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「異世界からのSOS。参上、ダイハッシャー!」(30)

第30回を公開します。

何とか予定通りに公開出来ました。

もうちょっと早く上げられるはずだったのに、字数が増えてしまいまして。。

推敲に時間が掛かってしまいました。

そんな今回は、対ケルベロス戦です。

いい感じになった、と自分では思ってますが。。

楽しんで頂けたら嬉しいです。

修復の時間を待つ様子もなく、近付いてきた鉄騎獣ケルベロスは少しを空けて動きを止めると、


ワオオオオオオオオオオン!!!

ワオオオオオオオオオオン!!!

ワオオオオオオオオオオン!!!


車ロボ(バトルハッシャー)に向かって3つの口(みっつのくち)が一斉に吠えた。

放たれた遠吠えが輪の形になって音波攻撃を視認しにんさせる。

3つの音波は重なって威力を増して、攻撃技・三重遠吠え(トリプルハウリング)となって車ロボ(バトルハッシャー)に迫ってくる。

だが、この攻撃は速度が遅いようで到達まで若干じゃっかんの余裕があった。


「ホイールシ、、はダメだったんだよ。」


左腕のシールドで防ごうとしたが、使えない事を思い出しあわててフットペダルを踏み込んだ。


ギャルン!


足の車輪が急回転で空回りしつつ、地面をんで後方に移動し、ギリギリで音波攻撃を回避した。

この移動だけで魔力が減っていくのを感じつつ、そのままの勢いで鉄騎獣ケルベロスに近付き、


魔力剣マジカソード!」


胴体を右手に握っていた短剣ダガーまとわせた魔力の剣で斬り付けた。

だが胴体は強固で、


ガギィィィン!


と甲高い音を響かせてはじき返された右腕を踏ん張っておさえ込んで、


「フレイムナックル!」


短刀ダガーを握った右拳に炎をまとわせた。

炎は刀身の魔力と相まって魔力剣マジカソードが炎の剣に変える。

燃え上がるけんけん鉄騎獣ケルベロスの硬い胴に食い込み、斬り込んだ。

炎が傷口をもやし、


ガァァァ!

ガァァァ!

ガァァァ!


鉄騎獣ケルベロスが3つのうめき声を漏らした。

ダメージを与えられたのを確認した ここあ は車ロボ(バトルハッシャー)を移動させ、少し距離を取った。


「はぁ、はぁ、、はぁ、、、。」


今の攻防で魔力を一気に半分近く消耗し、ここあ の呼吸が荒くなっている。


「しゅうくん、あと、どれくらい、なんだよ?」


ここあ の問い掛けに、


修復率シュウフクリツ60%。

 アト、2フンホド、カカリマス。」


AI(しゅうくん)が現状を答えた。

そんなやり取りの間にも傷付けられた怒りが加わった鉄騎獣ケルベロスが猛突進して迫って来る。


さっきの攻撃では大したダメージは与えられていない。

ここあ は現状の攻撃力では太刀打ち出来ないと判断し、逃げ回る事にした。

車輪移動ホイールムーブのスピードは鉄騎獣ケルベロスの速度より少しだけ速いようで、なんとか逃げ回り続けられていた。

そして時間を稼ぐ事2分。


「ココア、修復シュウフクガ、オワリマシタ。」


AI(しゅうくん)が修復完了を告げた。

試しに左腕を動かしてみる。


「ばっちり、なんだよ!」


ここあ が安堵あんどの言葉を発した。

そして自身の魔力消費が収まっているのを感じ取った。


「しゅうくん、ビームは、撃てるん、だよ?」


ここあ の問い掛けに、


発射ハッシャハ、可能カノウデス。

 ケレド、イマノ魔力残量マリョクザンリョウデハ、タオセマセン。」


|AI《しゅうくんから絶望的な回答が返ってきた。

その時、


ああああああああああ!!!


ミラビィーが雄叫おたけびながら、すさまじいいきおいで鉄騎獣ケルベロスに向かっていくのが見えた。

地を蹴り、飛び上がったミラビィーはあっと言う間に上空50メートルに達し、その高さから自身の体重(約40キロ)を魔法で100倍(約4トン)にして鉄騎獣ケルベロスの背中に落ちてきた。


ドドーーーン!


