「異世界からのSOS。参上、ダイハッシャー!」(36)
第36回を公開します。
何とか間に合いました、が長くなりそうだったので一旦、区切りました。
なのでストゥーリアの戦闘は、次回から、になります。。
戦闘前の一幕、楽しんで頂けたら嬉しいです。
ブンの叫び声を聞き、空を見上げたムンとストゥーリアは既に防御壁が展開されているのに気付いた。
防御壁の外の空を鉄騎獣が3体飛んでいるのが見える。
「ブン、状況は分かりますか?」
焦り混じりの声のストゥーリアの問い掛けに、
「小型20、大型10、内3体が鳥型っす!
今、防衛隊が応戦を始めてますが、そう長くは持たないっす!」
ブンが状況を説明した。
聞きながらブンに近付いていたストゥーリアは、
「ブン、バイクは使えますか?」
”限定解除”を頼んでいた愛機の作業状況を尋ねた。
「今、最終調整中っす。
ぶっつけでよければ、じゅ、、う5分で何とかするっす。」
ブンの答えを聞き、
「わかりました、それまで時間を稼ぎます。
ムン、それは直ぐに使えますか?」
今度はムンに尋ねた。
「これは自分用に調整してあるので、ストゥーリア様は使えないです。
未設定のがありますので、それを直ぐに設定します。」
答えたムンは急ぎ”研究室”に向かい、ストゥーリアが追った。
「ブン、急ぎでお願いしますね。」
すれ違いながら声を掛けたストゥーリアは地下に下り、その背中に、
「分かったっす!」
ブンが短く答え、工房へと走っていった。
(3)
「ストゥーリア様、その台に乗って下さい。
魔力属性と波形を調べます。」
ムンの指示に、
「ここ、ですね。」
答えながら足型が描かれた30センチ角、高さ5センチくらいの小さな台に上がった。
足を足型に合わせて立っていると、頭上に魔法陣が現れ、円内に体を通しながら上から下がっていった。
走査魔法で調べられた結果が、ムンが見ている測定装置に表示された。
「ストゥーリア様は"風"と"水"の属性が強く出てますね。
2つに比べると弱いですが他の3つ "光"、"火"、"地"も使えるのは凄いです。」
ストゥーリアの魔力属性を見て感嘆の声を漏らすムンに、
「エルフ族は生まれながらに5属性全てが使えるのですが、それぞれに相性の良い属性があるのです。
通常、好相性なのは1属性なので、私はちょっと特殊、なのです。」
丁寧に説明を加えた。
その間も手を止めず、調整していたムンが、
「よし、これで完了です。
お待たせしました。調整が終わりました。」
ストゥーリアに声を掛けた。
台を下り、自分用に調整された"頭部武装"を受け取ると、
「ご苦労様でした。
これで戦う事が出来ます。」
労いとお礼の言葉を述べた。
「使える技は眼防護に映ります。
それと残り1分になるとカウントダウンが始まります。
それから、、。」
細かく説明しようとするムンの言葉を遮って、
「大丈夫ですよ、何とか使いこなしますから。
あなたはブンを手伝って下さい。
それでは行きますね。」
優しく声を掛けると出口に向かった。
その背中に、
「お気を付けて。」
声を掛けたムンはブンの作業場に移動した。
(4)
「気圧されるな!
攻撃を続けろ!」
小規模都市"イダーエ"の防衛隊長・シペラーコプが隊員たちに激を飛ばしながら、必死に魔法攻撃を放っている。
鉄騎獣の襲来。
それは年若い防衛隊長にとって初めての戦闘だった。
先月、世代交代で隊長に就任したばかりで、まだ指揮体制も整っていない状態での戦闘は苦戦どころではなかった。
ちぐはぐバラバラな魔法攻撃は鉄騎獣に当たる事なく、ただただ消耗していくだけだった。
自身の魔力も尽きかけ、
「我々は、こんなにも、無力なのか。。」
落胆の言葉を口にし、心折れかけていた。
その時、肩に何かが触れるのを感じた。
肩の方に顔を向けると、金髪をなびかせたエルフの女性が、
「ご苦労様でした。
よく頑張りましたね。
後は任せて下さい。」
優しい声を掛けられた。
その姿には見覚えがあった。
前に映像記録で見た封印の4勇者の1人。
「ストゥーリア様、なのですか!?」
こんな所に居るとは思っていなかった勇者の登場に驚きの声を漏らした。
ストゥーリアは優しく微笑み掛けると歩を進め、防御壁を通過して鉄騎獣の前で立ち止まった。
そして防衛隊長は本当の戦闘を目の当たりにし、言葉を失った。
如何でしょうか?
戦地に乗り込んだストゥーリアの戦闘は、次回。
明日公開予定です。
もうあら方書けてるので大丈夫、のはず。
楽しみにして頂けると嬉しいです。
よろしくお願い致します。




