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ep.34 リア充が全てじゃないってことを、ここで教えてやるよっ!

過去から逃げてきた自分と重ね、

結愛を追う虹己。


似たもの同士の二人は思いを交わし、

ついに身を結ぶー



十一月です。

楽しかった文化祭も、すっかり終わってみんなどこか放心状態。

近々行われる期末テストモードに先生達も切りかわり、現実に戻ってこいとばかりに追い込まれてきています。


もちろん僕、赤羽満は今日も今日とて普通の日常を過ごそうと思っていたんだけど……


「え~~~~~! 先輩と付き合うことになったの!?」


なんと、嬉しい情報が飛び込んできたのです!


「ちょっと声大きすぎ。いちいちおおげさなんだよ、君は」


「だってすごいよ! あんなに近づけなかったのに! 虹己君何したの!?」


「何もしてない。あの人が成長したってだけ」


情報の提供主であるのは、友達である相良虹己君。

文化祭の後、なんと鳳先輩とお付き合いできることになったらしい。

とはいえ、男性恐怖症が完璧に治ったわけではないみたいだけど。

それでもあんなに距離があった二人が実を結ぶなんて、僕としては嬉しい限りで……


「でも本当すごいよ! おめでとう!! お祝いしなくっちゃ!」


「だからおおげさだってば。そろそろキレるよ?」


「ごめんって~これでいつでもWデート行けるね! なんならトリプルデートも夢じゃないのかな!?」


「またそうやってすぐ調子に……そういえば恭弥君、来んの遅くない?」


虹己君の言葉のおかげで、ようやくそのことに気付く。

いつもはここにいるはずの一人……友達である恭弥君がいないことに。

確か今日は日直で、先生に頼まれた資料を取りに行くって朝早くに寮を出て……


「言われてみれば……恭弥君、遅いね」


「満君、今オレに言われて気付いたでしょ」


「うええ!? そ、そんなことないよ!?」


「あーあー、恭弥君に言いつけてやろっかなあ~」


「や、やめてよぉ~悪気はなかったんだからぁ」


相変わらずの彼と言い合っていた、そんな時だった。

がらがらと教室のドアが開く。

開けた人物の姿を見てあっと笑顔になるも、一瞬でその笑みが崩れてしまう。

そこにいたのは恭弥君には間違いない。はずなのに、彼はなんだか様子がおかしくて……


「きょ、恭弥、君?」


「うっわ、何そのいかにも何かありましたっていう顔。どーしたんだよ」


「……満……虹己……俺は……春夜に浮気されているかもしれない……」


「「……へ???」」


文化祭が終わってまだ数日。

僕たち三人にまた、次の試練が待ち受けていたー



その日から、恭弥君は変わった。

それはもう他人から見ても、わかるくらいに。


何も言われなくても率先して先生の手伝いに行っていたのに、先生に言われるまで気づかなかったり。

板書を指名されても、間違えたところを書いては違う人に指名しなおされたり。

本当、どうしたのと声をかける人が多くて……


「あーのーさー、授業中もそんなんじゃいい迷惑なんだけどー。恭弥君のせいでオレが先生に怒られたじゃん」


昼休みになるとかわりに指名された一人でもある虹己君が、いち早く文句を口にする。

虹己君が先生に怒られたのは、言うまでもなくうたた寝していたからなんだけど……それを僕が言う権利もなく。

彼に嫌み交じりに言われても、恭弥君からは「悪い」の一言で突き返されてしまった。


「恭弥君、朝から元気ないよね? 春夜先輩と喧嘩でもしたの?」

「……」


「そういや浮気がどうって言ってたけど……あんたらすげーリア充なのに、そんなことあんの?」


僕や虹己君が聞いても、彼は何も答えてくれない。

むしろ、もっと元気がなくなっていくように見えた。

これはどうすればいいんだろう……必死に考え込んでいた、その時―


「お困りのようですねぇ~~~お三方」


声が聞こえた。

恭弥君を囲んでいた真ん中に、彼は突如姿を現す。

無論、ミミルだ。


「へ~~~あの女のことになるとここまで変わるんだね~恭弥って。人間、やっぱ面白い奴ばっかりだな」


「ミミル、何があったか知ってるの?」


「まあ大体? こいつの彼女が別の男と一緒にいたってことくらいだけど」


ミミルの言葉に、思わずへ?? という声が漏れる。

その通りと言わんばかりに、恭弥君がこくんとうなずく。

春夜先輩が、知らない人と一緒に?

それは友達とか、部活の知り合いとかではなくってことなのかな?

それにしても……


「……え、まさかそれで? それでそこまで落ち込んでんの? どんだけあの人好きなわけ、君」


虹己君がずばずば言ってしまうものだから、ついひやひやしてしまう。

確かに僕も少しそう思ってしまった部分もある。

浮気してるか否かは多分、聞けばすぐ解決する。


なのにこんなに落ち込んでいるということは、彼女に確認もしていなさそうだし、本当だって思っているってこと。

それよりなにより、恭弥君がここまで彼女のことになると別人のようになることに驚きで……


「結愛も言ってたけど、あの人先輩後輩構わず話せるようなお気楽系なんでしょ? 別に誰といても不自然ではないと思うけど」


「た、確かに春夜先輩ならあり得るかも……ていうか虹己君、鳳先輩のこと呼び捨てで呼んでるの!?」


「満君、今それどころじゃないから」


「それはそう、なのだが……ここのところメールも返してくれなくてな……文化祭でもクラスには来てくれたが、一緒に回る前に帰ってしまった」


へえ~クラスが忙しかった、とかかな?

って言ったところで、今の恭弥君には通じなさそうにみえる。

このままだと、今度のテストとかにも影響しそうだし……


「ったく、しゃーねー。ミミル、あの人の場所わかる?」


「鳳結愛と教室でご飯食べてるね~」


「なら、オレが結愛に話すことがあるって設定で連れ出すから。その間に、満君は恭弥君と一緒に事情聴取をあの人からすること。いい?」


「ええ? 虹己君、そんなこと頼んじゃっていいの?」


「この恭弥君と一緒よりはまし」


そう言うが否や、彼は行くよと足早に教室を出る。

持つべきものは友達だなあとつくづく思いながら、僕も同じように立ち上がり


「行こう、恭弥君」


と彼に手を差し伸べる。

握り返してくれたその手は、いつもより弱々しく感じた。


(つづく!!)

ついに待ちに待った恭弥君回です

もともと付き合っているという設定のせいか、

なかなかに取り上げられることもなく

ただただリア充を見せ付けている。

そんなことがあっていいものか!!

…と我ながらつっこみながらいつも書いてます


他の二人が二人だからか、

若干恭弥君には厳しくしたいんですよね。

わかる人います? あ、いないか。


次回からの更新について、改めてお知らせです

Twitterにてご存知かとは思いますが、

週2ペースの更新にさせていただきます!

というわけで次回は15日を予定してます

順調だった二人はどうなってしまうのか!

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