地響きと共に地面がひび割れ、押し潰された鉄騎獣ケルベロスが、


ギャフッ

ギャフッ

ギャフッ


3つのうめき声を漏らす。


自重じじゅうを元に戻し背中から離れたミラビィーは衝撃で背骨にヒビが入り、立ち上がる事が出来なくなった鉄騎獣ケルベロスを愉快そうに見ていた。


「あれはあの時のガキか。

 生きてやがったとはな。

 なら、今度こそ引導を渡してやるぜ。」


鉄騎将テメッタルは50年前の鉄騎獣ケルベロスとミラビィーの事を思い出していた。

暴走状態のミラビィーは程なく自壊する。

助けに来る勇者がいない今、るのは容易たやすい。

鉄騎将テメッタルはその時を待った。


ミラビィーは伏せたまま動けなくなった鉄騎獣ケルベロスに近付くと、嬉々とした表情を浮かべながら右拳を握り、真ん中の頭に叩き込んだ。


ギャウン。。


鉄騎獣ケルベロスの悲痛な鳴き声が響く。

魔力による身体強化と重力制御魔法の組み合わせでミラビィーの攻撃力は自分の数倍の大きさの鉄騎獣ケルベロスにダメージを与えられる程強力だった。


ここからはミラビィーの一方的な暴行ショーとなった。

殴り、蹴る。

そのなさ容赦ようしゃのない攻撃が自身の体を徐々に破壊している事に気付かずに。


「ラビちゃん、何が、あったんだよ!?」


戸惑う ここあ に、


戦闘種族セントウシュゾク本能ホンノウ開放カイホウサレ、魔力マリョクガ、暴走ボウソシテイマス。

 ミラッジノサマガ、強固キョウコニ、フウインシタハズデシタ。

 アノママデハ、ミラビィーサマノカラダト、精神セイシンガ、崩壊ホウカイ、シテシマイマス。

 スグニ、トメナケレバ。」


AI(しゅうくん)が危機的状況である事を伝えた。


「大変、なんだよ。

 何とか、しないと、なんだ、、よ?」


状況を理解した ここあ の脳裏のうりで何かがひらめいた。

魔力の暴走。

ならば魔力が豊富にあるはずだ。


「しゅうくん、私の残りの、魔力と、ラビちゃんの、魔力を、足したら、ビームの攻撃力、上げられ、るんだよ?」


ここあ が思い付いた事を尋ねた。


「ナルホド、タシカニ。

 ソノ方法ホウホウナラ、タオスコトハ、カノウデス。」


AI(しゅうくん)の返答に希望が見え、


「それじゃ、何としても、ラビちゃんを、元に戻すんだよ。」


ここあ は、


ギャルン!


フットペダルを踏み込んで車ロボ(バトルハッシャー)鉄騎獣ケルベロスに近付けた。

外部スピーカーのスイッチを入れ、


「ラビちゃん、やめるんだよ!」


必死に呼び掛けた。

だが、ミラビィーの耳には届いていないようで、暴走が止まる気配はなかった。


「ラビちゃん、ダメなんだよ!

 ラビちゃん!

 ラビちゃん!」


何度も呼び掛けるが、その声は届かなかった。

ここあ の目から大粒の涙がこぼれた。


「なんで、届かないん、だよ。」


悔しさがあふれ出す。

このままではミラビィーを失ってしまう。

再会し、妹のような存在になっていたいとおしいが、居なくなってしまう。


そんなのは、嫌だ。


ここあ は意を決した。


「しゅうくん、あたし、行くんだよ。

 行って、ラビちゃんを、抱き締める。

 もし、ダメだったら、アルちゃんに、謝っておいて、欲しいんだよ。」

「トメテモ、ムダナノデスネ。」

「ありがとう、なんだよ、しゅうくん。」


ここあ の決意に答えるように背面のハッチが開いた。

シートを蹴り、頭部を踏み台にしてミラビィーに向かって、飛んだ。


「そんな事してたら、嫌いになっちゃうんだよ!

 嫌なら、やめるんだよ!

 それで一緒に帰るんだよ!

 帰って、い~っぱい楽しい事するんだよ!

 だから、戻ってくるんだよ!

