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28:異世界滞在10日目-1

旅行者と招待状。の巻

-ミオは私が守るから-

 満月の夜、図書室でノアさんが私を抱きしめながらそうつぶいやいた・・・・これって、今思い返すとそうとう恥ずかしいシチュエーションだ!!

「うわああ・・・・ノアさんと顔合わせたときにいつもどおりでいられるかなあ」

 そんな私に追い討ちをかけるような知らせがアニーからもたらされた。


 アニーから手紙をもらって私は驚いてしまった。

「・・・クロンヴァール公爵夫人からお茶会の招待状?」

「ミオにマルチェビのお礼したいんですって」

「でもお茶会って・・・私、この国のマナーとかよく分からないし」

「叔母様はミオと2人でおしゃべりしたいだけよ。そんな硬くならないで平気だって」

「そ、それってさ、断るとかって選択肢は・・・」

「ミオ。叔母様って気さくで楽しい方よ?」

アニーの口ぶりから「断る」って選択肢はないのね・・・・それにしても今日のアニーはなんだか・・・傍目にはいつもの「アンナレーナ王女」なんだけど、なんか、こう・・・

「ねえ、アニー。なんか今日うきうきしてない?」

「えっ?!そ、そう?私、うきうきしてるの分かっちゃう?あのね・・・ミオには後で知らせようと思ったんだけど、昨日エルネストが来たでしょう」

「う、うん」

 王太子があんなことしなければ、ノアさんだって・・・・あ~どうしよう。

「ミオ、なんか変だよ。昨日のことなら、しっかり怒っておいたからもう気にしてはだめよ?」

「あ、それはノアから聞いたよ。ありがとう」

「え。ノアからいつ聞いたのよ?今日はまだノアに会ってないんでしょ?」

 しまったーっ!!つい、ぽろっと・・・・だけど、私の焦る様子を見たアニーは「ふうん?」という顔をして、興味津々なようすで私のほうを見る。こ、ここは話題を変えなくては!!

「ね、ねえアニー。王太子は何の話をしたのかって、私は教えてもらってもいいのかな?」

 私のあからさまな話題変更に、アニーはますます興味をそそられたようだけど、ちょっと笑っただけだった。

「ふふ。実はね、エルネストが三男の婿入り先を国内で探し始めたって教えてくれたのよ」

「それはよかったけど、今までアニーが困っていたのを知ってて放置していたのに急だね」

「エルネストにそれは謝罪されたわ。なんかね、思うところがあったらしくて思い切った手段に出ることにしたんだって」

 エルネストさんの“思うところ”ってなんだろう。・・・でもアニーが嬉しそうだから深く追及するのはやめよう。


「あ、そうそう。今日のお茶会にはノアが連れてってくれるって。よかったわね~」

「え・・・ええっ!!」

「だってノアの実家だし。なんでそんなに驚くの・・・ねえ、昨日あれから何かあったわけ?」

「う、ううん。忙しいのに悪いなーって思って」

「大丈夫よ~。ノアの午後はミオのものだからさっ」

「単にガイドをしてくれてるだけでしょうが・・・その言い方はなんか変」

 私が呆れたようにいうと、アニーはなぜか残念そうな顔をした。いったい、アニーは私に何を期待しているんだろうか。

 昨日のことがあったからノアさんと会うときに緊張するかと思ったけど、いつものように午後に部屋に行くと、ノアさんはいつものように私に「来たか、ミオ」と一言。それを見たら私一人が動揺しているのは変だよな、と冷静になれた。

 ただ、私が屋敷は改装が終わったのかと聞いたら、珍しくノアさんがちょっと言葉に詰まってライナスさんが笑いをこらえていたけれど。


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