告白
【二人並んでベンチに座る。あなたは身体的距離を詰めてくる。肩が触れ合う。】
距離、近いって。距離感おかしいんじゃない?
僕が言う。
ううん、おかしくない。
あなたが言う。
ねえねえ、最近、彼女とどう? 上手くいってる?
あなたが言う。
そればっかり訊くね。
僕が言う。
だって、それしか話すことないよ。
あなたが言う。
逆に彼氏とどうなの?
僕が言う。
なんか、また怒ってる。
あなたが言う。
え、どうして?
僕が言う。
君とよく会ってるから。
あなたが言う。
……。
僕は何も言えなかった。
ん、急にどうしたの?
あなたが言う。
何にもないよ。ていうか、なんでそういうこと彼氏に言う?
言わなかったら、浮気っぽいじゃん。それに。
あなたが言う。
それに?
彼に……やんわりでもいいから気付いてほしいんだと思う。
あなたが言う。
やっぱり、距離、近いよね。
そうかな、ごめん。嫌?
あなたが言う。
嫌なら自分から離れる。それにさっきのは言葉の距離っていう意味で。
訊かないの?
あなたが言う。
え?
なんで彼に気付いてほしいか。
あなたが言う。
訊かないほうがいいんじゃないかな。
意地悪。
と言いたげな顔をするあなた。
フグみたいな顔。
意地悪。
あなたが言う。……言われてしまった。
謝ったほうがいい?
そんなのいいから。悪いと思ってるなら訊いてください。
……わかったよ。どうして?
きっと、やんわりでもいいから、君にも気付いてほしいんだ。
……。
僕は何も言えなかった。
【二人並んでベンチに座る。僕は身体的距離を詰めた。もう一度、肩が触れ合う。】