洞窟の中に真っ逆さまなプロローグ
プロローグです。
ふと目がさめると洞窟の中。
洞窟の入り口辺りに倒れていたらしい
目の前には銀世界が広がる。
空は雲、吹雪。
「寒い」
凍りつくような寒さ
寒いというより、身体の芯が凍りつくような感覚。
一体ここはどこなのだろうか…
一体僕はどうしてここにいるのだろうか?
幸い記憶はある。
意識を失う直前の記憶はないものの、確かロシア行きの飛行機に乗っていたはず。
まさか、飛行機が落ちたのだろうか…
いや、どうだろう
僕が洞窟に横たわっていたってことは、誰かがここへ運んで来たことは間違いない
「しかし、人は見当たらず…僕の荷物が僕の隣に置かれているところを見ると、助けてくれた誰かは僕の荷物を持って来る程度の余裕があったのだ。しかし、書き置きは無し、洞窟も広くはないから洞窟の中に命の恩人さんがいるってことはまずないだろうな。
仮に飛行機が落ちたのだったとしたら新たに人を救助しに行っているのだろうか?」
いや、それはないだろう。
僕の荷物を持って来る意味がわからない。
ある程度の重さはあるから…少なくとも僕を運ぶついでに、で持って来ることができる量ではない。
しかし、寒いな。
火が欲しい。
「氷よ、汝を反転し、火を成せ」
てから火の玉が出て、僕の周りを浮遊する。
これで一安心。
「うーん、なんか違和感が…なんだろ」
僕は特におかしなことをしてはいない筈なのに、この違和感。
待てよ…
「魔法…少なくとも魔法及びそれに準ずるものを行使したことについて」
なんだこりゃ。
魔法を使えるようになったらしい。
自転車を漕ぐみたいな技能が僕に備わっているのと同じように、簡単に魔法を使えるようになったらしい。
ともあれ、違和感の正体はつかめたわけだ。
「仮説1、僕は幻覚を見ている
仮説2、僕は夢を見ている
仮説3、僕は本当に魔法を身につけた」
夢であるというのは…夢だとしたら余りにも現実味が過ぎる。
でも、夢の中ってとんでもないことを、当たり前の様に出来たりするものだ
一応、夢だってことにしておこう
「なんだか、暖かくなって来たから眠くなって来たな、夢の中で寝るというのもなかなか奇妙な体験ではあるけれど…」
これが異世界に来て1日目のことである。
もしこの話が気に入っていただけた、あるいは興味を持っていただけたのなら、次の話を読んでいただけると幸いです。
評価が欲しい!なんてことは言いません。
ただ、読んでいただけると嬉しいのです。