Ep16 僕戦闘爆撃機(後)
「チェック、チェック、チェック、オールグリーン。ハイグレイ04エアボーン」
C-17の機内を確認し終えたハイグレイ04とハイグレイ05も主力の降下から遅れて最後に機体から走って飛び降りた。
高度13000[m]からの高高度降下だけど、目標の天界は高度3800[m]付近にある為パラシュートは高度4400[m]付近にてパラシュートの展開を開始する。
降下中の歩兵達はほぼ無防備たけれども、一緒にSu-35君8機とSu-3412機に加え、JAS-39兄さん達が6機一緒に急降下を行いこれを護衛する。C-17さん達の護衛は8機のMiG-35君達が担当する。
歩兵の護衛でポロニウムを使用するのは言語道断。降下中の歩兵達は酸素マスクを着用している為ポロニウムを吸引してしまうことはないけれど、天界にポロニウムが散布されてしまえば降下後に体内に入れてしまう可能性が高い。
だからチャーリースコードロンの無人機達が装備するミサイルには貫通力を高める為のマジックペイントは施してあるけど、弾頭はHE弾頭なんだ。理想的な形は敵に突き刺さり体内で弾頭が大爆発される事なんだ。
歩兵部隊よりも早く天界に到達した僕らブラボースコードロンの戦闘爆撃機達は敵の注意を真上に向かせない為に天界を横から攻撃する。
今更なんだけど、ブラボースコードロンの目的はチャーリースコードロンの存在を隠蔽する囮としては同じだったけど、結局部隊を2分しているし、同じ部隊として扱わない方が良かったと僕は思う。
当然僕達も対地攻撃においてポロニウム等人体に有害なNBC兵器は使用できない。かといって悪魔を戦車の撃破に特化したHEAT弾で1撃で殺せるとも考えにくい。
そこで使われるのがキリル弾。僕らの機銃にはこれが使われている。キリル弾はキリル文字のマジックペイントを施した徹甲弾で、ルーン文字を用いたルーン弾みたいなものだ。僕らロシアの兵器と相性が良いんだ。これのお陰で23[mm]弾の弾幕で今まで問題なく悪魔達を殺せてきた。こっちの方が普通のマジックペイントより安上がりなのだ。
キリル弾だけじゃない。最初に説明したミサイルもそうだけど、弾頭に粘着榴弾というものを使用したS-8ロケット弾を搭載する兄弟もいる。粘着榴弾っていうのは先端の爆弾が目標に当たったときいったんグニャって変形して表面にへばりついてから爆発するんだ。するとより多くの衝撃が目標に与えられるっていう弾頭なんだ。本来は戦車の内部に損害を与える為の弾頭だったけど、今回は生物の内蔵に与えるダメージに期待しているらしいんだ。直撃させられればの話だけどね。
しかし側面からの攻撃は意外と厳しい。対地ミサイルにしても僕達自身にしても被撃墜の可能性が空中と比べて高くなりやすい。
空での戦いなら相手にも旋回性能や加速及び減速の都合から行動に制限があり、進路や視界、どこに注意が向いているかは容易に判断できたし僕達はそれを瞬時に全て把握することができて、空対空兵器も問題なく使用できた。
しかし今敵は地面に立っている。じっくりと僕達の事を狙っているし、足を踏ん張れる都合もあり鹵獲したであろう天使達の盾とかを構えている目標もある。
真上に注意を向けさせても問題ないのなら大した問題にはならないけど、そうはいかない。ならスモークを使えば良いかと思うかもしれないが、風も強くスモークは足りないし、歩兵達の着地の障害になり着地に失敗なんてされたら大変だ。
ただ天界が浮島であり、アプローチの高度が低すぎても逆に更に高度を下げることにより地面への激突を防ぐことができる。
僕は十分な距離で加速を行いマッハ1.4にてガンポットの銃身を30度下に傾けアプローチを行った。
低空侵入での機銃掃射は自分の身も危険だが、掃射された側が上をまともに見ていられるとは考えにくい。少しは無理をしてでも敵の注意を自分に向かせるんだ。
圧倒的な23[mm]キリル弾は防御を行った悪魔を用意に粉砕したが、速度が出すぎていて旋回がキツく、2人しか殺せなかった。
歩兵展開後も近接航空支援を行わなければならないと考えると同じ危険は冒すべきではない。弾薬の節約も重要なのだ。
遂に悪魔達が上空から降り注ぐ歩兵達に気がついた。しかしまだ誰1人として落下傘を展開していない。
カルネアデスのA級歩兵1人よりも僕らの方が価値が高いとなっているが、この場合危険が及んでいるのは降下中の100人以上の歩兵全てが該当する。彼らの為の囮である僕達は勿論これを死守しなければならない。
2機のM-787によるミリ波の電波を使用したDEWの照射が開始された。普通の人間ならバーベキューにできる出力の電波で驚異度の高い目標から攻撃していく。
僕が搭載しているR-73はポロニウム未使用型だ。よって上昇を開始した悪魔にも優先的に僕のR-73が使用される。
