表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
36/56

33:異世界滞在11日目-2

旅行者とユーグ殿下。の巻

「・・・隣に座ってもいいか?」

「ど、どうぞ」

 私がそういうと、ユーグ殿下はベンチに腰掛けた。あの日、図書室で見た姿と同じ藍鉄色に明るい灰色のボタンとラインの入った服を着て腰に剣を差している。そこで初めて剣を差したベルトみたいなものが銀のラインが入った赤だということに気づいた。

「ビセンテがすまなかった。どうも私たち兄弟はミオに失礼なことをしてしまうようだ」

 どうしよう、あんまり否定できないぞ。私が何も返事をできないでいると、ユーグ殿下がちょっと笑った。

「ミオは正直なのだな。普通は“そのようなことはありません”とか言うぞ?」

「う。すいません。ユーグ殿下のことは特に気にしていませんが、その・・・」

 抱きついてくるのはどうなんだろう、と言外ににおわすとユーグ殿下はちょっと考えて口を開いた。

「兄上の擁護になってしまうのだが、その・・・兄上は女性に対して優しくするのが当然という人で・・・」

「それはノアさんからもそんな感じのことを言われていましたけどね」

「ノア・・・クロンヴァール公爵か。ミオは公爵と仲がいいのだな」

「ノアさんは私がここに滞在している間、ガイドをしてくれているんです。そうだユーグ殿下、マルチェビありがとうございました。とても美味しかったです。お礼状は出したのですが、直接お礼が言うことができてよかったです」

「ミオが美味しく食べたのならよかった。・・・・ミオの滞在予定はあとどれくらいあるのか聞いても?」

「今日を入れてあと4日です」

「そうか・・・ん?あれは・・・」

 ユーグさんがちょっと驚いたように見た方向を私も見ると、ノアさんがこちらに向かって歩いてくるのが見えた。


 ノアさんは私の隣にユーグ殿下が座っているのをみると、ちょっと目を見張ったように見えたが黙ってお辞儀をして私のほうに視線を向けた。なんか、怒ってる???

「ノア、どうしてここに」

「どうして、ではない。エルネスト王太子殿下に呼ばれて行ったらビセンテ殿下のことをにこやかに説明されてだな・・・・ミオ、大丈夫だったか?」

「だ、大丈夫だよ。ユーグ殿下に助けてもらったもの」

 私がそういうと、ノアさんはまた私の頭をなでた・・・もしかして怒ってるんじゃなくて心配して来てくれたのか。

「そうか、よかった。ユーグ殿下、このたびはありがとうございました。私からも礼を言います」

「いや・・・愚弟が彼女にケガをさせないでよかった」

 ノアさんがふたたび私を見て口を開く。

「ミオ、どうしてメイドを連れて行かない。一人であちこちうろつくな」

「読書するのにアイノさんを付き合わせるなんてできないよ」

「だったら図書室で読書をしろ。なんだって外で」

「だって、ここ前に散歩してて気持ちよさそうな場所だなーって思ってたんだもん。王宮の中だし」

「ちょっと待て。散歩って・・・一人で散歩してたのか?」

 ん?なんかノアさんに眉間のシワが。えーっ、一人で散歩しちゃだめなの?

 ノアさんは私の様子をみて何か言いかけたけど、ため息をつくだけしたようだ。


 そこに、さっきから私とノアさんのやりとりを見ていたユーグ殿下の声が割って入った。

「公爵、苦労が絶えないようだな」

「いいえ殿下。苦労と思ったことはありません」

「なるほど・・・ところで、こちらにくるのは公爵のところの執事ではないか?」

 ユーグ殿下が示した方向から確かにライナスさん。

「ノア様・・・あ、これはユーグ殿下。ノア様、領地の役人がそろそろ来る時間です」

「公爵。私は今時間があいている。貴殿の部屋に送ればいいのだろう?」

「それではミオをお願いします・・・女好きの腹黒よりは安全だ」

 ノアさん、ユーグ殿下には聞こえてないだろうけど私には聞こえたよ・・・基準はそこなんだね。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