ツクモレコード
妹の病室は、いつも重苦しい空気に満ちていた。
「……これで最後だ」
千尋は、古びた図書館で見つけた呪文を紙切れに書き写し、震える声で読み上げた。
空気が張り詰め、電灯が一瞬だけ暗くなる。そして、目の前に現れたのは、深紅の瞳を持つ黒髪の女性だった。
「――呼び出したのね。ふん、呪文が正しかったとしても、私が来る理由なんてあなたにはわからないだろうけど。」
ツクモと名乗るその存在は、圧倒的な力と冷徹な微笑みで千尋を見下ろす。
「どうする? 私を無駄にしたくなければ、あなたも覚悟を決めなさい。」
その言葉は、ただの警告ではなく、命令のように響いた。
あらすじ
妹を救うため、呪いの呪文に手を出した千尋の前に現れたのは、艶やかな黒髪を揺らす不思議な女性、「ツクモ」。
「私の助けが必要なら、言えばいい。でも、私はあくまで自分のために動く。あなたにはまだわからないだろうけど。」
自分もまた過去の怪奇現象に巻き込まれ、死神の姿となったツクモ。
彼女は千尋に契約を持ちかける――「一緒に探すのよ。あなたが妹を助けたければ、私を無駄にしないようにね。」
しかし、ツクモ自身も自分の呪いをどう解けばいいのか、正確にはわかっていない。都市伝説の裏に隠された謎、古い真実の欠片。それらを求めて旅を続ける中で、千尋は妹を救う手がかりを掴めるのか。そして、ツクモの呪いを解く方法は見つかるのか。
不安と希望が交錯する中で始まる、迷いと恐怖の旅。絡み合う運命の行方は――。
呪いと伝説の狭間で紡がれる物語、「ツクモレコード」。いま、旅が始まる。