「異世界からのSOS。参上、ダイハッシャー!」(20)
第20回を公開します。
ここあを守る為、封印を解いたミラビィーは!?
な今回。
空戦バトル、ちょっと入ってます。
楽しんで頂けたら嬉しいです。
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4体の鉄騎獣が2組になり、炎の息吹を代わる代わる吹き掛けてくる。
車体は防御魔法が施されているので溶かされる事なく耐えているが、温度の上昇は止められず車内はどんどん温度が上がっていく。
残っていた魔力と吸収される魔力の一部を使い冷却魔法で車内を冷やしながら、
「冷却魔法ヲ、シヨウシナガラナノデ、ジュウテン二、ジカンガカカリマス。
ウゴケルヨウニナルニハ、ゴフンテイド、ヒツヨウデス。」
AIが現状を報告してきた。
「うう、ほんとごめん、なんだよ。
ちょっと調子に乗っちゃったんだよ。
猛省、なんだよ。。」
ここあ がへこんでいると、
「ジョウクウニ、マリョクハンノウ。
コノハンノウハ、戦闘機ノモノデス。」
AIが魔力の検知を報告してきた。
「え、それってどうゆう事、なんだよ?」
「シラベマス、スコシオマチクダサイ。
・・・。
ミラビィーサマノフウインガ、”カイジョ”サレテイマス。」
「え?え?突然すぎるんだよ。」
ここあ が驚きの声を上げていると、
『ここねえやー!』
スピーカーからミラビィーの叫び声が響き、同時に戦闘機が鉄騎獣に突っ込んできた。
鉄騎獣1体が翼に斬られて絶命し、落下していく。
急襲に驚いた残りの3体が慌てて散開していくのを追わず、戦闘機は車ロボの上で警戒しながら、空中停止し、
『ここねえや、大丈夫なの?』
ミラビィーがスピーカー越しに心配そうな声を掛けてきた。
「ラビちゃん、ありがとなんだよ。
助かったんだよ。
こっちはもうちょっと動けないんだよ。
鉄騎獣、任せて大丈夫、なんだよ?」
ここあ の問い掛けに、
「任せてなの。
ねえやはのんびり見てるんだよ。」
少し高揚気味のミラビィーの返事に、
「それじゃ任せるんだよ。
でも、無理しちゃダメなんだよ。」
ここあ が返した。
『それじゃ、行っくの~!』
ミラビィーは楽しげな声を発して、鉄騎獣に向かって飛んで行った。
ここあ は通信マイクをオフにしてAIに話し掛けた。
「なんだか雰囲気かわってるんだよ。」
「シンタイジョウホウガ、ホンライノタイカクニ、ナッテイマシタ。
ココアノ、ヤクニタテルノガ、ウレシイノデショウ。」
「そっかぁ、それは頼もしいんだよ。」
ここあ の言葉には少し嬉しさが籠っていた。
そんな喜ばしい状況に水を差される事になるなど、知る由もなく。
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『それじゃ任せるんだよ。
でも、無理しちゃダメなんだよ。』
ここあ に頼られた事が嬉しかったようで、
「それじゃ、行っくの~!」
テンション高めで、鉄騎獣に向かって行った。
自分達の領域を侵されたとばかりに、鉄騎獣が3方向から羽根を飛ばして攻撃してくる。
のを、急上昇でかわし、高速で大きく背面旋回して1体の背後に回り込み、翼で斬り裂いた。
そのまま前方に居る1体に装備武器の、
「ツインバルカン!」
バルカン砲の弾丸を叩き込む。
「最後なの!」
残り1体になり分が悪いと逃げ出す鉄騎獣の背後に迫り、
「レッドアイ、ビーーームっ!」
機体の全面にウサギの目のように付けられた2つの赤い宝石から赤い光線が放射され、鉄騎獣の体を貫いた。
空を駆ける戦闘機の高機動力の前では鉄騎獣は敵ではなく、あっと言う間に殲滅されてしまった。
ミラビィーは大急ぎで戦闘機を車ロボの近くに着陸させ、
「ここねえや~!」
コックピットから飛び出して、ここあ に駆け寄った。
車ロボから降りて出迎えてくれている ここあ の胸に、
「私、がんばった、の、ぉぉ。。」
