sideメリッサ 思想
初投稿...でいいのかな?
なんとなくやりたい時に更新するから感想とか誤字とかあったらコメント機能的なのに宜しく?
人類が生きる上で避けられない死を私は恐れている
先の無い絶対的な『終わり』
もちろん宗教的な話をするなら死後の世界があると言うが魔術的にも科学的にも証明はされていないのだ。どうしてそんなものを信頼出来る?
先が不安で仕方ない、栄華を誇った王国も人間より遥かに強大な力を持った動物だって最後には死ぬのだ。
死してそれから…何も無い、考える事も感じることもない。
死から逃れる為に錬金術を治めた私は今
「おーいメリッサー」
「ほいさレンか、また怪我でもしたのかよ」
町の何でも屋さん、その中でも漢方屋さんのような立場になっている。
錬金術は広く浅く、目的に近い知識ほど深くがメインとなり化学、生物学、医学、魔法学、薬学etcといった様々な分野の知識を納めていなければならない。
故にある時は魔法士として戦い、ある時は錬金術を用いて物を修理し、ある時は医者として診断と魔法薬の処方を求められるのだ
「別にこっちはもうかるからいいけどよ…んで今日は何だ、切り傷か?打撲か?まさか骨折じゃないよな?それなら医者に行ってくれようちは医者じゃなくて錬金術師なんだから」
「いや今日は違くてな、うちの子供たちどこ行ったか知らねえか?朝っぱらから飯も食わないでどっか遊び行っちまったんだよ。もう夕方なのに帰ってきてないしちょっと心配になってな」
「んーあいつらならとりあえず心配する必要ないぞ」
「…お前がそういうなら大丈夫なんだろうけどそれでも心配なものは心配だよ。お前はこういう時金をもらうまで絶対話さないからな、とりあえずメリッサのお墨付きがついただけで少しは安心したわ。また今度傷薬でも買いに来るよ」
「まず怪我をするなよ…またこいよなー」
そういって金髪のチャラそうな男は店を出ていく。あんなんで家族思いで奥さんに一途、警備隊でもそれなりの立場にいると自慢もしていた、要するに見た目で損しているタイプだ
「おらレンは帰ったぞ、家に帰ったら怒られるのは確定だな。はよ帰れ」
「どうせ怒られるなら夜ご飯の時間までに帰ればいいよ、メリッサも夜ご飯出してくれないみたいだし」
「ライ、メリッサもお金出したからごはん出してくれてるだけだよ」
「りりの言うとおりだ、ったく開店してからずっと居座りやがって腹が減ったら帰ると思っていくらでも話してやるなんて言わなけりゃよかった…金とってもいいレベルだぞこれ」
「いいじゃねえかちゃんと客が来たらカウンターにひっこんでるんだから、それになんだかんだ言って話すの楽しいから追い出してないんだろ」
「うっせ、話聞きたくないなら追い出すぞ」
「図星を突かれてごまかす悪い大人そのもの」
「リリ、お前は表出ようか?ん?」
「ごめんなさい」
「はぁ...んじゃ竜の魔力利用法についてだな、コイツはうまく利用すれば死んでさえいなければ大体の傷は治せるすごいものだ…」
…時間は足りないがひたすら研究だけだと発狂してもおかしくない、私以外の人間が錬金術師になって不老不死を発明できればそのおこぼれにあやかることもできなくもないかもしれないからな、うん
そんなこんなで閉店処理を終えた私は一息つく
「はー疲れた、今日も一日頑張った…がこれから研究タイムだ。不老不死のためだししょうがないな」
特製の錬金薬で睡眠を代用して徹夜で作業するのもいつものことだ。
最近は錬金術だけでは限界を感じ始めて『生ける屍』の研究も考え始めていたりする
いくつかの試薬を準備して人を待っているとノックの音が聞こえてきた
ドアを開けて相手が目的の人物であることを確認すると興奮を隠しきれずまくしたてる
「よく来てくれたな!そこ座って待ってろ!ちゃんと晩飯ぬいてきたよな、薬もってくるからな!」
「おぅ…その、ちゃんと金がもらえりゃ文句はないけどさ…大丈夫だよな?」
「あ”あ”?お前らみたいなのの間でもちゃんと仕事内容は広まってるだろ?新しい漢方やら錬金薬の試し飲み、ほとんど何も起きないし何か起きてもすぐ対処してくれるから安心安全、金払いもいいし誰も損しない素敵なアルバイトだってな」
色とりどりの液体を机に並べて問いかける
「んじゃこの液体たちを左から順番に飲んでいってくれ、再確認だが全部飲んでから一時間はこの部屋にいる、念のため許可が出るまで一か月くらいはここの家の地下を家として使っていいから経過観察だ。ほんとにいいな?」
「どうせ仕事もしてないし大丈夫だ、なぁ飲む薬の効果くらい簡単にでいいから教えてもらえないか?」
「めんどくさ、簡単に言っちまえば魔力耐性下げて体の現状を保存、指定された状態に変更、保存した状態に復元、調書作成、魔力耐性を戻して終了って感じだよ。わかったらさっさと飲め」
「いやこっわ、何それそんなものこれから飲むのかよ…いやちゃんと飲むからそんな目で見ないでくれ」
言ってることはすべて本当だ。変質は指定した形に変化させてからの肉体の反応、状態保存は元通りに復元できれば若返りの効果としても使えるだろう
中肉中背の男は少々気後れした様子を見せるが薬剤を順番に飲み干していく
最初の数本は嫌そうな顔をするだけだったがだんだんと顔色が悪くなり苦しげなうめき声を上げ始める
「ぐっ…なんだこれ…痛くないのになんだかむずむずする…がぁっ…」
「あーちょっとこれ想定と違う反応してるわ。まあでもこれはこれでデータになるしいっか」
「くっそおまえ…後で容赦しねえ…」
「殴ったら報酬払わないだけだし別にいいぞ」
「くそが…」
そう言い残して男は意識を失った
軽口をたたいているが表情は真剣そのもの、気を失った男の体に変化が起きるたび血液を採取したり口に綿棒を突っ込んで細胞を採取して大事そうにしまっていく
「んーもっと派手に変形して形が変わりながら変化していくと思ったが...配合率と理論は間違ってないはずだしやっぱ魔力量がネックか」
こうやって多くの先人が挫折を繰り返してきたのだろうが私は諦めない、諦めきれない
人の身では数十年しか生きられないのなら人間だって辞めてやる
生贄が必要なら100万だって用意する
そんな覚悟があったとしても
「道は遠いなぁ…」
こうしていつもと変わらない夜は空けていく