ep.35 悪い出来事って大体、重なること多いYone
文化祭も終わり、
晴れてリア充になった2組のカップル。
そんなある日、恭弥から
春夜が浮気しているかもと聞かされる。
嘘かまことか。真実を確かめに、
2年生の教室へと向かうことにー
「お、いたいた。……って結愛一人か。まあいいや、その方が手っ取り早いし」
虹己君が二年生の教室を、覗き込みながら言う。
彼の後に続いて見てみると、自分の席で鳳先輩がお弁当を食べているのが目に入った。
ミミルに言われた通り、僕達三人は春夜先輩がいるという二年生教室へと向かった。
でもそこにいるはずの春夜先輩は、姿さえ見られない。
おかしいな、ミミルの話だとご飯を一緒に食べてるはずなのに……
そんなことを気にもしないように、後は頼んだよとばかりに虹己君が2年生の教室へ入っていく。
そしてなんの躊躇なく普通に話しかけ、彼女の顔から笑顔もみられた。
なんだか、感慨深いなぁ。
ひと昔じゃ普通に会話をすることすらなかったのに。
虹己君、本当に鳳先輩と付き合ったんだなぁ。自分のことように嬉しくなっちゃうよ。
色々一人で考えている中、会話を楽しくやっていたと思っていた虹己君が戻ってくる。
心なしか、さっきとはうってかわって怒っているようで……
「ど、どうしたの、虹己君」
「どーもこーも……あの先輩、今日は用事があるとかで、一人でご飯を食べてたんだって。どーなってんの? 話が違うんだけど」
そんなことが、あっていいだろうか。
今までミミルの言葉が、外れたことはなかったのに。
春夜先輩、どこ行っちゃったんだろう。このままじゃ、恭弥君が……
「鷹匠春夜なら、4組の河野圭とともにどこかへ行くのを見ましたよ」
そんな時、だった。
ふいに声が聞こえて、ぱっと後ろを振り向く。
そこにいたのは初めて見る、二年生の先輩だった。
黒髪のセミロングヘアに、僕とあまり変わらない背丈、制服をしっかり綺麗に着こなしていてー……
「は、春夜先輩のこと、知ってるんですか? え、えーっと……」
「はい、クラスメイトですので。申し遅れました、私は速水つばめと申します」
礼儀正しく、ぺこりとお辞儀をする。
僕らを見ているはずの瞳は見つめる限り真っ黒で、こちらからは何の感情も感じ取れなくてー
「結愛でも行き先を知らなかったのに……なんであんたが知ってんの」
「午後12時5分13秒。授業終了後、鳳結愛に別れを告げ、教室を出た直後に河野圭と接触。二人で食堂へ直行。以上があなた達の知り得たい情報です。それでは失礼します」
な、なんでそんな細かい時間まで……
そんな僕の質問を聞く気もないというように、彼女はスタスタと教室へ戻っていく。
不思議な人だ。
初めて会ったはずなのに、僕達のことを全部見すかされいるようは気がする。
まるで、何も言わなくても通じ合えるミミルのような……
「なんだあいつ、うさんくせぇ……つか河野って誰?」
「………き、聞いたことないけど……とりあえず食堂に行ってみる?」
「いや、いい。鳳先輩にも言っていない、俺も知らない相手との二人、ということは……答えは、一つしかないだろう」
ますます彼の元気がなくなっている気がする。
きっとそれは、目撃情報を耳にしてしまったからだろう。
それでも僕は僅かな可能性に頼るように、彼の前に立ち、必死に訴えた。
「な、ならさ! ミミルに頼んで、教えてもらおうよ! 春夜先輩の考えてること! きっと、浮気じゃないってわか……!」
「……満、虹己。力になってくれて、ありがとう。あとは俺でなんとかするから、しばらく一人にしてくれないか?」
そう言う恭弥君は今まで以上に弱々しくて、放っておけなくて。
何も力になれない僕は、心が苦しくてしょうがなかった。
「……満、恭弥のことは俺に任せて早くここを離れた方がいい。どうも調子が出ないのは……小谷とかいう奴がいるクラスだからか……?」
顔を顰め、怪しむようなミミルの言葉に耳も貸さずにー
(つづく……)
そういえば、もう10月も半ばですね。
早いもので今年の終わりが見えてまいりました。
令和になって、初の作品でもある今作ですが
個人的にはまだここかよって感じです。
結構昔に書いた作品なので、
最近になってやっと全部読んだんですが
こんな内容だったっけ…? とペースを上げてから
いそいそと内容を変えてはヒイヒイ言ってる
そんな作者であります。
あ、ちなみにですが、今回少ーし出てきた彼女は、
またおいおいでてくるので
覚えてていただければ嬉しいです!
次回は18日更新!
浮気説が徐々に本格化…?