言いながら飛び込もうとした体が、元の体格に戻った。
「あれれ?もどっちゃたの!?」
ここあ に受け止められたミラビィーが不思議そうに自分の体を触っている。
同じように不思議そうに見ていた ここあ は、
「とにかく、お疲れ様なんだよ。」
言いながらミラビィーの頭を撫でた。
「ほんと助かったんだよ。
でも、どうして急におっきくなったんだよ?」
ここあ の問い掛けに、
「あのね、あのね、、。」
ミラビィーが聞いて聞いてとばかりに勢い込んで話そうとした時、2人の側で風が舞い上がった。
そこに立っていたのは、
「ストゥーリアさん、なんだよ?」
祖父達のかつての仲間、ストゥーリアだった。
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「まさかミラビィーの封印が解けるなんて。。」
2人の戦闘を見ていたストゥーリアが呟きを漏らした。
「けれど、あれでは全然です。
時間を掛ければなんとかなるでしょう。
けれど、そんな余裕はありません。
やはり、巻き込めませんね。」
意を決したストゥーリアは枝を軽く蹴って飛び上がり、風を纏ってふわりと2人の近くに降り立った。
気付いた ここあ が、
「ストゥーリアさん、なんだよ?」
突然現れたストゥーリアを見て戸惑いの声を漏らした。
「久しぶりですね、ここあ、ミラビィー。
元気そうでなによりです。」
硬い口調で話し掛けてくるストゥーリアに、
「前にここに来て以来なんだよ。
会えて良かったんだよ。
これで4、、。」
嬉しそうに声を掛けてくる ここあ の言葉を、
「何故、来たのですか?」
強い口調で遮った。
「え?何でって、異世界を救う為に決まってるんだよ。」
ストゥーリアの言葉に戸惑いながらも、ここあは思いを伝えた。
「トコートは何故来ていないのですか?」
「祖父は、亡くなったんだよ。。」
「やはり、そうでしたか。残念です。」
表情を曇らせるストゥーリアに ここあ が声を掛けようとすると、
「はっきり言わせてもらいます。
ここあ、ミラビィーをアルテェスに預けて、さっさと自分の世界に帰りなさい。」
ストゥーリアが強い口調で告げた。
「な、何で、、。」
「なんでそんなこというの!」
今まで黙っていたミラビィーが食ってかかった。
「ここねえやはあたしをたすけてくれたの。
ねえやがいなかったらしんでたの。
ずっといっしょっていってくれたの。
だから、かえらな、い、のぉ。。」
ミラビィーが堰を切ったように発し、泣き出した。
そんなミラビィーの頭を撫でながら、
「何でそんな事をいうんだよ。
理由を教えて欲しいんだよ。」
ここあ がストゥーリアをしっかり見据え、問い掛けた。
「足手まといだから、です。
あなた達の成長を敵は待ってくれません。
決して負ける事は許されないんです。」
返されたストゥーリアの言葉には50年前の戦いを生き抜き、世界を救った者だけが言える重みがあった。
"異世界を救う為の負けられない戦い"
言葉の重みを噛み締め ここあ は何も言えなくなってしまった。
「いいですね。
これは忠告ではありません。
先代の封印の勇者からの"命令"です。
さっさと自分の"居るべき場所"に帰りなさい。」
再度、強く言い聞かせる様に思いを伝えると、
「もう、会う事もないでしょう。
さようなら、ここあ、ミラビィー。」
別れの挨拶を残して、風を纏い空へと消えていった。
気まずい雰囲気に飲まれ、黙り込む2人を残して。
如何だったでしょうか?
ミラビィーの空戦バトルはバトルハッシャーと共にメインメカになるのでちょこちょこ出てくると思います。
頑張って戦闘シーンをもっと格好良く書けるよう努力します。
そして厳しいお言葉が。
その言葉に秘められた真意にここあは気付けるのか?
って事でミラビィー覚醒編の第三章終幕。
次回から四章に入ります。
土曜更新予定。
楽しみにして頂けたら嬉しいです。
よろしくお願い致します。




