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鬼骸界  作者: 蟹谷梅次
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4話 変身

 恵理子が出てくると、店の外に呼び出して石についての話をした。


「……タイミング的に羅刹鬼はLAUGHの出現に備えて、君に力を授けた感じかねぇ? 戦うための力を……」

「LAUGHはなにをしようとしてるんで?」

「そこが全くの不明。今日に至るまでにも出たり消えたりを繰り返していて意思の疎通なんてできやしない。まぁ、意思疎通不可ってのは地球外生命体全般に言えるけど」

「羅刹鬼は俺に『立ち上がれ』って言ってきたっす」

「これから何かが起こるね……」

「これ兄貴に言っていいっすか?」

「いや、駄目。兄貴くんは賢いから口外はしないだろうけど君は一度許すとガバガバになるから駄目」

「はーい!!」


 地球外生命体とはそもそもなんなのか。何処からやってきて何を目的に地球の、それも日本に巣を張るのか。


「俺、思ったんすけど、両面宿儺と羅刹鬼ってLAUGHからこの日本を守ろうとしてません? んで、LAUGHは日本になんらかの執着があると見ちゃったね〜!」

「ISPOと私も同じ見解。君と同じもの見ちゃったね〜!」

「仲間じゃーん!」


 イェーイ、とハイタッチ。そんなこんなで話も終える。お腹激弱女が湯冷めでお腹壊しちゃうので暖房の効いた建物の中に戻る。


「話せそうか?」

「無理!」

「そ、無理」

「じゃー、全部終わったら頼むわ」

「オッケオッケ」


 そうこうしていると、街の方で騒ぎが起こった。その騒ぎの方に走ってみると、全身が白く角のあるまるで鬼のような存在が人を殺している現場らしく、ISPOの連中が恵理子を見つけると、「剣崎くん」と隣にいた達彦を呼んだ。達彦は軽く手を上げる


「どういう状況〜!?」

「突如現れたアレが、大量虐殺を始めました!」


 達彦は鬼のような存在の胸に黒い石がはまっているのを見て、自分の首にかかっている赤い石に触れる。


「分かっちゃったな〜俺。つまり、ありゃ地球外生命体か生み出したやつだな。んで、羅刹鬼はこれを予測して、俺にアレを倒してほしいわけだ! う〜〜〜〜〜〜ん……!! オッケ〜!」

「剣崎くん!?」


 一般人は見ていない。そもそも生きていない。

 達彦は胸にぶら下げていた石を掴み空に掲げる。


「変身!」


 ビカッ!! と意志が強い輝きを放ち、詳細を省き、達彦の肉体は異形の怪人になっていた。黒い強化皮膚の鎧の下に赤い強化筋肉が見えていてちょっぴりグロテスク。


「バカ……」

「君は!?」

「事情を説明してるとマジ手遅れになっちゃうぜってね。取り敢えず人類側の正義のヒーロー参上! 俺が正義に目覚めた男って知ったらみんな笑う? 俺って実は昔から良いことするの好きなんだよね。だってさぁ、子供たちの笑顔とか、大人たちの笑顔とか見てると心が清々しくなっちゃうもんね! だから俺、許せないよね〜!!」


 ISPOの戦闘部隊連中は達彦に協力することを選んだらしい。ISPO制服の上着だけを雑に羽織った恵理子は変身した達彦の背中を認めながら、今日のことを考える。


 疲れて、弟によく似た青年に会いに行って。

 人が死んで。青年は変身して。


 もし今日という日が、十年後にカレンダーに刻まれるとしたらどういう名前がいいだろう。


 鬼を滅するなら……うーん。


「見袖さん」


 達彦が言う。


「自由に動くんで、命令はせんでくださいよ」


 多分、きっと、一人の男の心を殺した日。



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