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ep.3 よつばこうこうものがたり

入学早々、強制恋愛法の発足され

危機感を覚える満。


そんな中、恭弥が四葉高校に伝わる

噂のようなものがあるという。

信ぴょう性のない話に、

何かないかと満は図書室に向かうが…

様々な部活を行っている音が、そこら中から聞こえてくる。

テニスボールをラケットで打つ音。

サッカーボールを蹴っている音。

吹奏楽部が楽器を奏でる音―


そんな中、僕は一人図書室へ向かっていた。

放課後のせいか、そこへ向かおうとする人は一人としていない。

着いたはいいけど、室内は真っ暗のように見えた。


「し、失礼しまあす」


恐る恐るドアを開きながら、部屋の中へと入ってゆく。

生徒はおろか、先生の姿さえも見えなかった。

誰もいない静けさが少し怖くなって、入るのを躊躇してしまいそうになる。

やはり帰ってしまおうか……そんなことを思っていたそんな時―


「み~~~~つ~~~る~~~君」


「ぎゃあああああああああ! すみません、ごめんなさい、もうしませぇぇぇん!」


「へへっ、まんまと引っかかってやんの。オレだよ、オーレ」


見回りの先生にでも見つかったのかと思い、恐る恐る顔を上げる。

そこにいたのは、さっきまで一緒にいた虹己君だけでなく、恭弥君の姿があって……


「あ、あれ? 二人ともどうして……」


「本当にあったら見てみたいって恭弥君が言うから、仕方なくついてきてあげたんだよ」


「そ、そうなの?」


「それもあるんだが……虹己が心配そうにそわそわしてたから」


「してねぇよ!!」


こういう時、二人が友達で本当によかったなって思う。

一人じゃ心細かったし、三人いればすぐに見つかるもんね。

気を取り直して、僕等は手分けして図書室をくまなく探し出す。


「で、本当にあるの? その言い伝えとやらは」


「確信はない。が、調べてみる価値はあるんじゃないか?」


「誰が言っているのが本当なのかな? 先生とかにも聞いてみる?」


「こんな話、大人が信じるわけないでしょ」


一冊、また一冊とかきわけたり中をめくったりしても、めぼしいものは見つからない。

二人も同じようで、困ったように顔を曇らせている。

それでも僕はあることだけを信じて、どんどん奥の方へ進んでいた時―


「あれ? なんか光ってる……?」


図書室の奥の方にある書庫の一点だけ―青白い光が見えた。

入ってその本を手に取ると、何事もなかったかのようにその本の光は消えてしまった。


「……えっと……四葉高校物語……?」


「うわ、何その本ふっる。しかもほこりだらけじゃん」


「すごく気になるタイトルだな」


僕の声に気付いたのか、二人も何事かと後ろからついてくる。

それはお世辞にもきれいな本とは言えないほど、年季が立った本で表紙もほこりだらけ、人の手入れが行き届いていないのか文字も少しかすれていて……

僕は本の中身を一枚、また一枚とめくっていく。

しかしそこには、真っ白なページばかりで何も書いていない。


「んだよこれ、本じゃねぇし」


「満、こんな本をどこから……」


二人が疑問と不安の声を発するのを聞きながら、僕は何か書いていないかとあきらめずにページをめくっていく。

そんな時、また青く発光した気がしてー


「四葉高校、かつてここは無名の廃れた学校だった。

 生徒数の過疎化、自然の荒廃……ありとあらゆる面で問題だった学校は、もう助かるすべはないと言われていた。廃校にする……政府からも、建造物の案を出されたらしい。一人の生徒は学校を守るため、ありとあらゆる手を尽くした。

そんな彼らの前に現れたのがこの学校の救世主……

"フィオーリ"と呼ばれるものだった。

 フィオーリは願いをなんでも願いを叶えてくれるという、極めて不思議な存在。

 彼らはこの地に恵みをもたらし、救ってくれた。

そんな彼らに感謝を込めて。この場所に、四葉の名を刻もう。このことを後世の者に伝えるために…」


今まで何もなかったページに、嘘のように物語が浮かんでいる。

そう見えるのは僕だけなのか、ギョッとした様子で虹己君が声を上げた。


「み、満君読めるの!!?」


「全部じゃない、けど……」


「満にだけ内容が読めるなんて……なんて奇妙な……」


二人が、半信半疑に本を見つめている。

僕は僕で、なぜ読めたのかよりもその内容が気になっていた。


この本のタイトルは、四葉高校物語、となっていた。

物語、というにはなんとも現実的なような気がする。

過疎化だったり荒廃だったり、いずれも日本が抱える問題だし、まるで実話を描いているかのよう……

フィオーリ。それが、噂になっていた発端なのかな?

この本は一体……


「あ、なにかはさんである……紙きれ?」


本の中から、ノートの切れ端を破ったような紙切れがポトリと落ちる。

それを拾い上げ、僕は目をぱちぱちさせる。

そこには何かを呼び出すような呪文か何かのような言葉が書いてあって……


「……試してみようかな、一度だけ」


ぽつりと言った言葉に、虹己君がすかさず横槍を刺してきた。


「いやいやいや、あからさまに怪しいでしょこれ! いたずらかもしんないよ?」


「で、でもやってみないことにはわからないし……」


「わけわかんないの呼び出して、何かあったらどうするわけ?」


「虹己、今は満を信じよう。確かに怪しい気もするが、俺達が読めない本を満は読めた……そのことに、意味がある気がするんだ」


恭弥君の言葉に、半信半疑ながらも虹己君は仕方なく承諾する。

馬鹿みたいだって、自分でもわかっている。

それでもこの話が物語じゃなく本当の話だったとしたら、僕はフィオーリに会ってみたい。

だからーー……


「フィオーリ、四葉の守り神よ。我の声が聞こえるのなら、汝の姿を現したまえ……」


そのメモに書いてある通りに、読み上げる。

とはいってもやはり本は本。実際に起こるわけがない。

やっぱり誰かのいたずらかーそう思っていた、その時―!


「へぇ、読めたんだ。その本」


誰もいなかった部屋に、声が響く。

ぱっとふりむくと、宙には青い蝶がひらひら飛んでいた。

とてもきれいで、見惚れてしまいそうなー


「地上に出たのは久しぶりだよ。あんたが俺のご主人さま?」


この出会いは偶然か、必然か。

三人きりだった図書室に現れたのは、名も知らない美青年だったー……


(つづく!!!)

どうやら今日は四葉の日、らしいです。

語呂合わせなんでしょうが、そんな日に

この話を投稿できるのは運命に感じます。


今回でようやくタイトル回収したので

ちょっと安心しています。

ここからファンタジー感がぐいぐい来る…予定です


果たしてファンタジーといっていいのかどうか…

正直ドキドキしてます…


次回は5月3日更新。

現れた謎の青年。その正体は!?

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