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序章
序章
目を閉じるといつも同じ場所に座っている・・・
そこは広い部屋のような、それにしてはあまりにも広すぎる。壁は白く、上を見上げると天井があるだけだ。薄暗くて広い伽藍堂のような場所で私は孤独である。自分が何者なのかここではわからなくなってしまう。目を閉じる前は何かをしていたはずなのに、それがわからない。
ある日、この部屋を歩いていると壁に近づくたびに壁が遠ざかっていくことに気が付いた。この部屋に果ては存在しないのかもしれない。誰もいない部屋、いや、道をひたすら歩いている。この部屋から出たい。逃げたい。ここで死んで楽になりたい。そんな思いが脳裏を永遠に駆け巡っている。
「死にたい・・・殺してくれ・・・」
部屋の中で一人呟いた。
「誰がために死にたいと思う?誰がために殺してくれと願う?」
誰だ!辺りを見渡すが誰かがいる様子はない。その声は聴いたことがあるような声だったが、声の主が誰なのかわからない。その声は、また語り掛ける。
「ここから出たいか?」
「出たい!」
私は迷う暇もなく答えてしまった。これから支払う代償を考えもせずに・・・