エンジェシカ達はゲキオコ
思わず塞ぎ込んでしまった私でしたが
いつまでもこんな事をしていても、埒が明きません
何より学校をまた休む様な事があれば
お母様お父様や使用人の皆さん、学校の友人達、大切な人達にまた心配をかけてしまいます
私はお尻を自分で叩いたり抓ったりしながら、乱れそうになる心を平常に戻し
日が差し込み始めた部屋で、朝の支度を始めました
制服に着替えた私は、誰かに呼ばれる前に広間に降りてきました
すると、お母様がソファーに座り、新聞を読んでいました
「おはようございますお母様」
「おはよう豊子世、今日は早いわね、昨晩はよく眠れた?」
そう言ってお母様は笑いかけてくれました
「ええまあ、ただ少しだけ恐い夢を見てしまって…」
お母様の包容力は大した物で
隠すつもりだったのに、思わず口に出してしまいました
「そうなのね、ここにいらっしゃい」
そう言ってお母様は、ソファーの空いたスペースを叩きました
私が何だろうと思いながら行ってみると
そこに行き腰を掛けると
お母様は私を抱き寄せて来て
「悪い夢、悪い夢、飛んで行け」
と、私の頭を撫でてくれました
『そう言えば、お母様、私が小さい頃悪い夢をみると、こうやっておまじないしてくれたっけ?』
お母様のおかげで少し気持ちが楽になった私は
朝食を食べ、歯を磨き
番田さんの代わりに、メイドの満島さんの送迎で学校に行きました
「それでは御嬢様、また部活が終わる頃、お迎えに参りますので」
「はい、満島さん、ありがとう」
私は車から降りてドアを閉め、満島さんの運転する車が離れていくのを見送り
校門をくぐりました
すると
「あっ!豊子世先輩だ!」
「あら本当、先ぱーい!」
そう言って、こちらを振り向いたひのでさんと芽々さんが駆けてきました
「ひのでさん、芽々さん、おはよう」
「豊子世先輩、元気になったんですね」
「良かったー、心配してたんだー」
ひのでさんと芽々さんも私を心配してくれていて
嬉しく思いましたが、その瞬間
ふと悪夢で見た3人の表情が頭を過ぎりました
それを思うと、突然居た堪れない気持ちになって来てしまいました
「豊子世先輩?どうしたんですか?!」
「先輩?先輩!?」
学友達がそう声をかけてくれているのは聞こえてきましたが
私は何も答えられませんでした
「ご、ごめんなさい、私用事を思い出したからっ!……」
私は全速力でそこから逃げました
私は足早に昇降口を抜け、教室に行きました
「あっ、宮楽さんおはよう!」
「おはよう宮楽さん、元気になったんだね」
「おー宮楽オハさん!心配してたんだぜ!」
クラスメート達が声をかけてくれました
「ああ、皆、おはよう」
私は緊張する心をなんとか平常に戻して挨拶しました
「一昨日は大変だったね―」
「バイオレンスジャックの爆破に巻き込まれて倒れたって聞いた時は、心臓が止まるかと思った」
クラスメート達も私を心配してくれていました
私には素敵な学友が居ますが
お母様の教育のお陰で、同級生や先輩後輩とも
良好な関係を築けていました
そう私は幸…
「あっ!豊子世さん!」
「トコちゃん!!」
私が物を思おうとした瞬間
亜友さんと春風さんが、私の所に来ました
「あっ、亜友さんに春風さん」
「もう大丈夫なの?」
「元気になって良かったー!」
亜友さんと春風さんも、私をとても心配してくれていたのだと
でもその時です
ほんの一瞬ですが、見えてしまったのです
悪夢で見た亜友さんと春風さんの憎悪に満ちた顔を
その一瞬で私は背筋が凍りました
「あら?どうしたの?何か調子が悪そうね」
