第1話
ーシトシト…シトシトー
「あら…やっぱり雨降って来たわね」
寒い土曜の朝、部屋の掃除が終わり、暖かいココアを作り終え、雨が屋根に打ち付ける音で私は気付く
「洗濯物、中に干して良かったわ」
ーコトー
リビングに入り、テーブルにココアを置き、座りパソコンを立ち上げる
ココアからはほのかに湯気が立ち上がる
「〜♪このエプロン…あ、可愛いな」
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…お母さんとお揃いにしよっかな
お母さんが帰ってきたら、お揃いのエプロンでお料理したいな
…私は今、この家に1人で住んでる
名前は目黒サツキ
「ニャー…」
ーグリグリー
あ、いや1人じゃないわ…
家族である、猫のプーがオヤツの催促をねだって私の足に頭をグリグリしてくる
ちなみにプーは私と一緒で女の子
ちょっとおデブなニャンコだ
でも、真っ白な毛並みは滑らかで撫でるととっても気持ち良い
「んもー…さっきご飯食べたでしょ?」
「ンニ〜…」
悲しそうな顔をしてるみたいに見えて、まるで、そんな事言わないで少しちょうだいな、なんて言ってる様だ
まぁ、人間の女の子と猫1匹で住んでるとはいえ、両親はいたって健康
仲も良い
しかし、お父さんは外務省の職員で海外を転々とする職業
今はウズベキスタンの大使館で働いている
ウズベキスタンなんで、世界地図で何処なんだ、と言われても指で指せない…そんな所
お母さんは洋服やアクセサリーのデザイナー
基本的には家にはいてくれるんだけど、仕事柄イベントや依頼ががあれば出張する事が多いんだ
今は関西で、イベントがあって出張中
だから、1年間で、ひとり暮らしの期間がどうしてもふた月以上、出来てしまう
まぁ、高校1年にもなれば、1人なんてそう苦でもない
私にはプーもいるし♪
ーグリグリー
プーが執拗に頭を押し付けて来る
「はいはい…分かったわよ…少しだけよ?」
「ニャ♪」
…この子…
私の言葉理解してるのかしら…