「異世界からのSOS。参上、ダイハッシャー!」(39)
第39回を公開します。
2週間ぶりの更新となってしまいました。
申し訳ありません。
本業が忙しくなり、体力も気力も持ちませんでした。
けれど、まさかここまで空けてしまうとわ。。
それでも何とか書き上げました。
切のいい所まで書いたらいつもより長くなってしまいました。
ストゥーリアのバトル終盤、楽しんで頂けたら嬉しいです。
声のした方に目を向けるとブンとムンがバイクを伴って、ストゥーリアの方を見ていた。
『ブン、ムン、予定より早かったですね。
流石です。』
2人の努力に感謝し、小さく頷くように頭を動かして、
「お疲れ様でした、ブン、ムン。
感謝します。」
お礼の言葉を呟いた。
そして右腕に着けている腕輪を口の前に翳し、
「フォレスブレイク、起動。」
バイクの起動指示を囁いた。
その指示を受け取ったバイクが起動し、
ヒィィィィィィィィィィン!
甲高い魔動エンジンの音を響かせた。
起動したバイクは防御壁を通り抜けて所有者の元へと自走して行った。
ストゥーリアは傍らで停車した相棒を愛おしそうに優しく撫でてから跨がってハンドルを握ると、血が滾り狂戦士モードに切り替わった。
「待ちかねたぜ、相棒。
そんじゃ、ぱぱっと小物を片付けるか。」
ストゥーリアはバイクに話し掛けるようにひとり言ちた。
そうこうしていると、走り込んで来たバイクに気勢を殺がれていた鉄騎獣たちの内の小型の残り、剣歯虎型2体と巨大蠍型3体が動き出した。
5体は唸りながら、様子を伺うようにゆっくりとバイクに近付いて来る。
「どいつもこいつも殺気立ってんなぁ。
相手し甲斐があんじゃねぇか。
そんじゃ、50年振りにひと暴れしようぜ、相棒!」
嬉々とした表情で”応じる宣言”を発すると、
「まずは復活祝いの祝砲だ。
喰らいな!
降る氷弾、1回!」
攻撃を開始した。
ストゥーリアの声に反応しバイクの後輪ガードの上に乗っている50センチ角、高さ20センチの箱の上部が真ん中から左右に分かれて開いた。
空だった箱の中に直径5センチ、高さ20センチの氷の弾が魔力によって生成され、現れた。
氷弾は下向きになっていて弾尻に2センチ程度の薬莢が付いていた。
それぞれの弾の下に魔方陣が現れ、全弾が上空に転移された。
空を飛んでいる鯨型、鬼糸巻鱏型よりも上に出現した氷弾は弾尻に付いた薬莢に仕込まれた魔方陣から発生した風によって高速で地上に降り注いだ。
100発の氷弾の速さに避ける事が出来なかった鉄騎獣たちが大小のダメージを負った。
小型の剣歯虎型2体と巨大蠍型3体は多数の銃弾を受け、あっさり屠られた。
大型の巨大猿型と巨大鰐型のダメージは大きく、かなりの数の弾痕から血を吹き出していた。
だが大型の中でも特に大きい鯨型と鬼糸巻鱏型は小さな傷が出来ただけだった。
「いつもながら大した威力だぜ。
氷棘と比べもんになんねぇな。
それでもデカ物には効かねぇんだよなぁ。
けど、これで小物は居なくなった。
残りのデカイのはお披露目の相手にうってつけじゃねぇか。」
ストゥーリアはこの後の戦闘への高揚感でテンションが上がっていた。
50年前、ブンの父で勇者達が使う魔動乗物を作った先代技師が封印していた機能。
”人型形態”
この形態は車ロボよりも扱いが難しい事と、当時の戦況では、まだ”必要ではない”と判断したムブが”機能制限”していた。
操縦の方法等は当時、数回試乗していたので覚えている。
「いくぜ、相棒!」
ヒィィィィィィィィィィン!!!
ストゥーリアはバイクの魔動エンジンを噴かし、地上に居る大型に突っ込んで行きながら、
「人型、変形!」
変形の”音声指示”を叫んだ。
その声に反応したバイクが姿を変えていく。
後部の装飾が脚部に変形。
”前輪上げ”する事で脚部が地面に接し、立ち上がる。
足の裏に仕込まれた車輪で移動しながら後輪が背中に回り、シートを含んだ前部が前に倒れ、カウルが胸部になり、頭が現れる。
2輪ある前輪が左右に広がり、腕部に変わり、車輪が肩の後ろに倒れ、変形完了。
車ロボとの大きな違いは3つの車輪が回転翼になっていて、空を飛べる事。
だが、空中での姿勢制御がかなり難しく、それが”扱いづらさ”になっていた。
空中感覚に優れているストゥーリアであっても、空中制御は容易ではなかった。
「空のデカイのは後だ。
まずは、巨大猿と巨大鰐をぶっ潰す!」
言い放ち、眼前でふらついている巨大猿に突っ込んで行った。
「右、回転手刀!」
ストゥーリアの”攻撃指示”で右手の指が伸びて手刀にならり、回転しながら、飛び出した。
右腕がスクリューのように高速回転しながら、巨大猿の胸を貫いた。
そして弧を描いて飛び戻った。
「左、水の鞭!」
左手の平から放出された粘性のある水が鞭になって右隣で呆然としていた巨大猿の首に巻き付いた。
「棘!」
追加の指示で鞭が凍り、無数の棘が伸びだした。
複数の棘に巨大猿の首が貫かれ、
ボトッ!
