闇の魔法少女としての宿命と使命
私は家に帰ると早速お母様とお茶を飲みました
お母様と飲むお茶と食べるお茶菓子はいつの日も
特別な味がして、私の至福のひと時です
しかしさすがはお母様
私は隠しているつもりでしたが
何か悩んでいる事をすぐに察知されてしまいました
「豊子世、どうしたの?何か悩んでいるみたいね」
「そんな事はありませんわ、お母様…」
「フフフ、隠し事している時、前を真っ直ぐ見る癖は直ってないみたいね」
「うっ………お母様には敵いません……」
「でも無理には聞かないわ、あなたももう年頃なんだから、言いたくない事の1つや2つは有るでしょう
話せる時が来たらで良いわ」
お母様はそう言って笑いました
本当にお母様は、すばらしい人です
『こんな聖女みたいな人を本来の私は拒絶したなんて…』
私は胸がつかえる気分でしたが
まずはエンジェシカをこれからどう支えるかを
考えようと思いました
部屋に戻った私は
デパートで見たエンジェシカとバイオレンスジャック怪人ドクサイダーの戦いを
ノートに事細かく書きました
『ドクサイダーの手によって
エンジェシカは、ファイアリスとフラワネットとライトゥミーナが弾き飛ばされて
ウォルタニーヌとウィングレイスが踏み止まったけれど、ダメージは軽くなかった
今日新しく生み出した、エンジェシカデラックスアタックは、威力は申し分無いけど、エンジェシカ達の体力を大きく消耗する』
「だとすると、使いどころを間違えたら、生命すら危なくなる可能性があるわ」
私はペンを置くと、机の引き出しを開けて
闇のエンジェルコンパクトを見ました
「………つまりは、アニメの中で、ダークネリアにはダークネリアの役目が有ったのね」
私はコンパクトを手に取り、両手で持ってジッと眺めました
『このままじゃエンジェシカはいつか、バイオレンスジャックにやられてしまう、エンジェシカが強くなる為にダークネリアが必要と言うならば!』
そう考えた時、エンジェシカのアニメで見た
ダークネリアの所業が私の中で再生されました……
ある回で
「ダークネスアタック!」
ダークネリアの放った闇がファイアリスを襲います
「くっ!……」
ダークネスアタックを受けたファイアリスは
目こそしっかりしていますが、身体が震えて居ました
「どう?怖いでしょ?私の闇は恐怖心を煽る事が出来るのよ、さあもっと恐れ慄きなさい
ダークネスアタック!」
またある回で
パーン!パーン!パーン!
ダークネリアはフラワネットを魔法で縛り
ムチで滅多打ちにしました
「ほらほら、どうしたの?
泣いてみなさい?ダークネリア様私の負けですって言ってご覧なさい?」
パーン!パーン!パーン!
フラワネットの頬が赤く腫れ、服も汚されていますが
「だ、誰が言うもんか!あんたなんかに絶対負けない!!」
と、言い返してみせました
「フフフ、何処まで耐えられるかしら」
パーン!パーン!パーン!
またまたある回では
「ほらほら、水の魔法少女さん、逃げているだけじゃ勝てないわよ」
ダークネリアはそう言いながら、木の上でウォルタニーヌを見下ろしていました
ウォルタニーヌが戦っているのは
「お願い!ウィングレイス!目を覚まして!私達は仲間でしょ!?」
仲間であるウィングレイスだったのです
しかしウィングレイスの目には光が無く、何やら人としての温かみも感じられません
よく見ると、身体からは糸が伸び、その糸はダークネリアの指に繋がっていました
実は少し前に、ダークネリアがウィングレイスこと春風さんに奇襲をかけて気絶させ
闇の魔法で操り人形の様にしているのです
「さあ、私の忠実なお人形さん、ブーメランをぶつけやりなさい」
ダークネリアはそう言ってウィングレイスを動かし
ウォルタニーヌにブーメラン攻撃を仕掛けました
「きゃあー!」
ウォルタニーヌは横に飛ばされました
はたまたある回では
「「「「「ほらほら、ライトゥミーナさん、本物はここよ」」」」」
そう言ってムチを振ってライトゥミーナを取り囲む複数人のダークネリア
闇の魔法で分身しているのです
「ラ、ライトシールド!突撃!」
ライトゥミーナがあるダークネリアに盾を向けて迫っていきますが
そのダークネリアは、一瞬にして消えてしまいました
「残念でした、偽物よ」
ダークネリアの多数のムチかライトゥミーナを襲いました
「きゃあっ!!」
「ダメ!だめ!駄目!そんなのダメー!!」
現実に戻った私は、頭を押さえて左右に振りました
ダークネリアの戦法が残酷過ぎて
私は知らない内に泣いていました
「エンジェシカを鍛える為でも、大切な友達に闇とムチを向けるなんて、私には耐えられない!」
私はとりあえず深呼吸をしました
「それならば、私がバイオレンスジャックの本拠地に乗りこんで、勝負をつけて……
いや、幹部も居るし、首領だって強いわ
私1人では勝てない……
そうだわっ!皆に全部話そう!
