表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/11

第3話:来たる女神チート!?

開いてくれた方誠にありがとうございます。

「うわっ・・・私のステータス、低すぎ・・・?」


思わず叫んでしまったが、そうではなかったようだ。

以下が浮かび上がったステータス画面である。


―――――――――ステータス―――――――――

名 前:拓人

種 族:人間

職業 :無職

レベル:1


【力強さ】 : 1   HP: 56/ 56

【体 力】 : 1   WP: 19/ 19

【知 力】↑: 1   攻撃: 6  防御: 1

【素早さ】↑: 1   魔力: 1  魔防: 1

【器用さ】 : 1   回避: 22  命中: 82

【幸 運】↓: 1 


ステータスポイント:20

次のレベルまで:5

―――――――――――――――――――――――



なるほどね。


ステータスポイントを割り振って能力あげるタイプね。

【】に囲まれた6つの項目にステータスを割り振れそうだ。


良かった……初期ステータスとか超重要だもんな。


「――?」


【知力】と【素早さ】が赤くて【幸運】が青いな。


多分【知力】と【素早さ】に上方補正、【幸運】が下方補正かな。人間補正なのかな?



「それにしても――」



【魔力】か……。



良い!



良い! 良い!



良さみが深すぎるっ!!



だって魔法使えるってことでしょ?!

魔法といったら、誰しもが一度は使ってみたいでしょ?!


日本でも、体験や現象に対して[魔法のような体験]とか[まるで魔法のようだ]等、一度も見たことが無いのにもかかわらず、不思議な出来事の代名詞みたいな使い方をする。

漫画・ゲーム・アニメ等ではこの魔法という未知のものが題材とされる事も多い。

拓人(たくと)も例外ではなく、魔法に大きな憧れを抱いていた。



居てもたってもいられず、ステータスウィンドウが開いたままだが、手を前に出して――


「ファイアッ!」




「ブリザーードッ!」






「スゥアンドゥアーーッ!!」








叫んでみるが何も出ない。


「火よ起きよ!」「水!」「出でよ魔力!」等叫んでみても同じだった。


あれか? 魔力足らない系か? それとも知力?

とりあえず【知力】10にしてみるか。

えっと――


浮かび上がったステータスの知力表示に触れると、上下の矢印が別途浮かび上がった。

上矢印を押して、【知力】を10にし、OKの表示を押す。

【知力】の表記が10+2となった。

+2は上方補正ってことかな。




頭良くなった??? ――気はしないか。



魔力は1から18に増えている。【知力】が12になると魔力も12になる訳ではではないようだ。

計算式は良く分からないが、一応値を覚えておこう。


「さてと今度は!!」








「――でねーじゃん!」


その後、再度叫んでみたが発動する事はなかった。

ただ、魔力と言っていいのか分からないが、力強い何かを掌に感じる事は出来た。

ポリポリと頭をかき、少し考え方を変える。


「こっち方面じゃないのかな?」



今度は両手を前に突き出し、両手首を合わせて手を開く。



集中して集中して……。「かー」



その後、腰のあたりに手を 「みー」



そう、国民的漫画主人公の必殺技、「かみはめ波」だ。

手の中に魔力を感じつつ、技の名前を(つづ)っていく。



これはいける!!!!



手を前に突き出し



「はああああっーーーーー!!!!!!」






――草が揺れた。



「おお! 出たか! 出たのか!! 少し出ちゃったか??!!」




どうみても叫んだ息で揺れただけであった。

思わずハァー……とため息がでてしまう。



「山ちゃん――本気で撃ったら、かみはめ波出るって言ってたじゃん」



クラスの笑いものになっていたが、高校生の時の友人の山ちゃんが「恥ずかしがらずに全力で撃ったら少し光った!」と、力説していた事を思い出しつつ、切ない気持ちに(さいな)まれる。



――俺には無理だったよ……。



「まぁ、ハメ仙人も会得に50年かかったって言ってたし、仕方ないか」そんな事を考えつつも、

ふと、ある事を思い出す。



――忘れていたぜ……俺としたことが……。

この世界であれば……。


スキルウィンドウ開けば、魔法覚えてるかも! これで魔法の名前が分かれば発動するはず!


