22:異世界滞在8日目-3
旅行者、お説教される。の巻
「やあノア。カールも一緒かい?」
王太子殿下はノアさんとカールさんをみてにっこり笑った。
「お久しぶりですね。王太子殿下、ユーグ殿下。とっくに我が国を出られたかと。」
ノアさんが何か言いかけたが、カールさんが制して口を開いた。
「ちょっと息抜きしてから帰ろうと思ってね。そしたらアニーとミオに会っただろう?私も驚いたよ」
「なるほど。それではペルジェスの方たちがお泊りの場所までお送りしましょう。アニーとミオも一緒にきてね」
カールさんは王太子殿下の話を聞くと、にっこり笑って歩き出したので私たちも後から続く。
「私からの話は王宮に戻ってからだ。いいな?」
「もう、わかったわよ」
「はい・・・わかりました」
ライナスさんが、お茶いれてくれるといいな・・・・。
ペルジェスの皆さんの宿泊場所へ2人を送り届けると、ノアさんが私たちを見た。
「さて、戻るぞ。じゃあカールはアニーを連れて戻れ。私はミオと戻るから」
「ああ、じゃあな」
カールさんはアニーに「さあ、俺と一緒に戻るよ。アニー」と手をとって連れて行ってしまう。
「え?アニー?!」
街中へ消えていく2人を呆然と見送っていると、頭の上から声がした。
「私たちも戻るぞ。ミオは王都は初めてだったな。楽しかったか?」
「う、うん。アニーにここの大広場はガイドしてもらって楽しかったよ。あ、あのノア?」
もしかして、アニーとカールさんと別行動にしたのって・・・・
「・・・・何か見たのか」
私の様子を見てノアさんは言いたいことを察したらしく、じろりと見てくる。無表情なんだから、それ怖いよ。
「王宮来て3日目に夜の図書室で遭遇」
「まったく・・・あれほど慎重にしろといったのに」
「あ、でもそれは私が夜に図書室行ったからであって、2人のせいではないよ」
私があわててフォローすると、ノアさんは私を見てフッと笑ったような気がした・・・・でも表情は変わってない。幻か。
「ミオは友達思いなのだな。アニーに見たことを話したのか?」
「ま、まさかっ。私はアニーが言ってくれるまで知らないフリをするよ。だってアニーは事情がない限り言わないなんてことないもの」
「そうか。じゃあ、そうしてくれ・・・ところでミオは無事だったのか?」
「は?無事って何が」
「女好きの腹黒と一緒にいて何もされてないだろうな。まあ、アニーがいるからあれも自重するか」
ノアさん、どんだけ王太子殿下を危険視してるんだろうか。
「ノアは心配しすぎだよー。王太子殿下がどうして私に何かするのよー」
「・・・何もされてないならいい。堅物のほうはその点は安心だが」
「あ、ユーグ殿下が昨日のおわびにプレジェス特産の果実を送ってくれるって言ってたよ」
思わずぽろっと言ってしまって、しまったと思ったけど遅かった。
「おわびに果実を送る・・・そんなこと言ったのか、あの堅物が」
たちまち眉間にしわがより、無表情ながら不機嫌になってきてるのが分かる。そしてため息をついた。なんでこんなに予想どおりの反応をするんだ。
「ミオ。私のいないときに2人に近づくな」
「だだだって、断って手打ちにされるほうが嫌だよ」
「そんな簡単に手打ちなどするか。あれでも堅物は騎士団副団長だぞ。そんな短気な人間じゃない」
ノアさんは再びため息をつくと、私の頭をなでた。なんか最近クセになっていませんか?
そして王宮に戻ってきた私たちは、ヘルガさんに悲しそうな顔をされカールさんからはニコニコ笑いながら怒られ(これが怖かった)、ノアさんからは無表情でお説教されたのだった。
もっとも、アニーのほうは懲りてないらしく・・・・
「ミオ。私はこれからもオシノビを続けるわよっ。やめるもんですか」と囁いてきた。
いや、アニー・・・少しは反省しようよ。
読了ありがとうございました。
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ノア、なんか嫉妬してる~。
で、アニーは懲りてないと(笑)