そして仲間に入れてもらおう!
私もエンジェシカと同じ魔法少女なんだから!」
私はそう決意しましたが、その瞬間また昔見たアニメ
の映像が再生されました
それはダークネリアが初めてエンジェシカに敗北した時の話
「な、なかなかやるじゃない…エンジェシカ……」
ダークネリアは戦いを重ねて強くなったエンジェシカ達を相手に、大分疲弊していました
するとファイアリスとライトゥミーナが前に出ました
「ダークネリア、あなたは何故こんな事をするの?」
「闇とはいえ、あなただってエンジェルコンパクトから力をもらった魔法少女の筈です、きっと分かりあえます!私達!」
ダークネリアが自分達と同じ系統の魔法少女なのは
服装や名乗り、技の感じでエンジェシカ達も分かって居ました
そしてエンジェシカの中でも、特に心優しかった2人はダークネリアを説得しようとしたのです
でも無駄でした
「私はあなた達が憎いのよ!!邪魔なのよ!!
いつも輝いてて、そこに居るだけでも目障りなの! 私の前から消え失せなさい!!ダークネスアタック!!」
ダークネリアが闇を放ちました
しかし
「ライトシールド!守り!」
ライトゥミーナは前に出て盾を構え
その闇を防ぎました
もう立つことすらやっと体力しか残っていないダークネリアの攻撃を防ぐ事等、容易な事でした
そこへ、ウォルタニーヌ達が、ファイアリス達の近くに寄りました
「もうダメなのよ、いくらエンジェルコンパクトで変身する魔法少女でも、ダークネリアとは分かり合えない…」
「そうだよ!第一残虐な戦法で仲間を傷つけた戦士が新たに仲間になるなんて、アタシは認めない!」
「私も出来る事なら分かり合いたかった、でも闇は闇、闇の在り方は変えられない!」
そう仲間達に諭されたファイアリスとライトゥミーナは、悲しそうな目でステッキを構えました
ウォルタニーヌ、フラワネット、ウィングレイスもです
その時です、それぞれのステッキが虹色の輝きを見せたのは
「あれ?何だろう?この感じ…」
「何か今までに無い力を感じる」
「頭の中に何かが浮かんでる」
「耳の奥で呪文が聞こえてくるみたい」
「そうよ、この感じは、このパワーは」
「「「「「新しい技!!」」」」」
エンジェシカは心を一つにして、その技名を叫びました
そう、それこそが
「「「「「エンジェシカ!!
レインボーアタック!!!」」」」」
5人のステッキから虹色に輝く聖なる光線がダークネリアに向かって放たれました
「うわーー!おのれーー!!エンジェシカー!!」
ダークネリアの断末魔をあげたと共に
虹色の大爆発が起きて、ダークネリアは姿を消しました
エンジェシカがついに勝利を納めたのです……
「ダークネリアはあれで大ダメージを受けたけど、なんとか耐え切って人知れず逃げたのよね
それで回復するまでの間、エンジェシカへの憎悪を強めた事で更に闇の力を強くして行った……
やっぱりダメだわ、闇の魔法少女が皆を守る魔法少女になるなんて出来る訳ない
エンジェシカの皆の心の優しさや広さは知っているけど、やっぱり打ち明けるのが恐いわ
はあー、八方塞がりだわ……」
私は力なくテーブルにへたり込みました
『やっぱり闇を宿した魔法少女は、明るい道を歩く事は出来ない、暗い裏道を歩くのが宿命なのよ
影に隠れながらね…………
影に、隠れながら?
