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ep.4 始まりのPlelude

強制恋愛法に従うため、どうにかしたい満は

四葉に伝わるうわさを調べに図書室へ。


そこで見つけたのは、フィオーリという謎の存在。

勢いで呼び出したのもつかの間、本の中から現れたのは

謎の青年だった!!

「地上に出たのは久しぶりだよ。あんたが俺のご主人さま?」


フードからのぞかせている茶色い髪と、体全体を包む黒いコートが風でなびく。

こちらを見据えているような瑠璃色の瞳は、どこをみているのかつかみどころがない。

ふっと笑うその笑みは、すごくきれいで……って……


「ええええええええええ!? ひひひひひひひとがでてきたぁぁぁぁぁぁ!?」


「だ、だからやめた方がいいって言ったじゃん! なんてもの呼び出しちゃってんの!?」


「本から人が出てくるとは……これは一体……」


「あ、あなた誰ですか!? いつからここに!?」


「自分が呼んだくせにその言い草? 一人だけを選んだみたいだけど、まさか連れがいたとはね……俺は、フィオーリの名を持つ者……っていったら、どうする?」


その人の言うことに、驚きと衝撃でいっぱいになる。

フィオーリって、この本に書いてあった守り神の名前だよね!?

まさか、本当に存在したなんて!

やっぱりこの話、物語なんかじゃなかったんだ! すごい!!


「ほ、本物なんですか!? 本当にフィオーリの人!?」


「ちょ、満君……真に受けるの早すぎでしょ。見るからに怪しいじゃん。この人、俗にいう中二病って奴じゃね?」


「うむ……少し信ぴょう性に欠ける気が……」


「だってさっき本に書いてあったし!!」


僕が興奮しているのにもかかわらず、二人は顔を晴らしてはくれなかった。

この人が嘘をついているようには見えないのに……そんなことを思っていた時、彼はふっと笑って……


「へぇ。あんたは、俺の話信じるんだ? 普通の人は、そこの二人みたく嘘だの胡散臭いだの言うのに」


「だって! この本、妙にリアルっていうか物語には見えないっていうか!」


「わかった、わかった。あんた、面白いくらい純粋だね」


また、笑った。

そのきれいすぎる微笑みと動作に、思わず見とれて……


「その本を読んだんなら、わかるよね。フィオーリは、望みをかなえるために作られた組織のようなもの……本来その本を見つけられたのも、読めるのも限られた人のみなわけ。つまり、あんたは願いを叶えることが出来る人に選ばれたって寸法」


なんだか、雲をつかむような話だなと思ってしまう。

僕はただやってみた、ってだけなのに。

本当にいたらいいなとは思ったけど、まさかこんな形で実現するとは思ってなかったな。

願い、か……


「というわけなんで、願い事をどうぞ? ご主人さま」


何か見透かされているような、そんな笑みを浮かべる。

彼の存在すら疑っている虹己君と、恭弥君とつい目を合わせてしまう。

僕に任せるとばかりに、二人はうんとうなずいてくれて……


「僕……ここに入学してきたばかりの、新入生なんですけど……生徒会長から、強制恋愛法が発足されたって聞いて……」


「……ふうん。それで?」


「僕も友達も、すごく困ってるんです。そういうことに全然縁がなくって、どうすればいいかもわかんなくて……」


「つまり女と付き合って、退学を免れたいってこと?」


そ、そういうことになっちゃうのかな……?

すると青年ははぁっとため息をつき……


「……それだけ?」


「ほえ????」


「それだけのために、わざわざ俺を呼んだわけ? たかが学校生活を送りたいために?」


何だか怒っているような気がするのは、僕の気のせいなのだろうか。

それだけ、というあたり彼は違うのを期待でもしたのかな?

すると彼は僕達に聞こえるような、大きな舌打ちをして……


「生ぬるい」


といって……


「そんなんで満足していいの? 三年しかない高校生活、リア充で満喫したいとは思わない?」


「ええっと、おっしゃっている意味が分からないのですが……」


「だ~か~ら、嘘で付き合ったってばれたらそこでおじゃんでしょ? どうせなら、ちゃんとしたカップルを目指そうよ。あんたら三人に、恋愛というものを教えてあげよう」


なにか、嫌な予感がする。

そう思っているのは虹己君も一緒のようで、僕の耳を思いっきり引っ張ってみせた。


「ちょっと満君! どーしてくれんの! 君が余計なことするから、オレまで変なのに巻き込またじゃん!」


「だって困っていたのは事実だし! そんなに引っ張らないでよ、虹己君!」


「満の言う通りだ。ここは、彼に任せよう」


恭弥君が制してくれたおかげもあったのか、虹己君は納得していないながらもようやく引っ張るのをやめる。

痛い耳をさすりながら、僕は彼の方を向く。

すると青年は、思い出したように僕たち三人に話し出した。


「あ、それと一つだけ。俺に名前を付けてほしい」


「名前?」


「俺には名前がないんだ。願いを叶える契約のかわりに、名前を付けてほしい」


「そんなので契約しちゃっていいんですか?」


「もちろん」


つくづく変わった人だと、そう思った。

本当に願いを叶える気なのか、僕達の答えを待っているかのように微笑んでいる。

名前、かあ。ペットも飼ったことないし、いきなり付けろって言われても……


「んじゃポチで」


「虹己君、それは動物につけるものじゃない?」


「では太郎はどうだ? 日本の代表的名前だと思うが」


「うーん、それもなんか違うような……」


「だったら満君がつければ?」


言われることは分かっていた。

けどポチとか太郎とか、いかにも似合わなそうな名前だったからつい否定しちゃったけど。

この人にあう名前……名前……


「あ……じゃあ、カタカナ三文字でミミルってどうかな?」


「みみる?」


「うん。小さい頃、親に読んでもらった外国の絵本の中に、ミミルっていうキャラがいたから、あいそうだなって思って。あと僕満って名前だから、一文字違いっていうのもあったり……なかったり……」


なんともとってつけたような話だなと、我ながら思う。

ミミルというキャラの作品が何て言う題名で、どんな話だったかは全く覚えていない。

それでもその名前がミミルということだけは、鮮明に残っていた。

僕と似ていたっていうのも、あるからかな? 妙に親近感がわいたっていうか……


「ミミル、か……その名前。ありがたく使わせてもらうよ。今日からフィオーリが、あんたらの願いをかなえてあげよう。物語の一ページを、今ここに!!!!」


その途端、窓から突風が吹く。

風と同時に、一匹だった蝶が周囲から一匹、二匹と大量にたくさん羽ばたいていく。

まるで蛹だったものが、羽化していくかのようにー


フィオーリの青年、ミミル。

彼との出会いが僕の人生を、そしてこの学校を変えていくことになるとはこの時は思いもしなかったのですー


(つづく!!!)

ここにきて初登場! 

フィオーリの青年、その名もミミルです。

なぜ彼の名前を私の作者名であるミミルにしたのか、

それはおいおい語らせていただきます。


ミミルと、そして三人の恋の行方はどうなるのか

これから始まる恋愛劇にご注目くださいませ。


次回は8日更新!

ミミルによるリア充計画が始まる!?


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