「大丈夫トコちゃん?」
私は2人にさらなる心配をかけてしまいました
なんだかとても情けなくなった私は
「ご、ごめんなさい、まだ少しだけ事件の精神的後遺症があるみたいで……顔でも洗ってくるね」
私はまた逃げる様に教室を出ていきました
私は少し離れた水道に行き、顔を洗いました
「ふー、さっぱりした、でもさっきから私、逃げてばっかりだな―、あれは夢だったんだから気にするのがおかしいのよ」
そう私は自分に言い聞かせて、胸を叩きました
すると
「あっ、宮楽先輩、おはようございます!」
そう声をかけてきたのは、みちるさんでした
手には花瓶を持っています
きっと水を換えを来たのでしょう
「あらみちるさん、おはよう」
「元気そうで何よりです」
みちるさんもまた私が元気になった事を心から喜んでくれているのが見て取れました
「心配してくれてありがとう」
『あなたこそ、ゼツボーン男爵と1人で対峙した時は相当恐かったでしょ?よく頑張ったわ』
と言って抱き締めてあげたいですが
当たり前ながらそれは出来ません
「先輩が元気に学業復帰してくれると、私も嬉しくなります」
「そう?そう言ってもらえると嬉しいわ」
みちるさんの言葉を聞き、私の心も落ち着き始めました
するとみちるさんは、花瓶の水を替えながら
こんな事を言いだしたのです
「昨日、なんだか怖い夢を見たんです」
「怖い夢?」
「はい、行けども行けども光が見えて来ない、そんな暗闇の世界をひたすら歩いているという夢を……」
「えっ!?く、暗闇の世界を……」
「はい、私、怖くてこわくてたまらなくて……」
『まさか、ライトゥミーナであるみちるさんは、私の闇を読み取ってそんな夢を!?……』
私の身体から血の気が引き、心臓が凄い音を立て始めた気がしました
「そしたらですね…」
みちるさんはそう言いながらこちらを見ました
私が息を飲んだ瞬間
「少し目が疲れていたんで、アイマスクつけて寝ていたの忘れてたんです」
と、言ってみちるさんはテヘペロをしたのです
私は安心しました
「なんだ、そうだったの…」
私が胸を撫で下ろすと
みちるさんは突然驚いた顔をして
「あれ?先輩?!お顔が青くなってますけど大丈夫ですか!?」
そう言って花瓶を割れない程度に急いで置き
私の顔を両手で包んで見つめるみちるさん
みちるさんは私を心配しての行動だったと思いますが
その瞬間、みちるさんの悪夢での顔が脳裏に浮かんでしまい、気がついたら手を振り払っていました
「きゃっ!」
みちるの悲鳴を聞き、私は我に返りました
「あっ!ごっ、ごめんなさいみちるさん!!
ケガはない?!」
私がそう言うと
「いえ、こちらこそごめんなさい、いきなり触ったのでびっくりしたのですよね?」
みちるさんが私を見つめる目は、申し訳無さがいっぱい詰まっていました
『そんな悲しい目をしないで、私が悪かったの』
「みちるさん、本当にごめんなさいね」
居た堪れない気持ちになった私は、みちるさんにそう言ってもう一言謝り
その場を走り去りました
みちるさんは背中を向けた私にまだ何か言っているみたいでしたが
私は振り向かずに行きました
そして私は、密かに決意を固めたのです
『しばらくの間、学校では1人で行動しましょう
今の私がエンジェシカの皆に近づいたら、いつか大きく傷つけてしまう気がするもの………
そうよ、きっとこれが宮楽豊子世である私の運命だったに違いない
闇の魔法少女は、闇の魔法少女らしく、闇に溶けて影から大切な人を守りましょう
