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18:異世界滞在7日目-2

旅行者、疑いが晴れる。の巻

 腕をとられて歩いている方向が、よく行く方面なのに気がつく。

「あの、どちらへ?」

「ここは我が国じゃないからな。とりあえずこの国で一番面倒くさいやつのところだ。面倒くさいやつだが、清廉だからな」

 この国で一番面倒くさいやつ・・・偉い人なんだろうけど誰だろ?といっても、この国の偉い人ってアニーと国王様や王妃様、それにノアさんと、シャンテルさんしか知らないんだけど・・・?

 しかもこの廊下にある部屋で偉そうな人がいる部屋って言ったら・・・。お願い、ライナスさんがいますように。


 男の人はノアさんの部屋の前で止まると、ドアをノックした。

 するとライナスさんが顔を出し、男の人の顔を見たあと腕につかまれている私をみてほんの一瞬だけ目を見張った。

「いらっしゃいませユーグ殿下。主は留守ですが、どうかなさったのですか」

「図書室で怪しい娘をつかまえた。この娘、王女殿下の友人などと戯言を言うのでな。それが本当か公爵に確認したくてな。会議が終わるまで待たせてもらう」

 ライナスさんは状況を察したようで、私たちを部屋にいれると別室でノアさんに伝達石で連絡を取っているようだ。

 ユーグ殿下って・・・・あっ!!ペルジェスの第二王子!!ノアさん言うところの「ガチガチの堅物」ってこの人か・・・確かに堅物・・・というか、怖いんですけど!!

 数分後、ノアさんが戻ってきた。なんか、ちょっと怒ってるような気がする。

「ユーグ殿下、お久しぶりですね。申しわけありませんが彼女から手を離していただけますか」

「久しぶりだな、クロンヴァール公爵。あなたに一つ聞きたい、この娘自分が王女殿下の友人だという。本当にそうか?」

「本当ですよ。名前はミオ・オダジマ。アンナレーナ王女殿下が一年間遊学していた先の国に住んでいて、現在2週間の予定で我が国に滞在中です。ちなみに王女殿下の招待で。ミオ、そちらはペルジェスの第二王子でユーグ殿下だ」

 ユーグ殿下はそれを聞くと、ようやく私の腕をつかんでいた手をゆるめた。

「ライナス、お茶を頼む」

 それを見ていたノアさんが、ライナスさんにお茶を頼んだ。


 ライナスさんが入れてくれたお茶を、3人で飲む。ノアさんが自分の隣に私を座らせるのを見たユーグ殿下はちょっと驚いているようだった。

「ミオ、大丈夫か」

「う、うん。大丈夫」

「私が言った方向には近づくなと言っただろう」

「行ってません。図書室に行ったら、ユーグ殿下がいらっしゃったんです」

「公爵、あなたとその娘は知り合いか」

「彼女は私が王女殿下から頼まれてあちこち案内しているのです。ところで、殿下が王太子殿下から離れているとは珍しいですね」

「・・・・警護は交代で当たるようにと言われてな。だから交代時間まで図書室で過ごしていたら、その娘が入ってきて人の顔を珍しそうに見てきた」

「ミオ。人の顔を珍しげに見るな」

「珍しげじゃなくて、誰だろうって思っただけです」

 私がそう言うと、ノアさんはぽんぽんと私の頭を軽くなでて、なぜかため息をついた。

「ミオの存在は王女殿下の私的なことですので、そちらの国には知らせていませんでしたからね。ですが殿下、どうみても彼女を怪しむのはどうかと」

「それは・・・・」

 ユーグ殿下が口を開くと同時に、ライナスがアニーの来訪をノアさんに告げた。

 入ってきたアニーは、そこにユーグ殿下がいることに驚き事情をノアさんから聞くとにっこり笑ってユーグ殿下に視線を移した。

「それはまた・・・・」

「す、すまない」

 ユーグ殿下はアニーには素直に頭を下げる。そっか、アニーのほうが身分は上だから。

「とりあえず、エルネストを呼びましょう」

「「ええっ」」

 なぜかノアさんとユーグさんが同時に叫ぶ。ノアさんは嫌そう(憶測)だし、ユーグさんはびびってる??

「ライナス。ヘルガのところに行って、私がエルネスト王太子と歓談したいと言っていると伝えて。場所は私の応接間とも。そうすればヘルガが適切に処理をしてくれるから」

 2人の「それはやめてくれ」という無言の願いをきっぱり無視したアニーは、ライナスさんを使いに出してしまった。

 エルネスト王太子・・・ノアさんが女好きの腹黒と言った人。どんな人だろうか。


読了ありがとうございました。

誤字脱字、言葉使いの間違いなどがありましたら、お知らせください。

ちょっと感想でも書いちゃおうかなと思ったら、ぜひ書いていただけるとうれしいです!!


この話までは、悪役ちっくな第二王子ですが

キャラ設定ではもうちょっといい人なので

次に登場させる場合は、もう少しいい人に書きたいです。

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