「異世界からのSOS。参上、ダイハッシャー!」(26)
第26回を公開します。
まさかこんなに遅れてしまうとは。。
かなり色んな事の疲労が溜まっていたようで、数日まったく書けなかったもので。。
続きを待ってくれている方がおられたら嬉しいのですが、とにかく遅くなってしまい申し訳ありません。
そんな今回はついにバトルに突入です。
楽しんで頂けたら嬉しいです。
(13)
”イズカン”の側の転移門を抜けて直ぐ、アルテェスは車に付属している魔動電話で”オンモイール”の警備指令所に電話を掛けた。
短い呼び出し音の後、
『”オンモイール”警備指令所です。』
通信担当の男性が端的に告げた。
その言葉で相手に間違いがない事を確認し、
「私はアルテェスですわ。
隊長に急ぎの要件なのですわ。」
少し早口になりながら用向きを伝えた。
通信担当の、
『隊長に変わります。
少々お待ち下さい。』
返答の後、程無く、
『替わりました。
ちょっと取り込んでいますので手短にお願いします。』
少し苛立ち気味の隊長の声が聞こえてきた。
その雰囲気から既に襲撃が始まっていると理解し、
「状況は解っていますわ。
鉄騎将と鉄騎獣ですわね。
今、そちらに向かっていますわ。
私より先にトコート様の孫が着くので援護をお願いしますわ。」
気持ちを落ち着かせ、穏やかな声で用件を伝えた。
『了解しました。』
隊長の声から苛立ちが消え、力強く返答してきた。
「任せましたわ。」
アルテェスは重ねてお願いすると、通話を終えた。
魔動電話を固定具に戻し、運転手に、
「どうなのですわ?」
状況を尋ねた。
「道は空いていますので大丈夫です。
予定通り30分くらいで着いてみせます。」
答えた運転手は既にかなりスピードを上げていた。
「急ぎですが、無茶はしないようお願いしますわ。」
「了解しました。」
アルテェスの声掛けに運転手が気負いのない声で答えた。
スピードは上がっているものの、丁寧な運転に安心しながら、
「ドクター、状況を説明しますわ。」
ドクターに状況の説明を始めた。
けれど、
『ここちゃん、無事で。。』
心の中では必至に無事である事を祈っていた。
(14)
ウウーーー!!!
鉄騎将と鉄騎獣軍団が南門に近付くと警報が鳴り出した。
そして直ぐに”オンモイール”の街全体がドーム状の防御壁に覆われた。
「これは城のと同じ防御壁じゃねえか。
前はこんな物なかったぞ。
そんなに俺らが怖いってのか。
楽しませてくれるぜ。」
鉄騎将は、
「行きな!」
1体の大型鉄騎獣に指示を出し、防御壁に体当たりさせた。
ドーン!
その衝撃で防御壁が明滅した。
それを確認した鉄騎将は、
「城より脆そうだな。
簡易版ってとこか。
これなら簡単に無力化出来んだろ。」
呟き、大型10体で攻撃させようとした時、防御壁の内側から多数の魔法攻撃が飛んできた。
ドーン!
ドーン!
ドーン!
多数の攻撃は何とか3つの爆発音を響かせ、小型鉄騎獣3体を爆散させた。
「なんだ!?」
驚き、目を向けると20人程の武装した魔法師らしき人間が現れていた。
「防衛の魔法師ってとこか。
この人数で小型3体か。
たいした戦力じゃねぇな。」
苦笑し、呟きを漏らしていると、
「鉄騎将テメッタル、即刻撤退しろ!
直ぐに増援が来る!
お前たちに勝ち目はないと知れ!」
指揮官らしき男が声を張り上げ、通告してきた。
「増援か。
おもしれぇじゃねぇか。
人間がどれくらい力を付けたか見てやるよ。」
鉄騎将の横柄な物言いに、
「攻撃!」
隊長の指示で魔法攻撃が放たれた。
ドーン!
