ep.7 可愛いあの娘はゆ○め○○ん
フィオーリと呼ばれる謎の青年・ミミルに導かれるまま、
満は突如現れた雲雀を
「強制恋愛法」の相手に選んでしまう。
これで退学は免れた・・・のか・・・?
さよなら~とたくさんの声が、飛び交う。
みんながみんな、部活などで姿を消していく中僕はというと……
「あ、秋山先生! これ、日誌です!」
学級日誌と書かれた一冊のノートを、先生に渡している最中だった。
高校とはいえ、クラスでの役割分担みたいなのは全く変わっていない。
現に日直業務も、黒板消しだったり挨拶の号令だったり……それぞれだ。
名簿順が早い僕はもちろん最初の方で来てしまうけど、一個前である恭弥君も一緒に担当することが多いから、さほど嫌じゃないんだよね。
「おーサンキュー。ご苦労さん」
「あ、あとついでにお聞きしたいんですけど……このカップル申請書のここには、相手の印鑑を押してもらうんですよね?」
ここなんですけど、と指でさしながらその紙を見せる。
カップル申請書、というのはその名の通り誰と交際しているという証明書みたいなものだ。
これをゴールデンウィーク前までにださなければ退学になるという、たった一枚の紙で運命が決められてしまう。
なんとも皮肉な話だなあ。
一応僕は先日出会って、流れで彼女になることになってしまった雲雀先輩の名を書いた。
その時に先輩の名前の書き方は教えてもらったけれど、どうやら印鑑がいるみたいで……
ちゃんと確認しておけばよかったなあとしみじみ感じながら、先生の返答を待つ。
が、先生はすごぉく顔をしかめて……
「お前、あの早乙女彼女にするとかすげぇな。どんな手使ったんだよ」
とみるからに怪しんでいるような目線を向けた。
「ええ? そんな、僕何もしてませんよお」
「なるべく生徒の恋愛事情にはつっこまないつもりだったが……さすがにつっこむわ。あの早乙女だぞ?」
「そ……そんなにすごいんですか?」
「……お前、知んねーの?」
秋山先生はさぞ呆れたようにため息をつくと、んと自分の後ろの壁を顎で指す。
そこにあったのは部活動の勧誘ポスターのようで、演劇部と堂々と描かれているバックには美しい女性の写真がある。
その女性の顔に、どこか見覚えがあって……
「演劇部の看板女優、早乙女雲雀。百年に一度の逸材と言われるほど、演劇の才能に秀でているらしい」
「ひゃ、百年に一度!? 本当なんですか!?」
「男女問わずすんげー人気で、校則できてから誰がなるかで問題になってたみたいだが……まさかうちのクラスから出るとは……」
そう言うと先生は、印鑑いらねぇからと最後の最後で質問に答え、手をひらひらさせていってしまう。
そんな背中をしばらく眺めた後、改めてその紙に目をうつす。
確かに言われてみれば、雲雀先輩に見えるような気がする。
でもまさか、天才と言われるほどすごい人だなんて思いもしなかった。
そう言えば昨日たくさんの人に追われたり、付き合ってとか言われてたのはそのせい……?
もしかして僕、とんでもない人と付き合っちゃった気が……
「まぁた怖気づいてる。面白い奴だね、赤羽満って奴は」
ふっと声がする。
気が付くと宙に、ミミルが浮いていた。
僕が持っている紙をのぞき込むように隣に着地すると、彼はまたふっと笑って見せた。
「このまますごい先輩と付き合っていいのかなあ~~……なぁんて思ってる?」
「……だって、よく知らなかったから……」
「前も言ったよね。俺に任せておけば、何も問題いらないのっ」
「一つ、聞いていいかな? どうして雲雀先輩なの? あの時ミミルは先輩が来るって分かってたから、僕にあんなことを言ったんだよね?」
本当に、ミミルは不思議な存在だ。
僕達のことや今後の未来のこと、すべて見透かされている気がする。
僕に雲雀先輩の誘いを受けろって言われた時は、なんでだろうとしか思っていなかったけど。
先輩がすごい人だとわかった今、僕なんかでいいのか他の人に悪いんじゃないかとか……色々考えてしまって……
「なるほど、お前の言いたいことは分かった」
するとミミルは妙に真剣な顔を浮かべ、僕に向かって
「今夜寮で教えてあげる。ただし、恭弥と虹己も一緒にな」
と言って見せたー
(つづく・・・)
以前から、過去作品とのつながりについて話していましたが
お気づきの方は、いらっしゃいますでしょうか?
実はですね。この「秋山先生」・・・
『CLUB♪ きっとそれは伝説になる』
に出演していた秋山司その人なのです!!!
何と先生になって登場しました~~!
成長して帰ってきましたよぉ!!
教科は数学かな? という勝手な妄想を
日々繰り広げています
ちょっとした形にはなりますが、
他にもあの作品も出てきますので
楽しみにしていてくださいね♪
次回は20日更新。
ミミルが導いた、相手役の真意とは!?