寧ろ私は充分今まで幸せだった、本来の豊子世だったら、こんな幸せさえ掴めないまま
誰からも嫌われて、誰からの記憶からも消える運命だったんだから
それを思えば、今以上の幸せを望んだら罰が当たるわ
そうよ、闇の力は正しい為に使うにしても
闇の住人は闇に隠れていきましょう』
そう決意しましたが
自然と目の中には涙がたまっていました
そうして1人で進む事を決めた私は
授業が終わると、すぐに教室を出て
姿を隠しました
お手洗いも出来るだけ3年生の教室から離れた所に行きました
お昼休みになると、すぐにお弁当を持って
空き教室に行き
机や椅子で即席の壁を拵えて、そこに身を隠し
お昼ご飯を済ませたら
息をころして、時間が過ぎるのを待ち
授業が始まるギリギリの時間に教室に戻りました
『今日は5時間目が国語だったから良かったけど、明日は体育よね?どうしよう』
授業中もそんな事を考えていたら
「宮楽、宮楽!」
「は、はいっ!」
「どうしたんだ?ボーとして、珍しいなー」
「す、すみません…間山先生」
「まあ良い、次はお前の番だから、教科書の32ページの5行目から読んでくれ」
「分かりました」
『いけない、いけない!私ったら……』
とまあ、失敗は有りながらも
私は午後の授業も無事に終え
掃除をし、新体操部の練習に行くつもりでしたが
なんだか気持ちが疲れてしまい
部活をサボって屋上に来ていました
「風が気持ちいい…考えてみれば初めて部活サボっちゃったなー」
私はゆっくり地面に座り、今日の事を振り返りました
『独りになるとやっぱり寂しいなー、でもこれが絶対得策なのよ、闇は闇らしく、正義と優しさを忘れない為にも、耐えなきゃ!!
って、あっ!!
そうだ、番田さん説得する方法考えてなかった…
お昼休み隠れる事だけに集中していたから
あー、やっちゃった……時間はたっぷり有ったのに…
まだお母様へのプレゼントの事も
エンジェシカ道場の事も前に進んでないのに
あー、どうしてこうも上手くいかないの?』
私は内心、自分に苛立っていました
でも同時に気づきました
『ダメダメ、悪感情に飲まれちゃ、道を踏み外してしまうわ』
私は頬をパンパンと軽く叩いて
立ち上がりました
『とりあえず、今から部活に行くのもなんだし、満島さんが迎えに来てくれるまでに何か手を考えよう』
私がそうして、屋上を出ようとした時
「豊子世先輩!」
「豊子世さん!」
「トコちゃん先輩!」
「トコちゃん!」
「宮楽先輩!」
それは聞き覚えのある、エンジェシカもとい学友達の声
振り返ると
ひのでさん、亜友さん、芽々さん、春風さん、みちるさんが立っていました
「あら皆さん、お揃いで」
私がそう声をかけますが、なんだか5人とも表情が穏やかではありません
私はゾッとしました
『えっ?お、怒ってる?!』
今日見た悪夢が現実になったのでしょうか?
私が動揺していると
亜友さんがグイっと近付いてきました
「豊子世さん、あなた、何を隠してるの?」
冷静な物言いですが、トーンが明らかに怒っています
「いえ、別に、何も…」
『ま、まずいわ、もしかして私が闇の魔法少女だってバレちゃった!?』
私はごまかそうにも言葉が見つからず、詰まってしまいました
「トコちゃん、ごまかせてないよ」
春風さんも距離を縮めて来ました
陸上部の練習を抜けてきた様で、その姿は練習着のままです
『ま、まずいわ、今口を開いたら、私が闇の魔法少女なだけでなく、皆がエンジェシカだって知ってる事まで言っちゃいそう…』
私は逃げる選択をする事にしました
そうして足を動かそうとした時
ガシ!
