ep.8 解き放て! フィオーリの秘められた能力
フィオーリの導きのもと、満が彼女にしたのは
雲雀という三年生の女の子だった。
しかし彼女は演劇の天才とうたわれるほどの有名人だった!
それを知った満は、自分には合わないのではと
自信を無くす。
そんな中、ミミルはなぜ雲雀を彼女にしたのかを
教えると言い出し・・・
「きれいに見えるんだ、ここは」
夜空に浮かぶ満天の星空を、彼―ミミルが眺めながら感嘆の声を上げる。
お風呂やご飯を済ませた僕達は、ようやく寮の部屋へ戻ってきた。
もちろん、恭弥君と虹己君も一緒に。
何が始まるんだろうと思っている恭弥君とは違い、虹己君はすごく不機嫌で……
「あのさ、呼び出しておいて何流暢に星みてるわけ? 気持ち悪いんだけど」
「こ、虹己君!」
「まあそうせかすなって。今回はお前の相手探しも含まれてるんだから、むしろ感謝してほしいくらいだよ」
ミミルの言葉に、何の話? とまた機嫌が悪くなる。
窓際に腰かけていたミミルはよっと立ち上がると、僕達に座ってと床を指さす。
座りながらミミルを見上げると、夜のせいなのかすごく神秘的に見えた。
「お前らも聞いただろ、早乙女雲雀が何者なのか」
「あ~クラスで結構話題になってたよ。超人気先輩に彼氏ができた~って」
「俺もだ。まさかそんなにすごい人だったとはな」
や、やっぱり二人の耳にも入ってるんだ……
先生にも突っ込まれるような人だもん、相当すごいってことだよね……
「そんな彼女の相手が満に決まった。これは偶然なんかじゃなく、運命によって導かれた結果なんだよ」
???? つまりどういうこと?
頭に何個もはてなを浮かべてしまう。
難しいことはいいからとばかりに、虹己君達も訳が分からないというように顔を見合わせた。
「今回は制限時間があるからな。時間短縮のため、俺が相手を限定させてもらった」
「相手を、限定?」
「運命の相手を探したんだよ。それによって満の相手に選ばれたのが、早乙女雲雀だったってこと」
僕の運命の相手が、雲雀先輩……?
信じられないにもほどがある。
でもミミルの目は嘘を言っているようには見えず、まっすぐ僕の目をとらえている。
瑠璃色の瞳に、僕はつい目が離せなくて……
「試しにやってみせてあげよう。相良虹己、ここに座って」
するとミミルは虹己君を呼ぶ。
ミミルに言われ、しぶしぶ彼はベッドの脇に腰かける。
彼が座ったことを確認すると、ミミルはすっと右手を横にかざす。
するとなんということか、彼の手には一瞬でトランプのようなカードが浮かび上がったのだ!
「うえ!? すごい!!! 魔法みたい!」
「ちょっと満君、いちいち驚かないでよ。バカに思われるよ?」
「だって手からカードだよ!? すごくない!?」
「あーはいはい」
僕が興奮しているのに、二人は妙に落ち着いていて僕に呆れているようにも見えた。
そんな僕らに気にもせず、ミミルはカードを横に広げ、パラパラとカードを並び替えていく。
あまりの奇想天外に、開いた口がふさがらなくて……
「今から俺がするのはお前らの世界で言う、占いのようなものだ。性格、星座、誕生日、姓名、人相……ありとあらゆるデータを照合し、分析する。それに見合った相手をカードが導き出すんだよ」
ほえ~~~意外と本格的なんだなあ。
それを簡単に出来てしまうミミルは、もっとすごいんだろうけど……
そんなことを考えている僕とは逆に、ミミルは淡々と物事を進めていく。
わずかに青白く光を放つカードは、何回も何回もめまぐるしく回ってゆく。
そんなカードにミミルは静かに瞳を閉じ、意識を集中させるように手をかざす。
そして次の瞬間、カードが一枚だけ宙に浮き……
「でたよ、運命の相手」
「うえ!? もう出たの!?」
「お前の相手は二年二組、鳳結愛だ」
聞いたことのない名前がでてきて、へえ~と感嘆の声を漏らす。
そりゃあ雲雀先輩しかまだ会ったことないし、知らないのは普通なんだけど。
どんな人なんだろうとのんきに考えている僕に対し、虹己君は顔をしかめさせ
「そんなの、本当に信じていいわけ?」
と不機嫌極まりない声を出した。
「やらないと退学なんでしょ? 信じるも信じないも、あんたの自由。どうするかも自由だ」
「思ったんだが、どうして俺や虹己のためにもよくしてくれるんだ? 満だけが適合者なら、満だけでいい気もするが……」
「それが適合者の望みでもある、ってことだよ」
二人がそうなの? という風に僕を見る。
図星をつかれてしまい、僕はアハハと苦笑いするしかなかった。
「とりあえずこのカードはお前らに預けよう。どちらにせよ、健闘を祈っておくよ」
ミミルに渡された名前が書かれたカードを眺めみながら、僕達はまだ信じられない気持ちで胸を満たされていたー……
(つづく・・・)
皆さん! 今日は満の誕生日ですよ!
おめでとうございまぁぁぁす!
今日は主役は満にもかかわらず、
どちらかというとミミル回ですね笑
ファンタジー、といっていいのか分からないくらい
浅いかもしれませんが
今回の話にどんっと詰まっているので
私的に一推しな場面となっております。
次回は24日更新。
ミミルの導いた相手役とは・・・?