 ラビちゃ~~~ん!!!」


ここあ の泣き叫ぶ声が、


「ここねえやが、泣いてるの。。」


ミラビィーの心に響き、一瞬動きが止まった。

そして、抱き付いて止めようとした ここあ の頭が


ゴツン!


ミラビィーの頭にぶつかり、


べちゃ。


ここあ が背後から押し倒して、つぶれた。。


「あああ、めっちゃ痛いんだよぉぉぉ」

「・・・痛いの。」


ここあ の言葉が届いたのか、頭突きが功を奏したのか。。

どちらにせよ、ミラビィーは自我じがを取り戻した。


「ここ、ねえや。。」


ミラビィーのつぶやきを耳にし、ここあ の顔が一気にほころんだ。


「ラビちゃ~~~ん!」


歓喜の声を上げながら抱き付いてきた ここあ に訳がわからず、


「あれ、ここねえやなの。

 どうなってるの?」


きょとんとしているミラビィーに、


「話はあとなんだよ。

 しゅうく~ん!」


表情を引き締め、車ロボ(バトルハッシャー)を呼んだ。


ギャルン!


車輪を鳴らして近付いてきた車ロボ(バトルハッシャー)が差し出した右手に2人がつかまると、大きく旋回して鉄騎獣ケルベロスに対峙する位置で止まった。


ここあ がシートに座り、膝の上にミラビィーを座らせると、背中のハッチが閉じた。


「ラビちゃんの魔力、使わせて欲しいんだよ。」


ここあ のたのみの意味を理解出来ていなかったが、


「わかったの。」


言ってミラビィーは ここあ の手に自分の手を重ねた。


「しゅうくん、やっちゃうんだよ。」

「リョウカイシマシタ。」


ここあ の指示でAIしゅうくんが2人の魔力を充填魔力へ補充し始めると、2人は体から魔力が吸い出され、減少していくのを感じた。


「ラビちゃん、大丈夫なんだよ?」


ここあ が心配し、声を掛けた。


「大丈、ぶ、なの?」


答えようとしたミラビィーが体に異変を感じたかと思ったら、


しゅぅぅぅぅぅ


お子様サイズに戻ってしまった。


「ちからが、ぬけるのぉ。。」


力ない言葉を発し、ミラビィーはくたっとなって ここあ に寄りかかった。

ここあ は、


「ラビちゃん、ありがとなんだよ。

 すぐ、終わらせるんだよ。」


自分も魔力を吸い付くされ、朦朧もうろうと仕掛ける意識を必死に保ちながら、優しく声を掛けると、


うおおおおおおおおお!!!


気合を入れるように雄叫おたけびを上げながら、鉄騎獣ケルベロスに向かって突進していった。

最接近した車ロボ(バトルハッシャー)は何とか立ち上がろうとしている鉄騎獣ケルベロスの真ん中の頭に取り付いた。


「しゅうくん、発射角はっしゃかくの調整(まか)せたんだよ。」

「リョウカイシマシタ。」


AI(しゅうくん)は返答し、ヘッドライトの角度を調整し、


「ジュンビ、カンリョウ、デス。」


状況を告げた。


「ありがとなんだよ。

 それじゃ、ぶっ放すんだよ!」


ここあ はモニター越しの鉄騎獣ケルベロスを見据え、


「ヘッドライト、ビィーーームッ!」


力強く叫んだ。


両肩のヘッドライトが光を放つ。

2つの光が集束し、ひとすじの閃光となって鉄騎獣ケルベロスの体をつらぬいた。


光が消えた時、鉄騎獣ケルベロスの目から光が消え、完全に沈黙した。


「やったん、だよ。。」


ここあ がちから無くつぶやき、車ロボ(バトルハッシャー)も魔力を使い果たし、沈黙した。


戦闘を黙って見ていた鉄騎将テメッタルは、


「いい茶番だったぜ。

 楽しませてもらった分の礼にトコート達(じじぃ)に会わせてやろうじゃねぇか。」


楽しそうにつぶやき、ニヤリと笑った。

如何だったでしょうか?

ここあ とミラビィーの激闘、楽しんで頂けていたら嬉しいです。

もし何か感じた事などありましたら、感想として書いて頂けると励みになります。

次回は水〜木曜には公開出来る、予定。

楽しみにして頂けると嬉しいです。

よろしくお願い致します。

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