こちらもまた新体操部の練習から抜けてきたのであろうジャージ姿の芽々さんが私の腕にしがみついて来ました
「め、芽々さん!?」
「先輩!腹割ってくれるまで、絶対何処にも行かせないからね!!」
芽々さんがそう言うので
今度は左に目を向けると
みちるさんが、即座に両手を広げて通せんぼをしました
「そうです!話してくれるまで、私、ここをどきません!!」
みちるさんがそう強く言いましたが
何処か身体が震えています
みちるさんも心が強くなったとは思いますが
やっぱり先輩である私に強く出るのがきっと怖いのだと思います
何処にも逃げ道が無い、そう思ったその時
ひのでさんが叫びました
「豊子世先輩!私達友達じゃないんですか!?」
「えっ!?」
ひのでさんのストレートな物言いに私が返しを失っていると、さらに続きが来ました
「私達、豊子世先輩が凄く心配だったんです、私だって朝会った時、豊子世先輩凄くつらそうな顔をして逃げて行ったんで、それから今日はずっと嫌な予感がしてました、きっと何か1人で抱え込んで悩んでるだって」
ひのでさんの言及に、私はなんだか恥ずかしくなって来ました
『私の事丸分かりじゃない!?、エスパーなのひのでさんは?』
そんな事を考えていると
「だから放課後、先輩の事を探していたら、亜友先輩も、芽々ちゃんも、春風先輩も、みちるちゃんも
皆先輩の事を探していたんで、皆でここに来たんです!」
と、ひのでさんが言いました
すると次は、亜友さんが
「豊子世さん、私もお父様同士の会社付き合いとかは別としても、あなたと幼馴染である事が嬉しかったし誇らしかったわ
ねえ、私ってそんなに頼りない?」
そう投げかけてきました
「い、いや、そんな事は無いわ!…私だって嬉しいし、誇らしいわ
亜友さんだけじゃない、ここに居る全員、私は友達になれて良かったと思ってるもの」
私がそう返すと
「だったらどうしてアタシ達を頼ってくれないのさ!?」
「いつもいつも、自分の事は後回しにして、人の事ばかり、どんなに自分が辛くても願うのは人の幸せばかり…」
「宮楽先輩!私達、本当に怒ってるんですよ!
その自分ばかり犠牲になれば良いって精神に!!」
芽々さん、春風さん、みちるさんから一気に言及が来てしまいました
更にみちるさんは
「どうして先輩は、いつもいつも、独りぼっちで傷つくんですか?……」
と言って、涙を流し始めました
「みちるさん!?ど、どうして泣いて」
「みちる、ずるいよ」
そう声をかけた芽々さんも瞳に涙をためていました
「アタシだって泣きたいよ、先輩が傷ついてる時に頼ってもらえないのが、不甲斐なくて……」
そう言って涙を流し始めた芽々さん
「そういう芽々さんも、人の事言えないじゃない…
私だって我慢してたのよ、親友が悩んでいたのに、助けられないで、何が幼馴染よ…」
亜友さんも泣き出しました
「トコちゃん、お願いだから心を隔てないで……」
春風さんまでもが号泣し
「もう私我慢出来ない!!」
ひのでさんは私の所に飛び込んで来て
「先輩のバカ!バカ!バカ!私達を居ない者扱いしないで!!
私達が居るじゃないですか!!!
1人で闇を抱えて暗闇に籠もらないでください!!!」
そうしてひのでさんは私に駄々をこねる子供の様にパンチをしてきました
そしてその言葉は私の胸に深くふかく突き刺さりました
『皆が私を心配してくれている
なのに私は周りが見えて居なかった
自分自身で暗幕を張ってしまっていたんだ…
皆を支えたい気持ちは確か
でも、だからと言って、助けを求めないのは違う…』
私は泣いている5人を見渡しました
『そうよ、それこそ皆を支えるどころか、心配かけ倒しちゃってるじゃない!!
