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「異世界からのSOS。参上、ダイハッシャー!」(11)

第11回を公開します。

少女を助けたここあの前で少女が!?

な今回の話。

昨日の更新ち併せてここまで書く予定だったんだけど、ちょっと長くなってきたので分割。

わりといい感じになったんじゃないかな、と思ってます。

楽しんで頂けたら嬉しいです。

(5)


「3匹、られたのか。」


鉄騎将テメッタルは意識から3匹の鉄騎獣の反応が消失するのを感じ取った。


「どうやら勇者が動きだしたようだな。

 50年も経ったってのにまだ生きてやがるのか。

 まてよ、たしか1人エルフの女が居たな。」


4勇者は3人の人間と1人のエルフで構成されていた。

エルフなら50年程度でおとろえたりはしない。


「おもしれぇ。

 どれ程の力か試してやろうじゃねぇか。」


鉄騎将テメッタルは不適な笑みを浮かべながら、


「ちょっと暴れてきな。」


鉄騎獣に命じた。

命令に従い鉄騎獣10体(陸系5、空系5)が、られた狼鉄騎獣の居た森へと向かって行った。


(6)


ここあ の優しい笑顔で少女は恐怖と緊張で固まっていた体からちからが抜けていくのを感じた。

張り詰めた状態から解放され、安心感がまた涙をあふれさせた。


うっく、、ひっく、、えぐっ。。


少女は嗚咽おえつしながら、その場にへたり込んでしまった。

その時、


じゅわ


れだしたのを感じた。

脱力した体はゆるめてはいけない所も緩めてしまっていた。


「あっ、、あつ、、らめ、、らのぉ。。」


消え入りそうな声を発しながら必死に決壊を止めようとしたが、ちからを入れる事が出来ず、溜まっていたものが全て放出されてしまった。

スカートの裾を引っ張って隠そうとしたが、大きく広がった水溜まりを隠す事は出来なかった。


「ちがうの、ちがうの。」


泣きながら否定の言葉を発する少女を、ここあ は濡れる事も気にせず、膝を付いて優しく抱き締めた。


「ちがうの、ちがうの。」


消え入りそうな声で否定し続ける少女の体はひんやりとしていた。

冷えきった体から状況を察し、背中を撫でながら、


「大丈夫だよ。」


優しく声を掛けた。


「寒くて、したくなっちゃったんだよね。

 狼鉄騎獣あいつらに邪魔されちゃったんだよね。

 解ってるんだよ。

 だから泣かなくていいんだよ。」


言いながら背中を撫で続けた。

ここあ の優しさとあたたかさに触れ、落ち着いてきた少女が、


「こわかったの。。

 はずかしかったの。。」


小さな声で思いを発し、


「たすけてくれて、ありがとなの。」


お礼の言葉を述べた。


「無事でよかったんだよ。」


言いながら体を離すとポケットからハンカチを取り出して、涙と鼻水でぐちゃぐちゃになったいた少女の顔をいてやり、


「立てる?」


立ち上がって右手を差し出しながらたずねた。

少女は ここあ の手を両手でつかみ足にちからを入れようとしたが、


「ちから、はいらないの。」


弛緩しかんした体にちからが入れられなかった。


「そうなんだよ。」


ここあ はちょっと考え、少女に背中を向けてかがみ、


「おんぶするから腕出すんだよ。」


自分の肩をぽんぽんとたたき、腕を出すよううながした。


「だめなの。

 よごれちゃうの。」


少女におぶさると汚してしまうと思い、躊躇ためらう少女に、


「そんな事、気にしちゃダメなんだよ。」


肩越しに笑顔を見せ、もう一度肩を叩いた。


「わかったの。」


少女は両腕を ここあ の肩越しに前に伸ばした。

その腕をつかんで軽く引っ張ると少女のおしりが浮き上がる。

そのまま背中に引っ付かせて、浮いたおしりに手をあてがい、持ち上げた。

少女はものすごく軽かった。

バランスを取りながら立ち上がった ここあ が、


「あなたミラビィーちゃん、だよ?」



肩越しに話しかけた。


「そう、なの。

 なんでしってるの?」


きょとんとして不思議そうに尋ねるミラビィーに、


「あたしの事、覚えてないんだよ?ラビちゃん。」


前に異世界ここで遊んだ時の呼び方で声を掛けた。

懐かしいその呼び方。

そう呼んでくれるのは2人だけだった。


「ここねえや、なの?」

「よかったんだよ。

 覚えててくれたんだよ。

 そうだよ、ここねえやだよ。」

「ねえ、や、なの。

 ねえやなのぉ。」


ここあ が昔、お姉ちゃんになってくれると言ってくれた人だったと解り思いがあふれだした。

祖父が亡くなってからずっと寂しい思いをしてきた。

手助けてしくれる人はおらず、ここに来るまでも苦難の連続だった。

ミラビィーは折れ掛けていた心が温かくなるのを感じていた。

そして、


「うわ~ん!」


また泣き出してしまった。


「もう、泣かないんだよ。

 それじゃ、家に帰ってお風呂に入るんだよ。」


ここあ の提案に、


「はい、なの。」


満面の笑顔で答えた。

そして、


「あれれ、だよ?」


ここあ の肩にミラビィーの頭が落ちてきた。

首に寝息を感じ、


「寝ちゃったんだよ。

 すごく疲れてたんだよ。

 帰ったらいっぱい話するんだよ。」


優しい声で話掛け、家に戻ろうとした時、足元に果物が3つ落ちているのに気付いた。


「これを取りに行ってたんだよ。」


ここあ は片手を離し、ポケットから収納板ストレージカードを取り出すと、揺らさないように気を付けながら果物を収納した。

家に向かって歩きながら、


「しゅうくん。」


AIしゅうくんを呼び出した。


「ココア。

 ミラビィーサマヲ、キュウシュツデキタノデスネ。」

「そうなんだよ。

 それでちょっと汚れちゃったからお風呂に入りたいんだよ。

 用意出来るんだよ?」

「カノウデス。

 デハ、ジュンビシテオキマス。」

「よろしくなんだよ。」


通信を終えた後、ふと気になった。


『あれ?なんで言葉って通じてるんだよ?

 昔聞いたような。。

 まぁいいんだよ。

 後でしゅうくんに聞いてみるんだよ。』


そんな事を考えつつ、背中の温かさを感じながら家路を急いだ。

如何だったでしょうか?

少女の名はミラビィー。

ここあの記憶の封印が解けた事で色々と繋がってきました。

ミラビィーのあのシーンは直接的な表現にならないようにしました。

女の子なので。

次回からしばらく説明が続く、かも。

次回は水曜更新予定。

楽しみにして頂けたら嬉しいです。

よろしくお願い致します。

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