はっ!!』
「そうよ!!その手が有ったじゃない!!」
私は思わず立ち上がりました
「闇の魔法少女なら闇の魔法少女らしく、やってやろうじゃないの!!待っててね!皆!!」
私は我ながら名案を思い付いて、1人燃えました
その時
グーーー
私のお腹が鳴りました
「あっ……」
思わず私はお腹を押さえた時
トントン
と、部屋の戸を誰かが叩きました
「お嬢さまー、御夕飯ができましたよ」
メイドの山咲さんが、知らせに来てくれたのです
「はい、今行きます……」
『とりあえず、ご飯食べてからこの先は考えよ…』
ちょっと気恥ずかしい気持ちで赤くなった顔を擦り
私は部屋を出ました
夕食を食べ終えた私は
部屋に戻り、改めてノートを開き作戦を練りました
私の知る限りのアニメ魔法少女エンジェシカの流れを書き出して、矢印を引っ張り、丸を付け
それはもうテスト勉強やテスト本番以上に集中して
そしてなんとかいつもの就寝時間30分前に、作戦を練り上げました
「よしっ!出来たわ!完璧、と言えるかは分からかいけど、宮楽豊子世、人生史上1番頭を使って考えました!
早速明日から作戦開始!その為には体調も万全にしなきゃね!」
私は作戦ノートと闇のエンジェルコンパクトを通学カバンに入れると、お風呂でシャワーだけサッと浴び
ベッドに入りました
相当頭を使ったので、寝付きも早かったです…
次の日がやって来ました
私は登校してくると屋上に出て、住む街を見つめました
『時間は刻一刻と迫っている、正直冷静になってみると少し不安も有るけど、これをやらなきゃエンジェシカと私達の街に明るい未来はやって来ない
私が闇を請け負う事で、皆の平和と幸せが守れるならお安い御用よ
魔法少女ダークネリア流のやり方、トクと味あわせてあげる!』
私はそうして胸ポケットを撫でました
そこには、隙を見て入れておいた闇のエンジェルコンパクトが入っています
そうして今日も授業が始まりました
1時間目の国語が終わり、2時間目の数学の時間
私は時計をちょくちょく見ながら、事が起こるのを待ちました
「じゃあこの問題を、高見沢君」
「はい、答えは…」
『そろそろね』
私の読み通り、街全体のスピーカーから【ウーーー】と警報音が鳴りました
「緊急放送!緊急放送!バイオレンスジャックの怪獣が街に送り込まれた模様です!大至急避難してください!繰り返します…」
そう、今日はバイオレンスジャックが生み出した怪獣【ハカイシン】が街を襲撃する日だったのです
「バイオレンスジャックの怪獣だって!?」
「マジでやばいじゃん!!」
「みんな、落ち着いて!授業は中断します、裏口から避難しましょう!」
数学の翠川先生の誘導で、クラスメイト達が教室を逃げ出します
他のクラスの同級生達もです
そんな中、私はある同級生をしっかり見ていました
クラスメイトの春風さんです
皆が避難していく人混みの中、見失わない様にしていると
後ろから走ってきた亜友さんが春風さんに追い付き
2人は隙を見て、人混みを抜け
図書室の方へ走っていきました
『やっぱり図書室に向かったわ』
私は記憶を取り戻したので、知っていました
エンジェシカ達は、学校の時間でバイオレンスジャックの襲撃が起きた際、校内にまだ落ち着きがある際は屋上、混乱している際は図書室に集まり
変身、出撃するのです
私も隙を見て、列を抜け出し
春風さんと亜友さんの後を静かに追いました
2人が図書室前に着いた時
ひのでさん、芽々さん、みちるさんは、既に来ていました
私は図書室近くの階段の影に隠れて
動向を見守りました
「今日は怪獣との戦い、怪人達と違ってきっとタフだろうから、油断せずに行こう」