撃ち漏らしももう12機のSu-34と8機のSu-35が急降下で歩兵を追い抜きながら機銃で迎撃する。
歩兵達が落下傘を展開し始めた。僕は再び超低空を超音速で駆け抜けながら機銃を発射する。さっきよりもっと低く、ツリートップレベルでのアプローチだ。これはキルを狙ったものではなくただの制圧であり、命中弾は得られなかったが衝撃波で敵の注意を引き付けることができた。
そんな低空でのアプローチを繰り返していたら1機の兄弟が爆発四散した。先にミサイルを撃ち尽くしたミサイリアー型の兄弟だった。
被撃墜時の被害が1番小さい為超低空で敵の注意を引き付け続けていたのだ。しかし氷の魔法によりエンジンを破壊され、そこを他の敵に爪で切り裂かれて大爆発したのだ。黒い煙を残し兄弟は散ってしまった。
悲しんではいられない。僕達は僕達の存在意義を果たさなければならない。彼の死を無駄にしないこと。それが僕らにできる償いだろう。
守りきれずに悪魔2人に狙われていた歩兵がいた。まだ地上までは50[m]程あったが彼はパラシュートを脱ぎ捨てた。しかし間に合わなかった。もう狙われていた時点で彼には取れる生存の道は残されていなかったのだ。
しかし彼は生き延びた。歩兵と悪魔との間に突如としてハイグレイ04が現れたのだ。ハイグレイ04が両手のナイフを振ると、そこから飛ばされた白い非物質の刃が2人の悪魔を切り裂いたのだ。
04とその歩兵は地面に激突した。カルネアデスの歩兵の方は平気そうだったのに対してハイグレイ04は完全に腕を折っていた。しかしそこはハイグレイズ、瞬時に魔法で元通りだ。耐久力は全然高くないけど回復力は結構高い。
先方の歩兵達は結構な着地前にパラシュートを脱ぎ捨てて天界に着陸していた。中にはマスクを外さない歩兵もいた。そんな中パラシュートで今だ降下中の歩兵達に対して両手の掌をかざしている悪魔がいた。
これはまずいと僕は思った。サーバーからの攻撃指令は存在していなかったが、僕はこれに攻撃を宣言してアプローチを行った。僕が9G旋回する中悪魔は手に何やら光る球体の様な何かを集めていた。
僕はリミットを無視して更なる旋回を行うべくエンジンを最大出力にして増速して旋回を行った。機銃を発射する前に主翼がもげた。あまりの旋回による加速度と空気抵抗で翼が折れてしまったのだ。しかし僕は弾幕を展開し、弾をこの悪魔に浴びせることができた。
地面への激突は免れた僕だったが、もう戦闘には参加できない。今はもう姿勢を維持するのが精一杯だ。
もう、僕には後が無い。このまま帰還できたとしてもスクラップとして使えるパーツだけ抜き取られて処分されるだろうし、帰還できるかどうかも正直怪しい。破損の大きな機体が着陸する場所など用意されていない。
96式艦上戦闘機さんは左翼の3分1を失い、F-14艦載戦闘機さんも右翼の半分程を失い生還したと聞いている。F-15さんの事故は有名な話だ。けど、僕達は皆外付けJATOで離陸して、ドラッグシュートを使ってギリギリの即席滑走路に着陸する予定だった。
燃料を吹き出しながら主戦場を離れる僕を追撃する悪魔がいた。味方の撃ったミサイルが命中する前にその悪魔は闇魔法の球を放っていた。
追尾するこれを僕は回避することができず、MSJFと呼ばれる魔法を狂わせる特殊なフレアーを放出して対処するも、発生した大爆発に僕の体は耐えきれなかった。
遂に姿勢を維持することができなくなった僕は地面に向かいスピンし始めた。今更ドラッグシュートを展開しても姿勢は直せない。僕はただ落ちて行くしかなかった。
近づいて行く地面にはどうすることもできない。
僕はまだ、かわいかったかな?
前回の死亡フラグはわりと後になってくっつけました。
長くなりすぎたので前後に分けました。
やっぱりしっかりこのSu-34はこのSu-34視点の時に死なせてあげないと落っこちたのがどのSu-34か説明しにくいですからね。
実は、右翼壊れたF-14が生還したっていうのは噂でしか聞いたことがなく、それで飛んでいるF-14のモノクロ写真しか見てないんですよね……つまりソース不明です。
F-16の写真扱って複数の国のネットニュースが記事を上げていましたが、どうにもジオラマにしか見えず胡散臭かったのでこっちは書かないことにしました。
96式とF-15はマジですね。
ってことはF-15は両主翼が無くともそれ以外が全て正常であり十分な滑走路が用意されていれば飛行することは可能って事ですよねきっと。
私もエスコンやってたら違ったのかもしれませんが、ピクシーのモデルにピクシーっていうのはやっぱりなんかね……まるでパクツイがバズってる感じがししましてね……ピクシーが悪い訳じゃないですけど。