「異世界からのSOS。参上、ダイハッシャー!」(23)
第23回を公開します。
予定より半日以上遅れてしまいました。
お待ち頂いていた方がおられましたら、申し訳ありません。
土曜日、予想以上に忙しく、時間がほとんど取れませんでした。
そんな今回は、まさか会話だけでこんな。。
って感じです。
ここあ とアルテェスのやり取りから一転、って感じです。
楽しんで頂けたら嬉しいです。
(6)
ここあ はアルテェスに”ここちゃん”呼びされ、
「ここあ、なんだよ。
まさかアルテェスさんが、あの時の”アルちゃん”だったなんて、びっくりなんだよ。
それが姫、さ、まぁぁぁぁぁ!?」
気さくに答え掛けて、相手が姫様だと思い出し、素っ頓狂な声を上げた。
『ここちゃん、どうしたのですわ?』
ここあ の突然の奇声に戸惑いながらも、アルテェスは落ち着いた声で問い掛けた。
「え、あ、とぉ、、ごめんさいなんだよ。
アルテェスさんが姫様だって聞いてたのに、普通に話し掛けちゃったんだよ。
だから、、。」
『はぁぁぁぁぁ。。』
ここあ の言葉を遮るように、アルテェスが飽きれ気味に深いため息をついた。
『がっかり、なのですわ。』
その姫らしからぬ口調に、
「え!?」
ここあ が変な声を発し、
「がっかり、なんだよ?」
聞き返した。
『ここちゃんがそんな事気にするなんて、思ってませんでしたわ。
あの時は普通に遊んでくれましたわ。』
「だって、あの時は子供で、アルテェスさんが姫だって、知らなかった、んだよ?
ってあれ、違うんだよ。
知ってた、私あの時からアルちゃんが姫だって知ってたんだよ。
あの時、おじいちゃんに教えられて、私も、、。」
『思い出してくれたんですわね、"はとこ"の ここちゃん。』
「そうなんだよ、私達のおばあちゃんって姉妹だったんだよ。
うう、何かおじいちゃんの記憶封印のせいで色々忘れてたんだよ。。」
『色々と事情があったのですから、仕方がありませんわ。』
などと2人が長々話し込んでいると、
「ねえや、まだなの?」
デザートを食べ終え、手持ち無沙汰になっていたミラビィーが声を掛けてきた。
スマホ越しに聞こえたミラビィーの声に、
『そうでしたわ。
そこにラビちゃんが居ますわね。』
アルテェスが焦り気味に声を掛けた。
「居るんだよ。
それがどうかしたんだよ?」
ここあ の問い掛けに、
『ミラッジノ様が亡くなったと聞いて、里に使いの者を行かせたのですわ。
けれど里を出された後で、ずっと探していたのですわ。』
「そうなんだよ。
ラビちゃんの事情は聞いたんだよ。
その事とか”ストゥーリアさん”の事とか、色々話す事があるんだよ。」
『やはりストゥーリア様にも会われたのですわね。』
「あれ?知ってたんだよ?」
『鉄騎将が現れてから情報を集めてるのですわ。
それで直ぐ来られるのですわ?』
「これから食べ物とかラビちゃんの服とか買ってから、会いに行く予定だったんだよ。
アルちゃん、この近くで買い物出来る街、教えてほしいんだよ。」
『トコート様の家からでしたら、近くに商業都市"オンモイール"がありますわ。
そこなら服でも食べ物でも、大抵の物が買えますわ。』
「ありがとなんだよ。
それじゃ、買い物してか、、。」
話していた ここあ の耳に”ピピ、ピピ”とゆう電子音が聞こえた。
もしやと思いスマホの画面を見ると畜魔力が切れるとメッセージが表示されていた。
『何かあったのですわ?』
アルテェスの心配そうな声に、
「あ、ごめんなんだよ。
スマホの保持魔力が切れそうなんだよ。
買い物済ませたら直ぐに行くから、待っててほしいんだよ。」
答え、急ぎ予定を伝えた。
『でしたら昼食を用意しておきますわ。
色々と話を聞きたいですわ。』
アルテェスの提案に、
「わかったんだよ。
それじゃ、昼までに行くんだよ。」
ここあ が嬉しそうな声で答えた。
『お待ちしてますわ。』
「それじゃ後でなんだよ。」
そして通話を終えた。
ここあ はスマホを魔力充填モードにしてポケットに仕舞い込んだ。
※魔力充填モード:魔力充填が終わるまでスマホが使用不可状態になる
ここあ は、
「それじゃ買い物に行くんだよ!」
ミラビィーに楽しさの溢れた声を掛けた。
『いっくのお~!』
ミラビィーの声も弾んでいた。
2人は食事の後片付けを済ませると、出掛ける準備を始めた。
(7)
「お待ちしてますわ。」
『それじゃ後でなんだよ。』
通話を終えたアルテェスは、
『ほんとに良かったですわ。
ここちゃんもラビちゃんも元気そうでしたわ。』
2人の無事が確認出来た事で少し気持ちが軽くなっていた。
特に心配し、探していたミラビィーの安否が確認出来た事は多きかった。
アルテェスが表情を緩ませ、
「昼食の事を伝えないといけませんわ。」
楽しそうに呟きながら格納庫に戻ると、
「姫様、連絡が入っております。」
作業員が魔動電話を差し出してきた。
楽しそうに呟いていたのを見られた気恥ずかしさを取り繕うように、コホン、とひとつ咳払いしてから、
「ありがとうですわ。」
微かに表情を引きつらせながら魔動電話を受け取ると、
「どうしたのですわ?」
口調強めに声を掛けた。
相手は特に気にする事なく、
『鉄騎将の行き先が判りました。
商業都市"オンモイール"です。』
報告してきた。
場所を聞いたアルテェスの手が震え、顔から血の気が引いた。
それは先程、ここあ に勧めた場所だった。
アルテェスは気丈に、
「報告、ありがとうですわ。
あなたは引き続きそこの監視をお願いしますわ。」
言葉を絞り出した。
連絡を終え、魔動電話を渡してくるアルテェスの青ざめた表情に、
「如何なされました?」
作業員が心配そうに声を掛けた。
「な、何でもありませんわ。
あなたは作業に戻りなさい。」
慌てて否定の言葉と共に指示を出すと、急ぎ連絡を取ろうとスマホを ここあ に繋げようとした。
が、画面に出てきた"トコート"の文字はロックが掛かっていた。
どうやら相手のスマホが魔力充填モードになっている時は連絡出来ないようだ。
物凄く嫌な予感がアルテェスの頭を過り、
「"オンモイール"に向かいますわ。
魔動車の準備と、ドクターに駐車場に来るよう連絡をお願いしますわ。」
焦りつつも、テキパキと作業主任に指示を出した。
「何があったのですか?」
作業主任の問い掛けに、
「トコート様とミラッジノ様の孫達に危険が迫っていますわ。
詳しくは後で、とにかく急ぎますわ。」
早口で答え、急ぎ足で格納庫を後にした。
『ここちゃん、ラビちゃん、2人共無事でいてほしいですわ。』
魔動車で転移門を使えば直ぐに着ける。
アルテェスは大急ぎで駐車場に向かった。
如何だったでしょうか?
アルテェスの勧めで ここあ とミラビィーが向かう先には。。
次回、ここあ が奴と!?
バトル必至の次回は水曜更新予定。
楽しみにして頂ければ嬉しいです。
よろしくお願い致します。




