「異世界からのSOS。参上、ダイハッシャー!」(37)
第37回を公開します。
なんとか予定通り公開出来ました。
何気にストゥーリアのバトルシーンは初か。
結構、荒れてます。
楽しんで頂けたら嬉しいです。
(5)
ブンの店を出ると、都市を守護する防衛隊員たちが防御壁の内側から遠距離魔法攻撃を仕掛けていた。
けれど戦闘経験の無い隊員たちの攻撃は統制が取れておらず、ただただ魔力を消耗しているだけだった。
「やはり、鉄騎獣と戦えるレベルには至っていないようですね。
このままでは近い内に鉄騎軍団に蹂躙されてしまうでしょう。
早急に対処しなければなりませんね。」
ストゥーリアは呟きながら、装備から隊長だと思われる者に近付いていった。
「我々は、こんなにも、無力なのか。。」
力ない言葉が聞こえてきた。
非力ながらも隊を支えてきた彼も魔力が尽きかけ、心が折れ掛けているようだ。
ストゥーリアは隊長の肩にそっと手を置いた。
反応し、顔を向けてきた隊長に、
「ご苦労様でした。
よく頑張りましたね。
後は任せて下さい。」
優しく声を掛けた。
ストゥーリアを見ていた隊長の目が見開かれ、驚きを露にし、
「ストゥーリア様、なのですか!?」
声を震わせながら、戸惑いの声を発した。
ストゥーリアは優しく微笑み掛けると、防御壁に向かってゆっくり歩いて行った。
「敵は多いですね。
けれど、ブンとムンが間に合わせてくれるでしょう。
それまで、ひと暴れするとしましょうか。」
呟き、不適な笑みを浮かべながら防御壁を通り抜けた。
突然現れたストゥーリアに気付き、鉄騎獣たちが敵意の籠ったを目を向けてくる。
そんな熱烈な視線を楽しみながら”貴婦人が帽子を被る”かのような優雅な所作で頭部武装を被り、
「着装。」
認証言葉を囁いた。
頭部武装が反応し、魔力粒子がストゥーリアの体に降り注ぐ。
その様子を目にした鉄騎獣たちが警戒心を強めながら、威嚇の唸り声を漏らす。
程なく、ストゥーリアの体を水の青と風の白のカラーリングの武装が着装された。
背中に鳥のような白い翼が付いた、ドレスのような雰囲気の武装を纏ったストゥーリアが、
「全身の血が滾るじゃねぇか!
鉄騎獣共、1匹残らずぶち殺してやるよ!
覚悟しな!」
愛機・フォレスブレイクと共に戦っている時と同様の高揚感が、狂戦士状態へと変化させた。
目尻が上がり、狂喜が表情に現れ、身に纏った武装との差異が異様さを際立たせている。
ストゥーリアは空を見上げ、
「小型は後回しだ!
ちょろちょろ飛び回ってやがるウザい奴の相手をしてやるか!」
言葉荒く言い放つと、軽く膝を曲げ、跳んだ。
10倍に強化された脚力での跳躍は、あっと言う間に鳥型鉄騎獣より高い位置に達した。
目にした鳥型は鷹鉄騎獣2体と、魔獣型1体。
「おいおい、魔獣が混ざってるじゃねぇか。
鉄騎将め、大盤振る舞いしてくれやがる。
ほんと、遊び甲斐がありやがるぜ。」
楽しそうにひとり言ち、翼を羽ばたかせ、一気に魔獣型に突っ込んでいった。
反応出来ていない魔獣型の頭に加速度を付けた右拳を叩き込む。
ギャ!
呻き声を漏らし、脳震盪を起こした魔獣型が落ちていく。
のを横目に、眼防護に表示されている技を確認した。
「まずはこれだな。
風斬!」
技名を叫ぶと左右の手の甲に魔方陣が浮かび上がる。
手に魔力が集中しているのを感じ、指を伸ばして遠くの敵を斬るように左右1回づつ振ると、指先から風の刃が放たれた。
魔獣型が一瞬で叩き落とされた事に動揺し、動きを止めていた鷹鉄騎獣2体の首があっさり斬り落とされ、絶命し、落下した。
「ちっ、張り合いねぇなぁ。
もっと抵抗しやがれ、ってんだ、よ!」
とか言いながら急降下し、魔獣型を踏み抜く勢いで、頭の上に着地した。
ミシミシ
と骨を軋ませる音が聞こえてきたが、頭蓋骨を破壊するには至らなかった。
ギァァァ。。
苦しげな声を漏らす魔獣型に、
「なかなか頑丈じゃねぇか。
んじゃ、これはどうだ?」
言いながら魔獣型の頭に右手の平で触れ、
「氷棘!」
技名を叫ぶと、右手の甲に魔法陣が現れ、手の平から出た氷の棘が魔獣型の頭を貫いた。
ギャッ!
断末魔の叫びを上げ、魔獣型が絶命した。
頭から飛び降りたストゥーリアが翼を1度羽ばたかせ、優雅に着地してみせ、残りの鉄騎獣を見回し、
「どうした、びびったか?
この程度じゃ、全然物足りねぇんだよ。」
不敵な笑みで、居丈高な言葉をぶつけながら、右腕を突き出し人差し指で指差した。
その右手をくるっと半回転し、人差し指をちょいちょいっと動かし、
「かかってきな!」
挑発の言葉を発した。
その仕草で、言葉で、自分たちを侮っていると感じ取り、残りの鉄騎獣たちの敵意がストゥーリアに向けられた。
グルルル!
ガルゥ!
ウウゥ!
キシャァ!
唸り、敵意をぶつけてくる鉄騎獣たちを見て、
「荒ぶってんなぁ。
んじゃ、しっかり楽しませてくれよ、鉄騎獣共!」
さらなる挑発の言葉を投げつけた。
それが合図になったかのように鉄騎獣たちが、ストゥーリア目掛けて一斉に動き出した。
「いいぜ、掛かって来な。
ぶっ潰してやるよ!」
ストゥーリアは歓喜に満ちた声で言い放つと、
タン
と軽やかに地を蹴った。
ストゥーリアの着装解除まであと、3分。
如何だったでしょうか?
ストゥーリアの狂戦士モードでのバトル。
言動が奴と似てるのは。。
そんなストゥーリアのバトルは今回が前半になります。
予定ではあと2更新分バトってると思います。
次回は水曜に更新出来る、はず。
ストゥーリアのバトルはさらに激化する、予定。
楽しみにして頂けたら嬉しいです。
よろしくお願い致します。




