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2019年12月31日
翌年には東京五輪を控える事もあって新年への希望もあってか世間は賑わっていた。年越しの番組には熱がこもり紅白の歌番組や格闘技、お笑い番組も床の間を楽しませていた。
プツリ。それは突然だった
テレビだけでなく家中の電気が突然切れた。否、家だけにとどまらず世界中のありとあらゆる電化製品が停止した。
ブレーカーが落ちたのだろうと移動仕掛けたタイミングを見計らったかのようにテレビにノイズが走り映像を流し始めた。
「まずは初めまして、人類諸君。私は《執行者》。この世界に産まれた新たな生命体である」
顔は画面より外れている者の男の声である。白いピシッとしたスーツ姿で山積みにしたテレビの前で椅子に座って足を組みゆったりとした雰囲気を醸し出していた。この時点でチャンネルを変えようとする者がいたが変えた先も同じ画面であり何かのイタズラかハッキングを疑い初めていた。
「我々は君達に疑問を抱いている・・・地球上に於いて君達は優れている。科学を発達させ今の文明を築き上げてきた。君達の
力は強大だ・・・並びに立つのはいないだろう。しかしだ。我々が誕生した。君達よりも優れた能力を持ちこの世界に覇を唱える事が出来る我々が誕生したのだ」
静かに語りかけ男は足を組み替える。
「ゲームをしよう・・・我々が勝つか君達が勝つか命を賭けたゲームをだ。君達が勝てば服従しよう。ただし我々が勝てば・・・」
「君達の全てを支配する」
間を置いて強く宣言する。男は本気で人類相手に戦争を吹っかけてきていた。茶番だと笑う者が馬鹿らしくなってテレビの電源を落としてていく中音は揺らがない。
「さてこれは君達に対する宣戦布告だ・・・我々を笑いこの映像を切った者達がいるようたが・・・たった今排除させて貰った。何、たったの5千万人だ・・・まだまだ戦える者はいるだろう?」
男は平然として笑う。音もなく死した者は確かにいた。それがわかるのは後日である。
「ゲームの内容を告げよう。期限は来年の2020年12月31日まで・・・それまでに私を見つけだし殺すことができれば君達の勝ち。プレイヤーの数は1万だ。エネミーを倒しヒントを基にここまで辿りつけるようにする。プレイヤーへのルールは一つ自身がプレイヤーだと明かさない事。これを破ったものは相応の罰をあたえる」