ep.27 満、退学するってよ。
二学期が始まり、雲雀と本格的に付き合うことになった。
が、それを聞きつけた謎の美少女・智恵から
雲雀から離れるように言われてしまう。
幸せだったのもつかの間、
満は校則である「彼女」を失い、
どん底へ突き落されてしまう・・・
「ん~……まあこうなった生徒はちらほらいる。波長が合わなかった~とかでな。退学したくなきゃ同士見つけることだが……残りの日数、何も考えず気楽に過ごすのも手だろうな。詳しい事情は聞かねぇが……ま、頑張れ」
秋山先生が、背中をポンと押してくれる。
帰っていいぞと言われ、おずおずと職員室を後にした。
赤羽満、十六歳。高校一年生の二学期初っ端。
まさかまさかの退学危機に追い込まれております。
どうしてこんなことになってしまったのか、自分でもよく分かっていない。
今わかっているのは、僕は「校則に従えていない生徒」になったということだ。
突如現れた鷲宮智恵という先輩は、本気で僕が邪魔ならしい。
気が付いた時には、先生から雲雀先輩の彼女で申請したのがいるとの報告を受けていた。
あの日からまだ、一日しかたっていないというのに行動が早すぎて僕なんかじゃどうしようもなくって。
雲雀先輩が校内の人気者、ということは知っている。
演劇の才能もあってか、ファンクラブが存在するのも聞いていた。
だからこそ僕なんかでいいのか、このままお咎めなしに付き合ったままでいいのかななんて不安に思ってはいたけど……
「随分早かったね」
職員室から出ると、虹己君と恭弥君が待ってくれていた。
二人は僕の顔色をうかがいながらも、優しい声色で口を開く。
「で、先生なんだって?」
「同じような人を見つけるのも手だけど、残りの日数を気楽に過ごしてもいい……って」
「まるで退学を受け入れろって言い方だね」
「無理もないだろう。この時期になって別れた人はたくさんいるが……あまり報われていないように見えるからな」
強制恋愛法。この法則がある限り、相手がいなくなった僕は退学になってしまう。
猶予は二週間。
その期間中同じような相手を探してもいいけど、残りの期間を何も考えずに楽しんでもいいそう。
先生がそう言うのも、夏休みの間に別れた人も少なからずいるようで掲示板などに、彼女・彼氏がいなくなってしまった人たちが相手を見つけるため何かしらやろうとしている人もいるからだ。
とはいえ、だ。
時期はもう二学期、みんな相手が決まっていたりする中で退学になってもいいや、こんな校則がある学校はもう嫌だ、という人の方が多いらしい。
崖っぷちというのはまさに、このことだろうなあ。
「ほんっと大変だね、君って。話があるって来た時から怪しいとは思ってたけど……ミミルがついていながら、何やってんだか」
「僕にだってよくわかんないよぉ……あの人が急に……」
「人気な先輩だから、よく思わない人もいると春夜から聞いていたが……まさかこの時期になるとはな。さて、どうするべきか……」
このまま雲雀先輩ではなく、他の人とカレカノになってもいいとは思う。
そしたら退学はいとも簡単に免れることが出来る。もっとも、そんなに簡単に見つかるとは思っていないけど。
でも、それでいいの?
本当に大好きな人が、ここにいるって分かっているのに……
付き合おうって言ったばかりなのに……
「赤羽満」
声が、聞こえる。
上を見上げるといつの間にか、ミミルがいた。
いつもより真剣な、まっすぐな瞳。
僕の心の奥を、見透かしているような……
「このまま、諦めるつもり?」
諦める。
その言葉を聞くと、自分がしていることが本当にあっているのか分からなくなる。
諦めるなんて男として、そんなのかっこ悪い。
それに僕はまだ、雲雀先輩とちゃんと話せていないじゃないか。
だからー!
「……諦めない。僕は、雲雀先輩の本当の彼氏になりたい!」
あの笑顔を守りたいから。
ずっとそばで見ていたいから。
この学校にずっとい続けるためにも!
「上等。俺はフィオーリだ。あんたの願い、かなえてやるよ」
そう言って笑うミミルの笑みはいつにもまして頼もしくて、カッコよくて。
そうして僕達の戦いは、幕を開けたのです!
(つづく!!)
あらすじや物語では本格的に彼女になった、
とありますが実質何にも始まっていないですね。
そこをついてなのか、智恵ちゃんの強襲。
このまま負けたら男が廃る!
ということで立ち上がる四人ですが
そもそも雲雀ちゃんがどうなのか、
ここがカギとなってきそうです・・・
次回は30日更新。
強敵に立ち向かいます!