「えっとその前に」


首を左右に振ったり、急に後ろを振り返ってみる。ステータスウィンドウもついてくるな。

このウィンドウどうやって閉じるんだ? 閉じてほしいんだが?

と考えていたらウィンドウが閉じた。


「マジか……」


これってもしかして……ステータスウィンドウ!


強く願うと再度ステータスウィンドウが表示された。


そういうシステムのようだ。


つまり――スキルウィンドウ! 心の中で強く願うと……。


ステータスウィンドウ同様に、青い透過色のウィンドウが薄っすら浮かび上がった。


「キタキタ! 早くこうすればよかっ――」



――――――――――スキル――――――――――










―――――――――――――――――――――――




「   」




スキル欄は真っ白。

頭の中も真っ白。

なのにお先真っ(くら)



「前途多難だな……」



そう呟き、ウィンドウを閉じ、遠くの空を見つめる。

――数羽の白い鳥の群れが、山に向かって飛んでいく。


「まったく……鳥まで真っ白だぜ」と呟きしばらく鳥を眺めていると――


見上げていた場所が暗くなり、魔法陣が展開された。


「おお?」


魔法陣がひと際輝くと、一人の人間?がゆっくりと魔法陣の中から現れた。


足から徐々に現れたそれは、神々しく輝いている。


ゆっくりと地上へ降りてくるようだ。


「女神……様?」


その姿は眩しく光っておりはっきりとは見えないが、肩まで伸びる髪は、まるで光をそのまま結った様な薄い黄金(こがね)色。

肌は白く細身の体躯。まさに世の男性が憧れるシルエットである。



やっとか! これは転移の経緯やら、目的やらを教えていただいて

あわよくば、最強の武具や強力なオリジナルスキルが手に入るパティーン!!!


待ってたよ! もすこし早く頼むよ!


少し距離があるなと、女神様の着地点に歩を進める。



――再び見上げると目に付くのは、露出度の高さと整った顔。

それと、その細身のシルエットから逸脱した胸の大きさだ。


ただ、目を閉じていて表情は分からず、それも相まって神秘的な雰囲気を(まと)っている。



藍白の下着のような格好だが、エロくないのは女神の特権みたいなものか?

それとも、今までの展開が激しすぎて、そっち方面に頭が回らないのか?



そうこう考えてるうちに女神が目の前に着地する。



そして



神々しい光が収まり――




――倒れた。



「えっ? ちょっ!」



女神様に駆け寄り「女神様! 女神様!!」



肩を揺すってみるが反応が無い。


何度か繰り返すが反応が無いのだ。


ふと見ると、肩の揺れに合わせて、揺れる胸に思わず目が行ってしまう。



「――いやいや女神様だぞ? 神秘的で幻想的な……」



「女神様!、女神様!」肩を揺すって揺れる胸。



「女神様!、女神様!」肩を揺すって揺れる胸。






――ダメだ! 前言撤回! この無防備な格好で胸揺れたらエロすぎるわ!


手を放し1歩下がり改めて女神様を見る。



――少し苦しそうな表情をしながらも呼吸をしているので、死んではいないようだが。



それにしてもこの格好は……これは素数数えても無理そうだな……。



「女神様に何かしたら……考えただけでも怖いな」


ずっと眺めていたいがぐっと堪え、自分のジャージの上着を掛けてあげる。



「うーむ……これは一先ず別の事を考えないと精神衛生上良くないな」



女神様が起きるまで、とりあえずステータス振りでも考えるか……。

1時間立っても起きなかったら……もう一度……!?


――それとも め、目覚めのキス?!