小型の中でも小さい狼鉄騎獣の残り1体が5発の攻撃で爆散した。
だけで、残りの鉄騎獣にはたいしたダメージは与えられていなかった。
「ま、そんなもんだろ。」
鉄騎将の蔑みの言葉に、
「我々だけでは鉄騎獣もろくに倒せんのか。。」
隊長から弱気な言葉が漏れだした。
その時、南門から物凄い勢いで何かが突っ込んできた。
そして横滑で鉄騎将に接近し、2メートル程の距離を開けて停車した。
それはかつての大戦で鉄騎大王を封印した勇者の1人、トコートが使っていた魔動乗物だった。
『こいつはトコートの乗機じゃねぇか。
年を食っても衰えてないってか。
上等じゃねぇか。あの時の借り、きっちり返してやるぜ。』
鉄騎将は相手がトコートだと思い込み、倒された恨みを返そうと、
「トコート、久しぶりじゃねぇか。
まだ生きてやがったか。
降りて顔見せたらどうだ。」
挑発めかした声で呼び掛けた。
その呼び掛けに答えるように運転席側のドアがゆっくり開いて、少女が降りてきた。
『なんだ?小娘じゃねぇか?
どうゆうことだ?』
トコートが降りてくると思っていた鉄騎将は少女が出てきた事で気勢を殺がれていると、
「鉄騎将テメッタル、初めまして、なんだよ。」
少女が不敵な笑みを浮かべながら声を掛けてきた。
その顔に何か引っ掛かるものを感じつつ、
「小娘、だと。
てめぇ、何者だ。」
横柄な口調で疑問の言葉を投げつけた。
少女は語気の強い問い掛けに臆する事なく、
「私はトコートの孫、ここあ。
あなたを倒すんだよ!」
力強く宣言した。
『トコートの孫ってか。
それで顔に似た雰囲気を感じてたのかよ。
って事は小娘が鉄騎獣を殺ったのか。
おもしれぇじゃねぇか。』
鉄騎将は、
「鉄騎獣どもを殺ったのはてめぇか。」
確信を言葉にし、睨みつけて眼力で威圧しようとしたが、そんな圧力をものともせず、
「そうなんだよ。
そして、これからテメッタルも倒しちゃうんだよ。」
にこやかな表情とは裏腹に、強気な言葉をぶつけ返す。
「いいだろう。
てめぇの力、見てやるぜ!」
そう言って鉄騎将は残りの小型鉄騎獣6体を ここあ にけしかけた。
ガォォォォォ!!!
咆哮を轟かせながらトラ鉄騎獣3体、ライオン鉄騎獣3体が ここあ に向かって突進していく。
「みるく!」
ここあ は手早く収納板から短刀を取り出し、腰だめで構える。
鞘を握る左手親指で柄を押し出し、右手でしっかりと柄を握って抜刀の構えとなり、
「抜刀奥義、星の輝き!」
叫びながら剣を抜く。
ここあ が注ぎ込んだ魔力が光の剣を創り出し刀身を伸ばす。
光の剣は瞬時に光跡で一筆書の星の形を描き、
スン
と静かに納刀されると、最接近していた鉄騎獣2体と鉄騎獣1体が星に斬り裂かれ、血を吹き出しながら崩れ落ちた。
残りの3体が危険を察知して踏み止まる。
3体は ここあ の周りを牽制しながらグルグル回り、攻め時を伺っていると、
「抜刀奥義、風斬り(かざきり)!」
ここあ は抜刀の勢いを利用して、体を中心に1回転した。
光の剣の光跡が風を斬るように円を描いて残り3体を横凪ぎに斬り裂いた。
納刀した ここあ は鉄騎将に、
「これくらい、余裕なんだよ。」
得意満面で言い放った。
そんな ここあ の慢心を鉄騎将に気付かれているとは思いもせずに。
如何だったでしょうか?
ついに祖父から受け継いだここあの奥義が炸裂しました。
が、不穏な雰囲気に。。
次回は何とか火曜には公開したいと思ってます。
今週は少しでも巻き上げられるよう頑張ります。
続きを楽しみにして頂けたら嬉しいです。
よろしくお願い致します。




