14:異世界滞在5日目-1
旅行者、王宮行事に参加する。の巻
今日は朝から王宮が慌しい。
朝食を持ってきてくれたアイノさんもなんかうきうきしているみたいだし、他のメイドさんも皆同じ。
「アイノさん、今日は何かあるの?」
「はい。今日は王宮の衣装替えなのです」
「衣装替え?」
「ええ。毎年この月のいずれかの日に行われるんです。服も1年着まわしていると傷むものがありますし」
なるほど、安定した気候だから衣替えの概念がないのか。
「私どもメイドの制服も今日届けられますの。自分だけの制服としてちょっと違う飾りをつけたりすることは許可されているので、皆どんな飾りにしようか考えているのです」
「なるほど。新しい服って着るの楽しみだよね~。わかるわ」
自分には関係のないイベントだけど、新しい服に袖をとおす瞬間がわくわくするのは世界が変わっても同じなんだな。
そう思って、のんきにお茶を飲んでいた私にアイノさんが爆弾を落とした。
「それで、ミオ様にもぜひ王妃殿下と王女殿下が、この衣装替えに参加してほしいとのことですので食事を終わられましたらご案内しますね」
「は?なんで」
私がそういうと、アイノさんが困った顔になった。そっか、アイノさんにしてみればアニーに言われたことを伝えてるだけだもんね・・・・疑問をぶつけるのはお門違いか。
「ごめんなさい。食事が終わったらどこに行けばいいのかしら」
「はい。王女殿下の衣装の間で衣装替えがありますので、私がミオ様をご案内します」
「衣装の間・・・それって、着替えるだけの部屋ってこと?」
「ええ。王女殿下の身につけるもの全てを保管しております」
身につけるものだけの部屋・・・・なんというか、生活基準が違いすぎやしませんか。
アイノさんに案内された部屋はドアを開けると色の洪水だ。
いろんな系統の色があふれ、さまざまなデザインのドレスに小物、靴などが広がっている。
あんまり見てると、目まいがしそう・・・。
「ミオ、来たわね!」
下着姿のアニーが楽しそうに手招きをする。
「アニー・・・その恰好は」
「これから届いた衣装を合わせるのよ」
「あ、なるほど・・・アイノさん、どうかした?」
いつの間にか私の横にアイノさんを含めたメイドさんが3人ばかり笑顔で立っていて、アニーがうなずいたのを確認すると、なぜか私のほうをみて3人ともにっこり笑う。
「ミオ様。こちらのカゴに今着ているものを脱いでくださいませ。大丈夫ですわ、ここは女性しかおりません」
「えっ、ちょっと、アニー?!」
「ミオ。衣装替えって王宮ならではのイベントなのよ。心ゆくまで楽しんでね」
いやイベントって・・・たかが旅行者の私がここで服を作っても戻った世界で着られないから。向こうで着たら私は確実にコスプレイヤーですから!!
「アニー、ここの服って私の世界では着る場所ないしさ。まあ、小物とかなら素敵だと思うけど」
「大丈夫、王宮の服職人はとても優秀だからサイズ直しは今日中にできるわ。素敵だなと思った服をどんどん着てみてね」
横にいるアイノさんを始めメイドさんは私が服を脱ぐのを待ってるし、アニーはいつの間にかいなくなってるし。
私の要望はスルーですか。
読了ありがとうございました。
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いろいろ苦手な描写は数あれど(そればっかりだという話もありますが)、
服装を書くのは本当に苦手です。
ああそれなのに、こんなネタを思いついちゃうなんて。