ひのでさんが言いました
エンジェシカは、特にリーダーが決まってはいませんでしたが
実質、彼女がチームの中心だったと思います
それが証拠として
「ええ」
「合点!」
「もちろんよ」
「行きましょう」
と、仲間達はやる気いっぱいで結束も強そうです
するとカチャカチャと音がしました
どうやら皆コンパクトを取り出したようです
『改めて近くで見たいけど、これは遊びじゃない』
私は自分の衝動を抑えて、息を潜めまさした
「「「「「レインボシスエナジー」」」」」
「ファイヤーオブ」
「ウォーターオブ」
「フラワーオブ」
「ウィングオブ」
「ライトオブ」
「「「「「メタモルフォーゼ!!」」」」」
その声と共に、強い光が起こりました
変身が始まったのです
記憶を取り戻した私は、好きだったアニメの変身シーンが現実で起きている事に興奮を覚えましたが
息を深く吸って気持ちを鎮めました
やがて、学友5人改めエンジェシカの5人が
外に出てきました
ファイアリスが窓を開けると
ライトゥミーナに
「それじゃあお願いライトゥミーナ」
と、言いました
「はい、じゃあ皆さん、私にしっかり掴まっててください」
ライトゥミーナはそうして自分のステッキを構えました
仲間達がライトゥミーナの肩や肘を掴みます
そして
「フラッシュマッハ!!」
ライトゥミーナがそう技名を言って、ピカリと光ったと思うと、エンジェシカの姿は消えていました
私はそれを見送ると、先程までエンジェシカが居た所まで行きました
「さすがはフラッシュマッハね、光の速さを使って目にも止まらぬスピードで移動する
だから肉眼では捉えられず、誰もこの窓からエンジェシカ達が出て行ったなんて気が付かない
屋上から出撃するなら、普通に空を飛べば良いけど
図書室からだとどうしても……って、そんな事言ってる場合じゃないわ!
私も早く変身して後を追わなきゃ!!」
私は図書室に飛び込み
コンパクトを出して、あの呪文を唱えました
「レインボシスエナジー・ダークネスオブメタモルフォーゼ!!」
そうして、コンパクトから溢れた闇に包まれて
私はダークネリアに変身しました
そして外に出て辺りを見回し、木が有り木陰が有るのを確認して
私はステッキを構えました
「ジャドースキップ!」
そう言うと、私の身体は黒いスーパーボールの様になり
木の木陰に飛び込み、影から影へと移って行きました
影に隠れ、影から影へと渡りながら誰に見つかりも悟られもせずに移動出来るダークネリアの技です
そうして私は、エンジェシカの元へ急ぎました
私が来たのは
街の近くに有る大きな湖の公園です
公園に来ていた人達が悲鳴あげて逃げ回っています
そうして公園自慢の湖の真ん中で、例の怪獣ハカイシンが暴れていました
ゴツゴツした体に、鋭い爪と牙
尻尾も太く、私が10人肩車したって届かない身長の持ち主
さすがは怪獣という所でしょうか
エンジェシカ達も必死に戦っています
私は物陰に隠れて様子を見ました
「ファイヤーリボンアタック!!」
ファイアリスがリボン状に伸びた炎を、ハカイシンにぶつけます
しかしハカイシンはびくともしません
それどころか
「グガーーー!!」
ハカイシンは口から真っ赤な火炎を吹いたのです
ファイアリスはまともに受けてしまいました
「「「「ファイアリス!!」」」」
仲間から心配の声があがりますが
「そ、そんな、攻撃、炎の魔法少女である私には効かないわよ、怪獣さん」
と言って、ファイアリスは立っていました
ファイアリスはそう言いますが
顔や服が煤けているので、それなりのダメージが伺えます
「よくもファイアリスを!!これを受けてみな!!
