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プロローグ

電子音が鳴り響く


泥沼の底にあった意識が否応なく覚醒していくもののまだまだ微睡みの中で漂っていたい為に伸ばした腕は目覚まし時計をクリティカルヒットし床を転がりベルを破壊した。


それでも鳴り止まぬ電子音にもそもそと起き上がり音の発生源を探す。発生源はスマートフォンであり早く取りやがれと主張するように振動しランプが明滅...正直取りたくなかったもののとりあえずスルーは出来ず画面を確認する。


案の定バイト先の店長である。


「・・・はぃ」


「おっそーい!3コール以内に取れよな。こちとら忙しいんだ」


突然の騒音と理不尽な要求にプチッと通話を切りテーブルに置こうとすると先程の相手から再コール。


「何で突然切るんだよ〜。こっちはそれどころじゃないってのにさ〜。今からバイトに入ってくれない?弾むよ?・・・何がとは言わないけどね」


「・・・今からですか」


「今からさ!いやー、女から電話があってな・・・行かねばならん」


「めちゃくちゃ私用じゃないですか...断ります」


「本当にすまん‼︎しかし必要な事なのだ‼︎童貞を捨てそして姫初めなのだよ‼︎一生のお願いだ‼︎というか店長命令だ‼︎」


電話越しながら唾でも飛んで来そうな剣幕である。実際目の前にいたならば土下座すら躊躇わなかっただろう。ゲスな理由ではあるが生活費と学費を自腹で稼いで一人暮らしをする我が身にとって店長からかなり助けて貰っているのも事実。


「・・・はぁ。しゃーなしですね」


「うむ・・・しゃーなしなのだよ」


「いいですけど深夜の呼び出しはこれっきりにして下さいよ」


「分かってる、みなまで言うな。全裸待機してるからなるべく早くきてね」


チュパと電話ごしに嫌な音が聞こえたが聞かなかった事にしてゆっくりと布団から出て盛大な溜息を吐く。テレビの電源を入れ洗面所に向かい顔を洗って寝ぼけた頭をスッキリさせる。


上着を着てコートを羽織りながらテレビを見ると着物姿の芸能人が騒いでいる。新年早々呼び出されるとは思わなかったなと毒吐きつつテレビの電源を消し玄関へ向かう。ドアを開ければ冬の寒さに身震いし空を見上げると僅かに雪がちらついていた。


改めて部屋の中を確認しふとした予感がよぎる。


「考えすぎか・・・ゲームをやり過ぎたか」


ドアの鍵を閉めて深夜の街を歩き始める。線路の高架下に差し掛かった時二つの赤い光に

立ち止まる。それが目の輝きで認識したと同時にドスリと何かが当たり身体が揺れた。血に濡れた槍が心臓を貫いていると認識するよりも早く鷹見衛志は死んだ。



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