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エルフの少女に恋した少年は永遠の命を追い求めました  作者: 赤い酒瓶
第二章 青海で聞こえた二重唱
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第十七話 徹夜仕事のその後で

 街に戻った後はキャスが町長のところまで報告に向かい、その間にステラにはミセリアを迎えに行ってもらう。

 町長のところでは特に問題なく支払いを受けられた。セイレーンの方はともかく、人魚の方はキャスが始末した証拠を持ってくるのを故意に怠ったため、報酬の支払いは期待できないと考えていたが、あの老人はその点に言及せずに済ませてくれたのだ。

 その理由は、セイレーンを始末できれば驚異の排除としては十分であり、そもそも結果の真偽が不透明にならざるを得ないことも依頼の段階で重々承知していたので、これで金を払って終わりにできるに超したことはないからだと言っていた。

 栄えた町だけあって、金払いは悪くないようだ。懐も潤う。

 今は待ち合わせ場所で、二人を待っている状態だった。徹夜明けで少し眠い。あれだけ長時間異能を使い続けた上に、そもそも距離にしても相当走ったはずなので、疲れているのもある。

 目の前を行き交う人々と、その向こう側にある海と、船を見ながらぼけっとしていた。

「お待たせ!」

 ミセリアに声をかけられ、存在に気付く。ステラも来ていたようだが、今まで二人に気付いていなかった。

「はい、どうぞ」

「ありがとう」

 ステラに持ってきてもらった自分の荷物を受け取って礼を言う。そして、ミセリアに聞いた。

「その格好は?」

 見ればミセリアの服装がこれまでのものに代わって、ごく普通の、その辺の子供のようなものになっていたからだ。

「気分転換。可愛いでしょ?」

「うん?」

 どちらかというと特徴のない地味な服な気がして、キャスは首を捻る。

「ああ、うん。可愛い服だね」

「あ、た、し、が!」

「……うん、可愛い可愛い」

 相手を立てるつもりで答えたら、どうやら「この服を着た自分が可愛いだろう?」という意味の質問だったようだ。

「適当に答えちゃって……」

 不満そうなミセリアを見ていると、一つだけ、今回の一件で判然としていないことがあったのを思い出した。最初に船でサニアたちに襲われたときのことだ。

 セイレーンの魔法が自分に通じなかったのはまだ納得がいく。人間でなく人狼だというのもそうだが、他の可能性として、異能の存在も考えられる。意思によって目の前の事象を操ることができる自分の精神を、逆に魔法で操ることが難しいと言われればそれはそれで納得できそうな話だ。

 ステラの方も先ほどの戦いでセイレーンの魔法をかけられそうになったらしいが、こちらは結界で音自体を完全に遮断していたために効果はなかった。これも納得がいく。

 だが、あの時ミセリアに効果が及ばなかったのは理解しがたい。

「何よ?」

 一体何が要因だったのだろうかと見ていたら、不思議そうにされた。

 答えようとしたキャスだったが、直後にあるものに気が付いて別な方向に視線を向ける。

 そこにはフードを目深に被って容姿の窺えない、陰気な雰囲気を放つ人物の姿があった。


 以上で第二章は終了となります。お付き合いくださった方、本当にありがとうございます。

 今回の第二章、前回の投稿予告から何か月も音沙汰なくしていた上に、内容自体も自分の中で混迷を極めながら何とか仕上げたものなため、それでもお読み下さった方には感謝の念に堪えません。また、ブックマークして下さっている方、評価をつけてくれている方、感想を書いてくれた方には大変励まされる思いでした。

 第三章はこんなことの無いようにしたいですが、果たして……。

 次章の投稿はまた何か月も先になるかと思いますので、気長にお待ち願いたいです。

 それでは、この作品を読んでくださった皆様に改めて、本当にありがとうございました。

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