プロローグ
庵野秀明氏、鈴木貴昭氏、島田フミカネ氏、(ryに敬意を表して・・・
《西暦2070年 日本 東京 空軍参謀本部》
窓の外は快晴で、差し込む日光がとても明るかったので、部屋の電気はついていない。
いい日和なのだろう。
皇居周りを走る人の数はいつもより多かった気がする。
そんな外の清々しい天気と違い、空軍参謀飾緒をつけた上官の顔は硬く曇っている。
「まずは『お疲れ様』とでも言っておこう、大八島君。君の頑張りのお陰でヤマトタケル計画は完遂出来たと言っても過言ではない」
『ヤマトタケル計画』、40年ほど前から日本が推し進めてきた多目的大気圏外衛星基地の開発計画のことである。私、大八島翔平は3年前からこの計画に携わり、様々な仕事をこなした。
「いえ、小園中将、私はただ尻で椅子磨きをこなしただけです」
「謙遜するな。実際、君が書いた報告書は実に的確だった。あの報告書のお陰で、停滞していた作業がスムーズにいった。勲章モノの働きだ、が・・・・」
中将は引き出しから一枚の書類を取り出し、机の上にそっと置いた。
「この書類は素直に受け取れんな」
中将が出したのは、先日私が届けた現役復帰願だった。
「確かに、かつて『日本海事変』と『イベリア半島攻防戦』で名を馳せたエースたる君が、現在の欧州戦線の戦況から現役復帰を願わないハズはない」
3年前、ヤツらは再びこの地上に現れた。
25年前に初めて現れ、平和を謳歌していた世界中を恐怖のドン底に叩き落とした機械生命体、BW(Biological Weapon)。
22年前、激闘の末撃退したはずなのだが、どういうわけか4年前、カスピ海西岸に「巣」が出現した。
今度は好きにはさせまいと、人類連合軍は「巣」の周りに大包囲網を築いたが、それもほんの僅かな隙を突かれて敢え無く崩壊した。
我が日本国防軍も陸海空すべての主力を欧州へ派遣し、BWの欧州侵攻を防がんと敢闘したが、破竹の勢いのBWを押し返すことはかなわず、今はフランス南部に長大な防衛線を築き、睨み合いの状態にある。
小園中将は続けた。
「前線としては、君ほどのエースが戻って来てくれることはこの上なくありがたいことだろうが・・・、空軍としては君に死なれては困る。
どうしても前線でないといかんのか?」
何やら勘違いを受けているようだ。
「失礼ですが閣下、書類をよくお読みになられましたか?」
「何?」
「お手数ではありますが、今一度、『希望理由』の欄をよくお読みになって下さい」
小園中将は書類を手に取り、ルーペを用いて希望理由を凝視した。そして読み終わると、書類とルーペをゆっくり机の上に置き、私の顔をゆっくりと見上げ、ゆっくりと口を開いた。
「・・・・大八島君、『例のアレ』は・・・、もう、そこまでになっているのか・・・?」
「はい、まだまだではありますが」
小園中将は腕を組み、口をすぼめ、暫くの間沈黙した。そして秘書を呼ぶと、私の現役復帰願の書類を空軍長官へ届けるよう言いつけた。
「・・・正式な辞令は後日下される。以上だ。退室してよろしい」
「はッ、ありがとうございました」
物語の始動は、迫りつつあった。
小さな翼の羽ばたきが、やがて大風を巻き起こす物語。
乞うご期待あれ
to be continued・・・
まぁ、どうかお付き合い願います。
ちなみにこの作品はPixivに掲載中の小説の未来談でありますが、そっちの方は殴り書きのメモみたいなモンなので、気にしなくても良かとです。