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45:戻って3ヶ月目:後編

前編に続き、長文です。

ご了承ください。

 私の部屋に通してお茶を出すと、2人ともこちらに来た事情を話しながらも、異世界の部屋が珍しいらしくきょろきょろしている。掃除しておいてよかった。

「ノアは半年の休暇をもらったの?」

「休暇ではない。先生とカールの実験につきあうのと当主の仕事の両立は難しいから、当主の仕事を父上に代わってもらっただけだ」

「あ、そう・・・それで実験ってなに?」

「全部説明すると1週間かかるけど、簡単な説明なら5分で済むよ。どっちがいい?」

 カールさんの返答にオディロンさんが被る・・・さすが師弟。

「・・・5分でお願いします」

「オディロン先生は異世界移動ができる人間が自分しかいないことに危機感を覚えたんだよ。まあ別に異世界移動ができなくなっても国に差し障りはないけれど、せっかくの魔法だ。途絶えさせるのはもったいないだろう?」

「それで先生の次に魔力の高いカールが引き継ぐことになった。で、その実験をするのに、一人だけの記録じゃなんだからと私も参加することにしたわけだ」

「大変だったよなあ。先生は5分くらいで移動できるが、最初は丸1日かかったもんな」

「まったくだ。今日でだいたい30分くらいだな」

 2人の会話を聞いてて、ふと気づく。

「あの、じゃあ今までずっとこちらに来てたんですか」

「そうだよ。まだ到着するときにすごい音がするから人のいない時間に実験するようにって先生に言われたからね。

さて、説明も終わったし俺は帰るわ。ノア、あとは手はずどおりに頼むな・・・頑張れよ」

「ああ」

「は?!もう帰るんですか?」

「これ以上ここにいるとノアに怒られちゃうからさ。ミオ、また3ヵ月後にね。じゃあね」

「え、なんですか、それ?!」

 カールさんはなぜか私の頭をなでなですると、そのまま出て行ってしまった。そして隣の部屋から一瞬すごい音がしてすぐ静かになった。


 ノアさんと2人だけになってしまった・・・。

「・・・・すごい音がしたね」

「先生のように静かになるのはもう少し時間がかかるだろうな。下が空き部屋でよかった」

「そうだね。ノアはずっとこっちに来てたんだね」

「ああ。来ているといっても10分くらいで、外に出たのは今日が初めてだ」

「カールさんが3ヵ月後に来るって言ってたけど」

「ああ、カールはこれから世界各地の先生の知り合いに挨拶しに行くんだよ。ここ以外にも行けるようになれと先生から指示されているんだ」

「ふうん、どうして3ヶ月ここに滞在することにしたの」

 私が言うと、なぜかノアさんに抱きしめられた。

「ミオ、仕事をするなら王国でしないか?あんなカエル男みたいのがミオに近づくのがどうにも許しがたい」

「たまたまだよ、いつもあんな目にあっているわけじゃない」

 私がそう言うと、ノアさんはなぜかふっと息をはいた。その息が私の耳にかかるのが非常にくすぐったい。

「ミオならそう言うと思った。だから、私はここに3ヶ月滞在することに決めたんだ」

そういうと、ノアさんは少しだけ私を離して今度は私の顔をじっと見つめる。

「また顔が赤いな」

「そ、それは・・・耳にノアの息がかかって・・・」

 思わずハッと口を押さえると、ノアさんが少しだけ面白そうな表情になった。

「なるほど」

 何がなるほどなんだ。一人で納得しないでほしいんですけど。

「だ、だから私の質問に答えてほしいんだけど」

「ああ、すまない。私はミオを王国に連れて行く。3ヶ月かけてミオを口説く。わかったか?」

 ノアさんは当然という口調で言うけど、私はさっぱりわけが分かりませんが?

「分からないか・・・やっぱりミオはにぶい」

「あのさ、その言い方は失礼だよ」

「でも、そういうところも私は好きだ。私は無愛想で無表情だから分かりづらいかもしれないが、ミオのことはとても大事に思っている」

 今のは空耳・・・・じゃないよね。だいたいノアさんって冗談でこういうこと言う人じゃないと思うし。

「ミオ?」

「・・・私は告白されたのかな」

「告白以外のなんだというのだ。ミオ、3ヶ月かけて考えてほしい」

「わかった・・・ちゃんと考える」

「今はその返事だけで満足だ」

 ノアは私をみて微笑んだ・・・私はまた見慣れない表情にどきどきしてしまった。本当はもう答えが出ているのかもしれない。



「ノアは3ヶ月こっちにいるって言うけど食事とかどうするの?」

「・・・まあ、通貨は先生に両替してもらったので店で買うことになるが・・・ミオ、異世界での生活の仕方を教えてくれないか?」

「じゃあ、私の手料理でよければ一緒に食事をしようよ。仕事探さなきゃいけないから、いつも一緒にいられないけど」

「それなら私たちの実験を手伝わないか?実は先生からミオに手伝ってもらえるなら渡すようにと預かっているのだ」

 そう言って、ノアさんが渡してきた封筒の中身は・・・・オディロンさん、いったい私に何を期待しているんですか?と質問をしたくなる金額だった・・・・ぱっと見で諭吉が1cm近くあるように見えるんですが。

「・・・ノア。こっちに滞在中の家事は私が引き受けるから遠慮しないでいいよ」

「そうか?異世界では何もかも自分でやるとアニーが言っていたので、ミオにやり方を教わろうかと思ったのだが」

「ううん。ノアには王国でお世話になったから、恩返しだよ」

「それでは、よろしく頼む。実はちょっと心配だったのだ」

 そう言うと、ノアさんはちょっと安心したようだった。

まことに勝手ながら、1週間かかる説明バージョンは考えておりませんのでツッコミはなしでお願いします。

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