのかしら?」
小首をかしげ、思案顔を見せる女性をまじまじと見た ここあ は、
「ああっ!?アルテのお母さん、なんだよ。」
思いだし、驚きの声を上げてしまった。
女王は満面の笑顔で、
「覚えてくれてたのね。
良かったわ~。
ここあ ちゃん、大きくなったわねぇ。
もう”ちゃん”って感じじゃないわね。
ここあ、会えて嬉しいわ~。」
テンション高くまくし立て、もう1度ここあ をハグした。
昨日はミラビィーにも同じ事をして、これまでの事を聞きまくっていた。
女王はかなり話好きのようで、アルテェスが”またか”と思いながら、苦笑っていた。
「アルテのお母さん、って事は”女王様”、なんだよ?」
あまりのテンションの高さにハグされながら、ここあ が問い掛けた。
その問い掛けに直ぐには答えず、ぎゅう~っとハグを堪能してから、ここあ を解放した。
そして一応表情を引き締めて、
「ええ、そうですわよ。」
威厳を見せようと意識、したら変な口調になった。
「なんか、ぜんぜん”女王様”っぽく、ないん、だよ。。
って、ごめんなさい、変な事言っちゃったんだよ。」
ここあ の慌てっぷりに、
「そうなのよね~。
私は威厳ありありのつもりなのに、皆そう言うの、、。」
「お母様~!
長いですわ。
食事が冷めてしまいますから、お話は食事しながらするのですわ。」
じと目で注意してきたアルテェスの言葉で、
「あらあら、私とした事が。
では食事にしましょうか。」
我にかえると、はぐらかしながら席に着いた。
やれやれ、といった表情で席に着くアルテェスに合わせ、ここあ とミラビィーも席に着いた。
そして晩餐が始まった。
「す、すごく豪華なんだよ。
お城のご飯、凄すぎなんだよ。」
席に着き、テーブルに並んだきらびやかな料理を目にして、ここあ が感嘆の声を上げた。
「ここあ の歓迎って事で、今日は特別ですわ。」
アルテェスの説明に、
「そうなんだよ。
ああ、どれも美味しそうなんだよ。」
ここあ が料理に見とれながら答えていると、
くうぅ~
とお腹からの苦情が響いた。
それは近くに座っていた女王にも聞こえたようで、
「それでは頂きましょう。」
微笑みながら告げた。
「いただきます。」
食前の挨拶を済ませ、歓談しながらの食事が始まった。
「そうそう、ここあ。
叔母様、、亜瑠音様はお元気?」
女王が叔母(母の妹)、ここあ の祖母の初代亜瑠音ことアルネェアの事を尋ねた。
「はい、すごく元気なんだよ。
この前もお友達と旅行に行ってたんだよ。」
ここあ の返事を聞き、
「旅行、いいわねぇ。
私も女王の座なんてさっさとアルテに渡しちゃって、引退しちゃおうかしら。
アルテも17になったんだし、全然ありよねぇ。」
そんな事を言いながら娘にねっとり視線を向けた。
「わ、私なんてまだまだですわ。
もっと色々学んでからでないと政務なんて無理ですわ。」
大慌てで反論するアルテェスを見て、
「冗談よ。
あなたみたいな"脳筋ポンコツ娘"に政務なんてまかせるわけないでしょ。」
呆れ顔で返した。
「ちょっとお母様、ここあ の前で変な事言わないでほしいですわ。」
「アルテって"脳筋ポンコツ娘"なんだよ?」
「ち、ち、違いますわ。
ほら、ここあ が信じちゃいましたわ。」
「何言ってるの。
"脳筋ポンコツ娘"は本当の事じゃない。
昨日だって、、。」
「ちょっとお母様、何を言おうとしてるのですわ!」
しっちゃかめっちゃかになった。
そんなアルテェスと女王のやり取りを見て、ここあ が、
「アルテ、かわいいんだよ。
でも、年下だとは思わなかったんだよ。」
微笑みながら口を挟んだ。
「ええっ!?
ここあ って年上だったのですわ?
絶対年下だと思ってましたわ。」
驚きの声を上げるアルテェスに、
「なんかひどいんだよ。。」
ここあ がじと睨みながらぶうたれた。
童顔で歳より幼く見える ここあ と金髪美少女のアルテェスとでは、そう思われても仕方がなかった。
「あははぁ、、。
それじゃ、ここあ は何歳なのですわ?」
ここあ の針視線にアルテェスはひきつり笑いながら尋ねた。
「18歳。アルテより1つ"年上"なんだよ。」
ドヤ顔で答える ここあ に、
「1つ、なのですわね。
良かったですわ。
3つ上とか言われてたら、かなりダメージ大きかったですわ。」
「これからは敬うんだよ、"脳筋ポンコツ姫"ちゃん。」
「ああっ、私の姫としての威厳が大崩壊ですわぁ。。」
大げさに嘆いて見せるアルテェスに、
「威厳はなかったんだよ。」
「威厳なんてないじゃない。」
ここあ と女王が同時に突っ込んだ。
「2人共、優しさがないですわ~!」
何てやり取りしている最中、静かだと思っていたミラビィーは、
「これ、おいしいの!」
1人、黙々と食事をしていた。
そんな様子に3人の笑い声が重なった。
それから歓談しながらの楽しい食事の時間が過ぎていった。
食後のデザートはアルテェスの部屋で、と言う事になり、女王が、
「ここあ、今日はこのまま泊まるんでしょ?」
確認するように尋ねた。
ハッシャーがあるので帰るにしても転移門を使えば直ぐなのだが、アルテェスの方を見ると、うんうんと頷いていたので、
「そうさせて貰うんだよ。」
と答えた。
「なら明日の朝、先代女王(アルリィアの母)に顔見せたげて。
亜瑠音様の事も聞きたいだろうから、少し話をしてあげて。」
「わかったんだよ。」
「それじゃ、ごゆっくり。」
言いながら軽く手を振って、食堂を出て行った。
如何だったでしょうか?
アルテェスがもっとここあと絡ませろと言ってきたので、このまま3人のわちゃわちゃが続きます。
多分、あと3回くらい、だと思います。
ちょっと”らしさ”が出るよう意識して書いてますので、感じ取って、楽しんで頂けたら嬉しいです。
次回は金曜には公開したい、と思ってはいます。
が、生暖かく見守って頂けたら幸いです。
よろしくお願い致します。




