5:異世界滞在1日目-3
そんなこんなでおやすみなさい。の巻
「つ、つかれた・・・・」
私は案内された部屋でベッドに寝転がった。この部屋・・・すごい。広々としたワンルームにベッドは天蓋つきでしかも程よく身体にフィット。
外の光がよく入る大きな窓、よく磨かれたアンティーク家具。壁紙とカーテンの色は薄いピンク。さらに女性の永遠の憧れといっても過言ではない猫足のバスタブ!!トイレは別にあるし、洗濯機みたいのもある。
でも、ベッド脇にある紐はなんだろう。
「うあー・・・ふかふか~」
入浴後、私がごろごろとベッドの感触を楽しんでいるとドアをノックする音がした。実は私が一番驚いているのはこれだった。
「はい、どうぞ」と返事をすれば、「失礼します」という声とともにワゴンを押しながら紺色に白襟のワンピース、白いエプロンという格好の可愛い女の子が入ってきた。
彼女の名前はアイノさん。アニーが用意してくれた私付きのメイドさんである。
王宮に勤めて1年の19歳。琥珀色の髪を後ろでまとめてオリーブ色の瞳がつぶらな女の子だ。
「ミオ様、こちらのお茶を飲むとよく眠れるかと思います」
「ありがとう、アイノさん。」
ハーブの香りがするお茶をもらい、お礼を言う。
アニーの厚意だからありがたいけど、この国に滞在してると、ますますだらけた性格になってしまいそうで恐ろしい。
よく眠れるというハーブティーをもらったというのに、なんだかいろいろありすぎて眠れない。
異世界に来ちゃったよ・・・・普通に食事して、国王夫妻ともおしゃべりしちゃったよ。さすがアニーのご両親、すごく親身に接してくださった。
アニーが王女様かあ・・・・うちのおばあちゃんが作る食事に喜び、ファストファッションのショップで喜んで服を選んでいたあのアニーと同一人物なんだよね。
ノアさん・・・・いくら王女命令だからって無理なものは断れたはずなのに、結局引き受けたってことは、アニーと仲がよくて悪い人じゃないってことだ。
観光は午後から・・・・午前中はなにしよう・・・・ああ、ようやく眠くなってきた・・・・・。
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久しぶりに顔の筋肉を動かして疲れた。しかし屋敷に戻ると、両親が待ち構えていた。
「ノア、王女殿下のお友達のガイドをするんですって?」
「早耳ですね母上。・・・・オディロン先生ですか」
「情報源はだれでもいいでしょう。それよりも」
「なんですか?」
「その方、殿下と同じ歳の女性なんですってね」
嫌な予感がして父のほうを見ると、父は苦笑いをして首を振った。
「確か、そうだったような気がしますが」
「それで、ノアはもうどこをガイドするのか決めているの?」
「それはミオ・・・彼女が決めることですから」
「そうミオっていうのね?まあまあまあっ」
しまった・・・ついポロリと名前を出してしまった。しかも母がやけに嬉しそうなのがちょっと嫌だ。
「母上、なんだか嬉しそうですね」
「あら、ノアが嬉しそうだからですよ。あなたの表情は乏しいけど、母親だから分かりますよ」
私が嬉しそう?まあ、確かにアニーと同じ歳とは思えない子供っぽい外見で、タチの悪い人間にすぐ絡まれそうだと心配にはなったが。
「そういうわけでノア。私としてもアニーの叔母としてそのお友達をおもてなししたいわ。
幸いにもクロンヴァール公爵家本邸は観光ガイドに掲載されているし。特別に中も見学していただきましょうよ。ああ楽しみねえ、アルベルト」
「そうだねシャンテル。楽しみだね」
・・・ミオが公爵家本邸を見たいと言ってきてものらりくらりとかわそう。うん、絶対そうしよう。
読了ありがとうございました。
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ミオの異世界滞在1日目、終了です。
最後のほうに、ノア側の話をすこしだけ入れました。