――い、いや、普通に起こそう……。



てかどうやって1時間計るんだ? まあいいか……。



その後、ステータスウィンドウを開きつつ、魔法の出ない【知力】振りに後悔しつつ

残りのポイントの割り振りを考えるのであった。



――体感30分後――



すっかり煩悩は消え、ゲーマーならではの探求心に火がついていた。


やっぱ結局のところ、補正のある【知力】と【素早さ】にポイント振りたいよな。

ただ魔法覚えるまでは【知力】の恩恵はなさそうなんだよな……。


そうなるとバランス良く割り振るのもありだが、大体器用貧乏になるのがオチだし……。

そもそも、女神の恩恵イベントの後に考えるのが板か。



――そうこう考えていると



「うっ……」


「ん?」


ウィンドウ越しに女神様が寝返りを打った。


――慌てて駆け寄り、再度肩を揺すってみる。



「女神……様?」



――少しビクッとした後、寝ころんだまま(うつ)ろな瞳をこちらに向けている。どうやら大丈夫なようだ。助かった、やっと俺の物語が始まる。



「お、おはようございます、女神様」


「う……? おはよふわぁーーーーーっ」


大きな欠伸の後、こちらを見て何度か瞬きを繰り返す。

およそ人間とは思えない宝石のような透き通った(あお)い瞳に驚きつつも

その瞳には徐々に意思が宿り……。



「だ、だれ??!! ――きゃっ!! な、何この格好!?」


自身の恰好に気が付き、慌てて上体を起こし、座ったまま少し後ずさる。

そして胸を隠すようにし、親の仇の如くこちらを睨んでいる。



「え?」



――想定外過ぎて、口をポカーンと開け固まってしまった。

まさに唖然とはこのことである。

  

しばらく固まっていると彼女から声が掛けられる。



「――こ、これ君が掛けてくれたの?」


後ずさる際に、足に絡まったジャージを広げ、胸の前で抱きしめている。


「あ、はい! 僕のジャージで、エロちが さ、寒そうだったので掛けました」


答えながら、悪意は無いと片膝をついてみたが、気障(キザ)っぽい気がしたため、恥ずかしくなって結局正座をする。



――睨んでいた目がいくらか柔らかくなった。未だ警戒は解かれていないが。

そして、辺りをキョロキョロ見渡し、再度こちらに向き直る。


「そ、そう…………で、ここは?」 


「えっ?」


「えっ?」




「――女神様ならご存じなのでは?」


「えっ?」


「えっ?」



――どこか歯車が食い違ったような雰囲気が続く。



「わ、私が女神?」


「は、はい……空から下りてきたので、てっきり女神様か何かかと」


空を指さしながら、恐る恐る答える。


「えっ?」


彼女の見上げた空には雲一つない蒼い空が広がっている。

こちらに向き直り不安そうな顔で続ける。


「ま、まず私は女神ではないわ。で、結局あなたは何者?」


女神様ではないみたいだ……。

何者か? それは俺も聞きたいよと思いつつ、先ずは自己説明をする。


「俺はどうやらこの世界に転移したみたいで、ここで目が覚めました」


「そしてあれこれこの世界について考えていたら、あなたが突然魔法陣からゆっくり現れて

地面に着地したかと思ったら――」


「――待って」



突然説明を遮られる。そして彼女が立ち上がり近づいてくる。

俺の前で立ち止まると、正座している俺の顔を凝視している。

その蒼い瞳には警戒感は無くなっており、若干の驚きが混じっているようだ。


「えーと?」


耐えられなくなり、声を発したあと間もなく彼女は口を開いた。




「――もしかして、拓人(たくと)?」


!!! 


「えっ! なんで分かるんですか? いや女神様だから? ――でもそれは違うんだっけ? あれ?」


彼女は俺の混乱顔を確認し、笑みをうかべた。そして後ろを向き、俺の上着を着ている。

何かクスクスと笑うような声が聞こえた後、俺に向かって指を指し高らかに宣言した。


「私は池の女神!」


「え? 女神じゃないって?」


――これは理論で考えたらダメな場面か。

彼女が続ける。


「貴方が落としたのは銀の斧ですか? 金の斧ですか?」



「――それとも小学生の時、父親に買ってもらった財布ですか?」


「!!」


なぜその事を知っている……落としたのを知っているは1人だけ……。

ということは……。


「――パト……さん?!」


彼女はにっこりと微笑み、指していた指に中指を加えて……。


「セ・イ・カ・イ♪」



こうして、俺達二人の冒険は始まったのであった。



王道から逸れて始まります。

リアル志向は読んでもらえないと聞きますので、

あまりリアルになりすぎないよう。

出来るだけ面白くなるよう努力します。


読んでくれた方、誠にありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