花の弓!乱れ矢!!」
フラワネットが弓で沢山の矢を放ちます
しかしハカイシンは
「グー!ギャーオ!ググー!」
その矢を腕で全て払い落としたかと思うと
「ドースギャー!」
なんと相撲取りの四股踏みみたいな動作をして
衝撃波を放ちました
「「「「「きゃーーーー!!」」」」」
エンジェシカ達は吹き飛ばされてしまいました
『もう少し見守るつもりだったけど、もうそんな猶予は無いわ』
私はステッキをエンジェシカ達の方へ向けました
『上手く出来ると良いな』
「ダークマリオティス!」
そう言うと、エンジェシカの近くの木陰から影が糸のように伸びて
エンジェシカ達に絡みついて行きました
この技は相手の影に闇の糸をかけ、マリオネットの様に動かせる闇の魔法技です
アニメでダークネリアがウィングレイスにかけた技でもあります
私の右手指5本にも糸がつきました
「さあ、エンジェシカの皆、ゆっくり立ってね」
私がそう念じて手を動かすと
エンジェシカ達は糸で上から引っ張られたかの様に立ち上がりました
「よし成功だわ、このままこっちに来て」
私がそうしてまた指を動かすと
エンジェシカ達は、私の居る木陰の方へ走ってきます
そうなればハカイシンも、当然ながらエンジェシカを追ってきます
「そうよ、皆良い感じよ、そのままハカイシンをこっちに来させて」
そうしてエンジェシカ達は私の近くまで走ってきました
5人の目に光は無く、人間としての温かみ無い、まさに操り人形その物です
因みに私が知る限りでは、ダークマリオネティスを受けている状態の人は
意識や意思を全く持っていない状態なので
私の事は全く認識出来ない事になります
そうして、ハカイシンもドスンドスンと足音を立てて
迫ってきました
「よし、良い感じよ、こっちへいらっしゃい怪獣ハカイシンちゃん」
そしてハカイシンも木陰の所に来た所で
「今だわ!ブラックホールオープン!」
私は木の影達に向かってステッキをふりました
すると、影達があつまって黒い塊となって
ハカイシンの足元に現れました
「ギャーーオ!」
ハカイシンはその黒い塊に吸い寄せられて行くのに気付き、足を止め踏ん張り始めました
この技はブラックホールを生み出して、対象をその中に引き込むという魔法技です
因みに闇の魔法は、闇や影が有れば幾重にもパワーアップが出来るので
魔法少女として経験の浅い私や本来の豊子世もいきなり大技を使う事が可能だったのです
これもまた闇の魔法が危険視される要因と言えましょう
ハカイシンはブラックホールから逃れようとしましたが
抵抗の甲斐なく、ブラックホールに吸い込まれて行きました
「ギャーーーーオ!!!」
そう断末魔を残して、それを確認すると私はステッキを振り
ブラックホールを閉じました
「これで大丈夫ね、エンジェシカの皆お疲れ様、あの怪獣はきっとあなた達の役に立ってくれるわ、私はまだやる事が有るから、エンジェシカヒーリングをお願いね」
私はステッキを振り上げて
「ダークマリオネティス・リリース!」
と言って、彼女達に絡めた影の糸と自分の指に繋いでいた糸を切り
足早に姿を消すと、またシャドースキップを使い
次の目的地に向かいました
そうしてやって来たのは
公園の管理施設の裏
私は知っていたのです、ここには……
「バイジャーック、どんな手を使ったか知らんが、あの怪獣を一瞬にして消すとは」
「エンジェシカにまたしてやられたな、とにかく撤収だ」
そう言って施設から出てきたのは、バイオレンスジャックの戦闘員2人組です
アニメでは、この2人はハカイシンより前にこの公園に来て
管理施設を制圧
監視役としてスタンバイした後、アジトから怪獣ハカイシンを呼び寄せたのです
アニメでは、エンジェシカとハカイシンの戦いが済んだ後
アジトに戻り、全てを報告する事になるのですが
今回はそうはいきません
「ダークマリオネティス!」
私はステッキを振り、影の糸で戦闘員2人組を縛り
自分の指に糸を繋ぎました
戦闘員2人組は、何が起きたのかさっぱりわからないまま、直立不動になりました
それが済むと
「さあ、こっちへ来なさい」
戦闘員2人組を私の所へ呼び寄せました
兵隊の様に、足並み揃えて歩いて来た2人組は
私の前で【気を付け】をしました
そうして私は「ブラックホールオープン!」で
ブラックホールを開き
「入りなさい」
と言って、2人を飛び込ませ、ブラックホールを閉じました
『バイオレンスジャック怪獣ハカイシンと戦闘員2人
確保成功
あなた達には、エンジェシカの手助けをしてもらうわ
時が来るまでは、ブラックホールの先に作っておいたお部屋で静かに眠っていなさいね
私は闇の魔法少女、どこか悪辣で残酷な魔法しか使えない、それが宿命……
でも、力を得たからには、この力大切な物を守る為に使わせてもらうわ!
その為にも陰ながらエンジェシカを支えて見守って行くのが私の使命よ!!』
「って、決意表明してる場合じゃなかった!早く学校に戻らなきゃ!シャドースキップ!」
私は影から影へと渡り、学校に急ぎました