頭が落ちた。
勢いのままに接近した立ったまま絶命している巨大猿の前を、
ギャルン!
車輪を鳴らして強引に左に向きを変え、巨大鰐1体と対峙した。
巨大鰐が大きく口を開いているのが見える。
「やべぇ!」
巨大鰐が攻撃体制になっているのに気付き、
ギャギャーッ!!!
車輪を鳴らし巨大鰐の正面から逃げた。
直後、巨大鰐の放射した”毒液”が地面を溶かした。
「左、水の鞭!」
回避しながら鞭を巨大鰐の背中に叩きつけた。
ガッ、、。
呻き声を上げて巨大鰐の動きが止まる。
すかさず、
「右、回転手刀!」
右腕を飛ばす。
距離が近かった為、巨大鰐を貫いた腕が地面にめり込んだ。
のを、鞭を使って引っ張りだして、腕を戻した。
残った巨大猿と巨大鰐の位置がちょっと離れている。
「飛翔!」
ストゥーリアの”指示言葉”に反応し肩と背中の回転翼が角度を変え、回り始めた。
ヒュゥゥゥゥゥン!
回転翼の回転速度が上がり、機体が宙に浮き、2体の居る方へ飛んで行く。
巨大鰐の上を通過する時、
「右、回転手刀!」
右腕を下に向けて飛ばした。
そして巨大猿に近付きながら、
「左、回転手刀!」
左腕を巨大猿に向けて飛ばした。
貫かれた2体が動かなくなった。
その様子を傍観していた鯨型と鬼糸巻鱏型の目が輝いた。
「いよいよ、超大型のお出ましか。」
ストゥーリアは舌なめずりし、楽しげに発すると、腕を戻して2体に向かって上昇して行った。
まず、鬼糸巻鱏型が体を波打たせながら突っ込んできた。
そして、胸鰭を大きく動かし、
ブォォォォォ!
強風を作り出して攻撃してきた。
強風に煽られバイクロボがバランスを崩す。
「くっ!」
ストゥーリアは呻き声を漏らしながら、必死に体制を建て直そうと回転翼の角度を調整している。
その隙を見逃さず、鯨型が鼻孔から何かを吹き出した。
吹き出されたのは無数の氷の針(1本が直径10センチ、長さ50センチくらい)でだった。
それが意思を持っているかのように、体勢を建て直しているバイクロボに向かって飛んできた。
「ち、やってくれる!
左右、水の鞭!」
鞭を振り回し、近付いて来る氷りの針を弾き飛ばしていく。
が、すり抜けた1本が左足に突き刺さり、膝から下を吹っ飛ばした。
「こいつら連携してやがんのか。
やっぱ昔より頭良くなってやがんじゃねぇか。
こりゃ、一気に決めねぇとヤベぇな。」
ひとり言ちながらも、冷静に回転翼の回転速度を最高速に上げ、一気に2体より上に飛び上がった。
すかさず背中の回転翼だけで空中停止し、肩の回転翼を鯨型に向けた。
「氷結竜巻!」
”指示言葉”に反応し、2つの回転翼の前に現れた魔方陣から冷気が発生し、高速回転によって作り出された竜巻に巻き込まれながら、鯨型に向かって吹き荒れ、冷気の竜巻が鯨型を凍結させた。
けれど機械化されている部分は機能してる。
続けて、
「水の刃!」
振り上げた両腕の手の平から細く収束された水流が吹き出す。
それを鯨型目掛けて振り下ろす。
刃となった水流が左右の胸鰭を切り落とした。
胸鰭を切られ、飛べなくなった鯨型が地面に向かって落ちていく。
そして下になった頭に自重が全てのし掛かり、潰された。
それを見て逃げようと身を翻しかけた鬼糸巻鱏型に、
「左右、回転手刀!」
両腕を飛ばした。
高速で飛んだ両腕が鬼糸巻鱏型の胴体を貫いた。
それが最後の一撃となり、ストゥーリアのイダーエでの戦闘が幕を閉じた。
如何だったでしょうか?
ついにフォレスブレイクの変形からバトルを書けました。
やっぱロボはパンチ飛ばさなあかん!
ってゆう持論を存分に書きました。
楽しんで頂けていたら嬉しいです。
次回はストゥーリア側の締めから、ここあ側に戻ります。
楽しみにして頂けたら嬉しいです。
出来るだけ早く公開したい、です。
よろしくお願い致します。