こんな素敵な友達を心配で泣かせるなんて……』
私もなんだか泣けて来て
私の胸にすがるひのでさんを思わず抱き締めました
「ごめん、ごめんね……ごめんなさい皆!心配かけて」
私が今出せる言葉は、これが精一杯です
すると
他の4人も私に抱きついてきて
皆でわんわん泣きました
喜怒哀楽、様々な涙が混ざり合う気がしました
皆で思いきり泣いた後、私は学友達から事情聴取を受けました
亜友さんが前
その左右横をひのでさんと芽々さん
左右後ろを春風さんとみちるさんが私を囲んで座り
私はなんだか魔法陣の真ん中で祈りを捧げる巫女になった様な気分がしました
亜友さんが主に質問をしてきて
私はそれに答えました
【番田さんが私を守れなかったからと、仕事を辞めようとしている事】
【お母様への誕生日プレゼントが、既にお母様が持っていたので、違う物にしたいけど時間が無くて焦っている事】
勿論私がダークネリアで【闇の力をコントロール出来るか不安な事】は、上手く隠して
【なんだか前述の理由から、なんだか心が闇に飲まれそうで、誰かを傷つけそうで隠れていた】と
説明しました
5人に取り囲まれているのは事実ですが
その目は優しさと心配に満ちており
私は素直に話す事が出来ましたし、5人とも静かに話を聞いてくれました
そうして話し終えると、亜友さんが
「よく分かったわ」
と言って更にこう言いました
「豊子世さん、番田さんの事は、私に任せてくれない?きっと悪い様にはしないから」
亜友さんの目は力強くも頼もしい目をしていました
友達の為ならばなんだって出来る
そんな強い意志を感じられました
「頼んでも、大丈夫?」
「もちろんよ!!」
亜友さんはそう言って笑いかけてくれました
すると次にひのでさんが
「豊子世先輩がお母さんへのお祝い気持ちを込めて、用意したプレゼントが、嬉しくない訳ないじゃないですか?
先輩は煮詰まり過ぎなんです」
と言ってきました
私が
「そ、そうかしら?」
と、疑問風に言えば
「そうだよ!豊子世先輩は頑張りすぎだよ!
新体操部の練習の時だって、アタシが少し疲れてるとすぐ飛んで来て気にかけてくれるし、それが済んだら他の子の調子もすぐ見て回るし」
と、芽々さんが
「クラスの雑務や掃除もトコちゃんはいつも真っ先に引き受けてるし」
と、春風さんが
「それに最近では、私達後輩の所でも、色々手を貸してくれてますよね?」
と、みちるさんが返してきました
『いやー、まー、エンジェシカを支えたいのは確かだけど、あんまり5人にばかり構ってるとえこひいきしてるみたいで、周りの子が皆に反感買っちゃうかと思ってついつい他にも……』
言われてみれば私は思い当たる事が有りすぎました
「生徒会の活動だって、いつでも私以上に働いてるし」
「私の宿題の心配もいつもしてくれますし、先輩はもっと休まなきゃダメです!」
亜友さんやひのでさんも言いました
「確かに少しやりすぎて居たわね私、皆は大切な友達だからついついかまけちゃって、大切な友達の大切な仲間や環境の為にと思ってしまって
心配かけちゃってごめんなさい
でも、こうして皆に話を聞いてもらって、ようやく肩の力がぬけたわ
これからは心配かけない様に気をつけるから」
私はそう御礼を言い立ち上がると
右腕を芽々さんとみちるさん
左腕をひのでさんと春風さんに
掴まれてしまいました
「えっ?皆!?」
すると
亜友さんも立ち上がり
「私達、宮楽豊子世さんお友達同盟は、今日から豊子世さんが無茶をしないように皆でお目付けをすると、決定しました!」
と、皮肉めいた笑みを浮かべて言いました
「宮楽豊子世お友達同盟!?」
私が言うと
「豊子世先輩が1人で問題を抱えないために」
「アタシ達がしっかり見てるからね!!」
「私達の大切な友達が」
「今日みたいな事になったら嫌ですもん」
と、ひのでさんも、芽々さんも、春風さんも、みちるさんも同じ様に言いました
「そんなー、私の為に時間を割いてもらうなんて…」
『ていうか、エンジェシカとしての活動はどうするの?』
私がそんな事を考えているのを他所に
「生徒会長の権限及び同盟加入者の満場一致で決まった事よ、何があっても覆らないわ
てな訳で、お迎えが来るまで豊子世さんは私達が保護します!
では行きましょう皆!」
「「「「はいっ!会長!」」」」
そう言って私は皆に連行されてしまいました
『胸のつかえが取れたと思ったら、また違う悩みが出来ちゃいそう……』
でもまあ、今は抗わず連れて行かれようと思う
私でした
 




