〜揚げパン戦争〜
揚げパンのおかわり争奪戦が始まった。
最も有利だったやつは、家が貧乏なやつだった。
眼鏡をしていたため、仮にメガネと呼ぼう。
メガネは、自分が家で十分に食べれるほどお金がないことを理由に、家での食費を減らすためにおかわりが必要だと、論理を展開させていった。
その論理に、ただ食べたいからという理由の奴らは、次々と辞退していった。
少し踏ん張った奴もいたが、結局は勝てないと感じ、最終的に俺以外の全員が辞退した。しかし、俺はこのタイミングで反論した。
「給食自体の必要性であれば、その論理は分からなくもないけど、君は既に一人前の給食を食べてるよね?給食っていうのは、一人前で十分な栄養がとれるように出来てるんだから、ここで揚げパンをもう一個食べたところで、何か変わるの?」
メガネは、一瞬言葉に詰まったが、反論してきた。
「一日に必要な摂取カロリーって決まってるよね?揚げパン一個分のカロリーを摂取することで、その分夜ご飯を減らせて、食費を削減できるって言うことは、十分理由になるよね?」
俺は返した。
「昼に揚げパン一個を食べることによって、君の家はその分の食費を本当に削減するの?本当にするならいいんだけど、しなかったら嘘になるよね?」
さらに続けた。
「本当にそうなら僕はここで譲ってもいいんだけど、その代わり今後卒業まで、毎日夜ご飯に何を食べたかをみんなに報告してね?その報告を見て、今後おかわりした日に夜ご飯が減っていたら、嘘をついていないんだって証明ができるんだから」
メガネは悔しそうだがあきれた感じで、俺に言った。
「揚げパン一つでそこまでするかよ、、なんか食欲無くなってきたし、俺は降りるよ」
そう、この状況を作り出せば、俺は必ず勝てると確信していた。メガネがそれでも揚げパンのおかわりを望むのであれば、今後毎日の夜ご飯を報告する必要が出てくる。流石に揚げパンひとつで、そこまでする奴はいないだろう。
こうして俺は、屁理屈によって揚げパンを獲得した。