「異世界からのSOS。参上、ダイハッシャー!」(3)
第3回目を公開します。
今後は水曜と土曜に更新予定です。
・・・あくまで予定なので。
で、今回は。
車に近付いたここあ。
そして。
な感じです。
楽しんで頂けたら嬉しいです。
「いらっしゃい、ここあ。
久しぶりねぇ。」
祖母がいつもの優しい笑顔で出迎えてくれた。
御年58歳。
なのだが、まだまだ元気で祖父が他界してからも田舎で1人で暮らしている。
祖父が他界し車が使えなくなってからはお盆や正月等の行事がある時くらいしか来ていなかった。
今年はGWを教習に費やしたので正月以来の来訪だった。
「ほんとだよ。
今年は忙しくてGW来れなかったんだよ。
でも、、。」
言いながら鞄から財布を出し、カードのような物を1枚抜き出して、
「じゃん!」
と祖母に免許証を見せた。
「おじいちゃんとの約束通り、ちゃんと免許取ったんだよ。」
嬉しそうに見せびらかす ここあ は祖母の顔が一瞬曇ったのに気付かなかった。
「そう、よかったね。
それじゃ、アレを渡さなきゃね。」
そう言うと玄関を出て、ここあ を家の裏手に連れていった。
そこには庇があり、ここに車が置かれていたのだが、祖父が病気で入院した頃から車が消えていた。
祖父に尋ねると、
「あれは大事な物やから、隠した。
ここあ が免許取れたら隠し場所教えたる。」
と答えた。
そして祖母に案内されたのが、その庇の所。
「ここ、なの?
何もないよ?」
不安そうに尋ねると、
「こっちよ。」
と家の外壁の真ん中あたりに招かれた。
見るとただの壁、だった。
「ここに何が。。」
言いかけた時、祖母が手に持っていた車のリモコンキーのような物のボタンを押した。
すると壁の1部が開き、パネルが現れた。
「あとは、判るわね。」
そう言ってリモコンキーを ここあ に渡し、
「大事に使ってあげてね。」
そう言って家に戻って行くその背中に、
「おばあちゃん、ありがとう。」
頭を下げ、礼を告げた ここあ に、
「姉たちを守ってね、ここあ。
気を付けて、行ってらっしゃい。」
祖母の呟きは聞こえていなかった。
祖母を見送った ここあ はパネルに目を向けた。
そこには、カメラのレンズ、マイク、手形の書かれたパネルとボタンがひとつ。
そのボタンを押してみた。
ピッ!
と起動音が鳴り、パネルの上部に、
”虹彩を確認します、右目でレンズを覗いて下さい。”
指示が出た。
ので、右目でレンズを見た。
ピコ!
”初代ここあ と認証。”
”指紋を確認します。右手でパネルに触れて下さい。”
次の指示が出た。
ので、右手でパネルに触れる。
ピコ!
”指紋認証完了”
”声紋を確認します。マイクに認証コードを言って下さい。”
と出た。
たしか、
「お願い、開けて。」
と普通の声で言った。
ブブー!
エラー音がなった。
パネルに、
”かわゆさが不足しています。やり直して下さい。”
と表示された。
『おじいちゃん、まじだった、よ。。
しゃれだと、思ってた、よ。。
ああ、もう、だよ!』
コホン。
と、ひとつ咳払い。
そして、
「おねがい、あけて(ハート)」
少し震え声になりながらも、全力のかわいさアピール。
ピコ!
”声紋を確認しました。最後に免許証をスキャンします。”
”パネルの手の平の部分に表面を押し付けて下さい。”
と表示された。
『はぁ。。
変な機能付けないで、なのよ。
でも、これで。』
指示通り免許証を押し付ける。
と、細い光の横線が上から下に移動し、
ピコ!
”全ての認証を完了しました。”
”入室を許可します。”
そう表示され、足元の地面に緑に光る四角い枠線が現れ、
クン!
と枠内が1センチ程、下がった。
「え!?」
驚き足元を見る。
と同時に、
「ええ〜〜〜〜〜っ!!!」
叫ぶ ここあ を乗せたまま地下に沈んで行った。
(4)
「そう、もう動き出しましたのね。」
静かな森の奥。
封印を監視させていた鳥からの報告を聞いたエルフの女性が悲しげな表情で呟いた。
あの戦いから50年。
そろそろ封印が効力を失う頃だと思い、監視させていた。
「あなたは戻って交代を。」
そう鳥に指示した。
鳥はコクっと首を頷いたように動かすと、飛び立って行った。
「アップロスもミラッジノも、逝ってしまいました。
おそらく、トコートも。
皆の思いは子孫に受け継がれたのでしょうね。
けれど、幼い者たちを巻き込んだりいたしません。
わたくし1人で、あの者を。。」
そう決意し、淑やかな所作で立ち上がると、森のさらに奥へと向かって行った。
如何だったでしょうか?
祖母の秘密は何となくさっして頂ければ、と。
そして前の戦いを知るエルフさん登場。
これから色々頑張るようです。
って事で次回は土曜に更新予定。
楽しみにして頂けると嬉しいです。
よろしくお願い致します。