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15:異世界滞在5日目-3

旅行者と公爵夫人。の巻

「アニー殿下、こんなところにまで来てごめんなさいね。王妃様から話を聞いてどうしてもお邪魔したくなってしまって」

「いいえ!叔母様なら大歓迎ですわ。もう衣装替えも終わりましたから」

「それで、アニー・・・あのお嬢さんかしら?」

「ええ。紹介しますから一緒に行きましょう」

 そして、こちらに向かって歩いてくる。え、私に用事??アイノさんやメイドさんたちは静かになってるし、私もあわてて立ち上がった。

 近寄ってきた女性は、スカイブルーの瞳・・・どっかで見たような。

 アニーが私に紹介しようと口を開きかけたとき、その女性がアニーを制して私ににっこりと微笑んだ。


「初めまして、異世界からのお客様。わたくしはシャンテル・クロンヴァール。息子はあなたをきちんとガイドできているかしら?」

「は、初めまして。ミオ・オダジマです。ガイドって・・・もしかしてノアさんのお母様ですか?」

 とてもノアさんのような大きな息子がいるように見えないんですけど。王国ってアンチエイジングが発達してるとか。

「ミオって呼んでもいいかしら?ええ、ノアはわたくしの息子なの。無愛想な息子がちゃんとガイドできてるか一度ミオに直接聞いてみたくて、押しかけてしまったわ。ごめんなさいね」

「いいえ。あの、ノアさんは確かに、その・・・ちょっと表情は硬いかもしれませんが、親切な人なのは分かりますから、ガイドもありがたいと思っております」

「それなら良かったわ。ああそうそう、私たちの家にもぜひ遊びに来てちょうだいね?主人もあなたに会いたいと言ってるのよ」

 あれ?ノアさんがお屋敷は改装中と言っていたけど・・・もしかして改装が終わったらって意味だろうか。だとしたらたぶん無理かと思う。とはいえ改装中ですよね?なんて聞くのは変だし。

「ミオ、どうかしたの?」

 アニーに言われて、はっとする。ひえー、目の前に公爵夫人がいるというのに考えこんじゃったよ。

「も、申しわけありません。お茶に誘っていただいてありがとうございます」

「今度招待状を届けさせるから必ずいらしてね?」

「は、はい。喜んでお伺いします。クロンヴァール公爵夫人」

「あら、そんな硬い呼び方をしないで?シャンテルと呼んでちょうだい。もしくはお義母様でもいいわ」

「は?はあ・・・それでは、シャンテル様」

「お義母様じゃないのは残念だけど、まあそれはおいおいとね?それではアニー殿下、私はこれで失礼いたします」

 シャンテル様は嵐のようにやってきて、あっという間に衣裳部屋からいなくなった。


 私が滞在している間は用事がないかぎり、アニーと2人で食事をすることになっている。

「衣装替えご苦労さま。大変だったでしょう」

「うん。あんなにたくさんの洋服を一日で見たのは初めてだよ。でも、どの洋服を材質がいいよね。長く着られそう」

「そうね~。だけど、公務とかで着ていると傷むのも早いわよ。ねえ、叔母様の登場で驚いたでしょう。私もヘルガから耳打ちされたときは驚いたわ」

「うん。でも30近い息子がいるとは思えない若さだよね」

「叔母様・・・お父様の妹なんだけど、15歳でノアのお父様・・・先代クロンヴァール公爵を見初めて、16歳で結婚して、18歳でノアを産んだらしいから」

 ということは、今40代後半くらい・・・でも、どうみても30代後半にしか見えないんですけど。下手すると、ノアさんの奥さんかと思われるんじゃないだろうか。

「ところで、叔母様からお茶に招待されて、どうして考え込んでたのよ」

「え。だってさー、ノアさんが“本邸も王都の館も現在改装中”って言ってたんだよ。だから行っていいのかなあって」

「え、ノアがそんなこと言ったの。あら、まあ」

 アニーは面白がっているような、ちょっと呆れたような表情を見せた。





*****************************

 今日は珍しく家族3人で夕食の席についた。会話の主導権はもっぱら母で、父と私は聞き役にまわることが多い。

「今日は王宮で衣装替えがあったのよ。王妃様に誘われたので行って来ましたわ」

「おや、もうそんな時期かね。シャンテル」

「ええ、あなた」

 衣装替えか・・・アニーに言っておいたからミオの衣装も当然選ばれたはずだ。さぞかし面食らったことだろう。

「ノア。ミオってかわいらしいお嬢さんね。わたくし、気に入ったわ」

 思わず口にしたワインをつまらせそうになる。

「シャンテル、ずるいな。先に一人で見るなんて」

「ごめんなさい、アル。でも今度お茶に招待するつもりだから、そのときに会えるわよ」

「それは楽しみだな」

「だけど、わたくしが招待したいと言ったとき、なぜか考え込んでたわ。どうしてかしら。ノア、あなた理由を知らない?」

「さあ・・・いきなり現れた母上に驚いたんじゃないですか」

 ワインをつぎに来たライナスが、私だけに分かるように「どうするんですか」と目で訴えてきた。


読了ありがとうございました。

誤字脱字、言葉使いの間違いなどがありましたら、お知らせください。

ちょっと感想でも書いちゃおうかなと思ったら、ぜひ書いていただけるとうれしいです!!


なんとか12月分の更新ができました。

公爵様の年内更新は本日が最後です。

皆様、良いお年を!

来年もよろしくお願いいたします。


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