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ホラーゲーム『チージオストリート』

 ビチャビチャビチャビチャビチャ


 森の中、泥道を走る男。


「なにあれなにあれなにあれなにあれなにあれなにあれ」


「…………………………」


 声を出さず足音も立てずに迫り来る白い服の女。


「ムリムリムリムリムリムリムリもうムリ」


 必死に逃げていると館が見えた。


「た…たすけ……て……」


 なんとか館に辿り着く。

 急いでドアを開け中に入り、素早く閉めて鍵をかける。


 ドン!ドンドンドンドンドンドンドンドンドンドン…………


 ドアは強く叩かれていたが次第に音が小さくなり気配が消えた。


「……助かった?」


 男はホッとした。

 その時、男の肩に何かが触れた。


 ◇◇◇◇◇


 CM

 星が1個 宇宙から消えた日

 それは始まった

 宇宙まるまるシューティングゲーム

 『ウォンムポトル』

 この世のハテまで続けよう


 ◇◇◇◇◇


「!!!!!!!!!!!!!!!」


 チュートリアルが終わって油断していた男は声にならない叫び声をあげる。


「どうされましたか」


 そこにいたのは吸血鬼を思わせるガタイの良い男だった。


「私(わたくし)、ここでオーナーをしているシェルフィクといいます。気軽にシェルフとお呼びください」


 この館はホテルで、シェルフは泊まるかどうか聞いてきた。


「お泊まりになりますか」


 ここで泊まらなければバッドエンドになる。

 男は泊まるを選んだ。


「では、こちらにお名前を」


 ゲーム内のプレイヤー名を決める場面


「いつもの名前にしよ」


 男は名前をアディにした。


「アディ様でよろしいでしょうか」

「はい」



「では、部屋に案内しますね」



 シェルフが雑談しながら部屋へ案内するムービーに移る。

 2階に上がると長い廊下。左右にはたくさんのトビラ。2階はホテルに訪れた客が泊まるための部屋があるだけだった。


 このゲームはリアルの体を反映することができ、体格等によってルートやエンディングが変わる。そのため2階のセーブできる宿泊部屋のトビラは案内された部屋以外は開かない。

 もちろんリアルとは違う体でプレイすることも可能になっている。

 ちなみにアディはリアルを反映してプレイしている。


「こちらです。では、ごゆっくり」


 部屋に入りトビラを閉めたところでムービーが終わった。


「とりあえず、セーブしよ」


 アディはベッドに潜り込んで眠っ(セーブし)た。


 ◇◇◇◇◇


 CM

 この世には普通の人しかいない

 なりすまし推理ゲーム

 『普通の普通』

 違う……


 ◇◇◇◇◇


 ガタン!


(ヒッ!)


 最初にセーブしてから数時間。


(もぅ、ムリ……)


 アディはビビりでホラーが苦手だった。そのためメンタルはすでにボロボロである。


(「) (も) (う) (や) (め) (て) (い) (い) (?) (や) (め) (て) (い) (い) (?) (」)


 アディは物陰に隠れながら小声でぶつぶつ呟いている。

 今は追ってくる怪物から逃げながら探索しているところだ。


 ギッ…ギッ…ギッ…バタン


 怪物が部屋から出ていく。

 アディはホッと安堵の息を吐いた。


「助かったけどこれからドコ行けばいいの?」


 ゆっくりトビラを開けて廊下を見渡す。怪物はいなかった。

 慎重に移動して近くの別の部屋に入る。


「近かったから入ったけどこの先なの?」


 そこは通路になっており突き当たりにトビラがあるだけだった。

 恐る恐る進むとプシューという音と共に煙が噴き出してきた。


「!!?!??!?!!?!???!?!」


 アディは驚き転びそうになる。


 ドンッ!


 入ってきたトビラが勢いよく開かれる音。

 煙で見えないが「怪物が来た!」とアディは思い、必死に走って向かいのトビラへ逃げる。


 しかし……


 ガチャガチャガチャ


 開かない。閉まっている。


「(ドン)な(ドン)ん(ドン)で(ドン)?(ドン)な(ドン)ん(ドン)で(ドン)開(ドン)か(ドン)な(ドン)い(ドン)の(ドン)?(ドン)」(ドン)ドンドンドン


 トビラを叩くがびくともしない。


 耳元で不気味な声がした。


 そしてアディは気を失った。



【異常が起きたため強制ログアウトします】


 ◇◇◇◇◇


 CM

 死ぬか!消えるか!二者択一!

 限界突破バトルゲーム

 『ジュロティロス』

 死んで消えても戦い続けろ!


 ◇◇◇◇◇


 骨が横たわっている。

 その頭にはVR機器が付けられていた。


「あー、これはダメだな。おーい」


 部屋にいた骨の仲間は肩を掴み呼び掛けながら揺する。


「起きろ~」

「う~ん………あれ?」


 骨は目を覚ました。


「また気絶してたぞ」

「え、また気絶してた?」

「してたしてた」

「またか~。どこまでいってた?」

「序盤終わりぐらい」

「全然進んでない。このゲームボリュームありすぎない?」

「ビビりすぎなだけだろ。チュートリアルで走り抜けるなんてRTAかよ」

「いやいやチュートリアルで追いかけられるなんて思わないって」

「え?」

「ん?」

「チュートリアルは何も出てこないけど」

「え? 白い服の女が追っかけてきたけど」

「え?」

「え?」



 ホラーゲーム『チージオストリート』

 リアルの体を反映させることができる。

 プレイする種族・大きさ・性別によりストーリーが変わるマルチエンド式。

 チュートリアルに白い服の女は出てこない。



 今回のプレイヤー

 名前・『ヤーディチチャ』愛称は『ヤディ』

 種族・『骸骨(スケルトン)(人型)』元人間の男

 ゲーム内で使っている名前は『アディ』

 ビビり克服のためホラーゲームをプレイ。

 普段はFPSをやっている。

 仲間のスライムのマッロロズやデュラハンのピガート他数名と動画投稿して稼いでいる。

 バーチャルスーツアクター(VSA)としても活動している。

 最後アディと話していたのはスライムのマチッドラク。



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