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19:異世界滞在7日目-3

旅行者と腹黒。の巻

 歓談場所はアニーの執務室の隣にある応接間ということになり、私たちはぞろぞろと応接間に向かった。

 通り過ぎる人が皆頭を下げつつ、不思議そうに見ていく。そりゃそうだろうな~。王女殿下と、ペルジェスの第二王子と、ノアさんと、旅行客の私。

 アニーは私に今度、街中に遊びに行こうっていろいろと教えてくれる。その後ろで並んで歩いているのはユーグ殿下とノアさん。2人とも無言だ。

 アニーの応接間の扉前にに到着すると、控えていたヘルガさんがアニーに「ご案内しておきました」と伝えてくる。

 それを聞いたアニーは微笑んでうなずき、ノアさんは苦渋の表情(だと思う)をし、ユーグ殿下・・・大丈夫か?なんか顔が強張ってるぞ。

 三者三様で面白いなあ~とのんきな私は考えいていた。



 扉を開けると、ソファに座ってお茶を飲んでいた男性がコップを置いてこちらを見た。

 この人がペルジェスのエルネスト王太子殿下・・・。

 髪と瞳の色はユーグ殿下と同じ色。淡い黄緑色の前髪は片目が隠れる髪型で後ろ髪はノアさんみたいに後ろで束ねている。

 精悍な顔立ちのユーグ殿下とは違い、なんか優雅な雰囲気だ。

「やあアニー。それにしても珍しい組み合わせだな。ノア、久しぶりだね。ユーグ、そこで何をしているのかな?それから・・・・」

 そこで私にぴたっと視線を合わせる。なんだろ、背筋がぞくっとしたんですけど。

「可愛いお嬢さん、きみの名前を教えてくれる?」

「エルネスト。彼女は私の親友でミオというの。ミオ、こちらの方はペルジェス王国のエルネスト王太子殿下よ」

 アニーはてきぱきと座席を指示し私はアニーとノアの間。それを見た王太子殿下は肩をすくめた。

 お茶が配られて、メイドが下がるとアニーが王太子殿下に事情を説明した。

「・・・なるほど。ユーグが早合点したわけだね」

「彼女は私の親友で、こちらの国に個人的に招待しているの。だからそちらの国に存在が知られてなくて怪しまれたんでしょうけど、どう見てもミオは無害そのものよ?見て分からないのかしら」

「知らない顔が現れてアニーの友人だと言われたら、確認はするものだろう?だが、女性に対してはもっと優しくふるまわないといけないね。ユーグ?」

「・・・・はい、王太子殿下」

「ここでは兄弟だよ、ユーグ。兄上でいい」

「・・・はい、兄上」

 なんか、すごく兄ちゃんに従順だな。ユーグ殿下、ブラコンってやつだろうか。


「それでアニー。ユーグに謝罪をさせたいのかい?」

「ミオ、あなたはどうしたい?」

 アニーが私に聞いてくるのでちょっと焦る。みんなの視線が私に集まってきて嫌なんですけど。

「私が一人で図書室に行ってユーグ殿下をまじまじと見たのも悪かったので、謝罪なんていりません」

「それは、絶対許さないということ?」

 王太子殿下がなぜか楽しそうに聞いてくる。どーしてそんな解釈になるの??

「ち、ちがいます。誤解させた私も悪かったので、謝る必要がないってことです。意味は違うかも知れないけど、ケンカ両成敗ってやつです」

「エルネスト、ミオは心が広いのよ。私だったら謝罪させたうえに特産物を山ほど届けさせるわね」

「うん、アニーならそれくらいやるだろうね」

 アニーが茶化すように言うと、王太子殿下も軽口で応じる。その後はなぜか普通にお茶会になった。

「ミオは何日の予定でアニーのところに滞在してるんだい?」

「2週間の予定です、王太子殿下」

「王太子殿下なんて呼ばなくていいよ。エルネストでいいよ」

「えっと、あの・・・」

「ミオ。アニーとは違うから、ちゃんと王太子殿下と呼んだほうがいいな」

 私が困っているとノアさんの声がした。

「・・・・ノア。私とミオの会話を邪魔をしてないか?」

「しておりません。ミオは王族の皆様との会話は不慣れですから手助けをしているだけです」

 ユーグ殿下はひたすら黙ってるだけだし、アニーはなんだか笑いをこらえてるし。でもまあ、なんだか大事になんなくてよかったかもしれない・・・・。



**********************************

「・・・・兄上、申しわけありませんでした」

「もういい。ミオ本人が謝罪しなくていいと言っていただろう?」

「ですが」

「それより、あのミオというお嬢さんに対するノアを見たか?」

「公爵ですか?」

 弟の言葉に私は思わず苦笑をしてしまう。ユーグは男女の機微に疎いからなー。やはりあれか。ちょっと私と一緒に遊びに行ったほうがいいのか。

「・・・・兄上。私は兄上のように奔放な関係は望んでおりませんので」

「おまえ、そういうところは察しがいいね」

 弟を下がらせ、私はソファに深く座って天井を見上げる。あのミオという娘、ノアがあそこまで守ろうとするのはどういうわけだろう?

 確かに従妹であるアニーの親友だから、というのが一番の理由だろうが、それだけか?

「ちょっと、興味がわいてきちゃったなあ」


読了ありがとうございました。

誤字脱字、言葉使いの間違いなどがありましたら、お知らせください。

ちょっと感想でも書いちゃおうかなと思ったら、ぜひ書いていただけるとうれしいです!!


女好きの腹黒・・・・腹黒部分、出ていますかね。

それにしてもノア・・・おかんキャラになっている気がする。

気のせいかな。

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