ep.17 主人公が特別扱いされる時代は、もうやってこない(' ')
演劇部のピンチを代役という形で満が救う。
そのさなか、演じる雲雀に恋に落ちてしまう。
フィオーリの策略が、徐々に動き出し・・・?
「よーし、テスト返すぞー。順番に返してくから、模範解答と照らし合わせて疑問があったら言うようにな~。んじゃ藍沢からとりにこーい」
ざわざわと、教室がどよめきだす。
模範解答と必死ににらめっこしながら、あいまいな記憶を手繰り寄せる。
恭弥君が席に戻ってくるとすぐ、先生が僕を呼んでー
「赤羽~」
「は、はい!」
慌てて立ち上がり、先生からテストを受け取る際にこの一言。
「いいこと教えてやろうか、赤羽。お前の点数、今回の平均点」
といいながら、もっと頑張れと付け足されてしまった。
そこには67という、喜んでいいのかがっかりした方がいいのか……そんな葛藤が生まれそうな、微妙すぎる点数だった。
赤羽満、四葉高校一年生。
嵐のように過ぎ去った一学期ももうすぐ終わりを迎える前、学期末テストが行われた。
地味で目立たなくて、普通すぎる僕のテストの点数は、なぜかいつも平均点と同じです。
ここまで一緒だと、もはや運命すら感じてしまう僕は一体……
「満、どうだったんだ?」
「あはは……相変わらずの平均点だったよ……恭弥君は?」
「80点。やっぱり高校ともなると、難しいものだな」
僕なんかより頭がいい恭弥君は、こうみえて優等生と言われるほどまで成績が良くない。
僕的には80点も取れる方が、すごいなあって思うんだけど。
そんな彼より、もっと心配なのが……
「虹己、お前はどうだったんだ? 平均超えられたか?」
「……それはオレに対する嫌みか何か?」
「どうしたの? 結構悪……あっ……」
彼の席の近くに行き、テストの点数を見てその反応に納得がいく。
そこに書いてあったのは38という、赤点も同然の数字が書かれていた。
なんて言葉をかけようかと選んでいると、虹己君は点数のところを二回くらい折り曲げて……
「……同情してるみたいだけど。いつも平均ばっかな満君と、たいして点数とれない恭弥君も人に言えないから」
といいながら、べーと舌を出して見せた。
高校生になっても彼の成績の悪さは健在のようで、本人も勘弁してほしいという表情を浮かべている。
こういうところは変わらないなあと思いつつも、僕は彼に苦笑いをしてみせた。
「平均以下は後日追試な~同じ問題は出さねえから、そのつもりで~訂正は月曜まで。んじゃ今から自習~」
けだるげにそういうと、先生はいち早く教室を出る。
何人かの子が、答えの訂正をしに追っかけていくのを見ながら虹己君は机に突っ伏し、
「くそ~~~~~また追試かよ~~~」
と愚痴をこぼした。
「た、大変だね……虹己君」
「……言っとくけど、君も入ってるからね? 満君」
思わぬ変化球が来て「ほへ?」と、声が出る。
虹己君は説明するのもめんどくさいのか、代わりに恭弥君が優しく説明してくれた。
「秋山先生は平均以下、と言っていた。以下というのはその数字も入るんだ。つまり平均点を取っている満も……」
「えええ!? 僕も追試!?!」
「一人じゃないだけよかったわ~~さすが平均常習犯の満君♪」
うう……高校生って結構厳しい……
それがあの先生だけなのかどうなのかは、まだ全然返って来てないからわからないけど……
「だがみたところ満も虹己も、解き方は抑えられてる。ポイントさえ分かれば追試も大丈夫だ」
「簡単に言ってるけど、その保証はどこから来るわけ?」
「まあまあ……僕達より恭弥君の方が頭いいのは事実だし……」
「とりあえず今日の放課後を使って……」
すると恭弥君の携帯が、急に鳴り響く。
彼はすまんといいながら、少し隠しながら中身を見た。
「春夜からだ」
「えっ、先輩から??」
「あっち授業中でしょ……なんで二人して携帯使ってんの。で? なんて?」
「追試になったから、ご指導ご鞭撻お願いしま~~すだと」
「人気者だね、恭弥君」
呆れているような、感心しているような声を虹己君はあげる。
春夜先輩というと恭弥君の彼女で、一年上の先輩だ。
付き合っているから頼んできてるんだろうけど、二年生の問題なのに恭弥君分かるのかな?
「とりあえず、教室で放課後やろう。二人も、部活には一言言っておくんだぞ」
そんな僕の心配なんて知らないとでもいうように、恭弥君は淡々と話を進めてゆく。
なすすべもない僕らは、恭弥君にお願いしますと浅く頭を下げたのだった。
(つづく!!!)
何日かに分けてプロフィールを更新させていただきました。
その際にこの話にかかわる
「成績」についても触れています。
若干ネタバレしちゃったかな? とは思いますが
まあ、たかが成績ですし・・・いいですよ、ね?
次回は3日更新!
みんなで勉強します!