ep.1 ピッカピカの一年生
『今日は全国的に晴れ間が多く見られます。絶好のお花見日和となるでしょう。では今日の占いです』
「満く~ん、占い始まるよ~~」
「ええ!? もう!!? 待って、今行く!!」
まだ結べていないネクタイを片手に、ドタバタと部屋の中をかける。
歯ブラシを口に銜えながら、彼がはいと携帯を傾けてくれた。
『一位はおうし座のあなた! 何もかもうまくいきそうな一日! 新たな恋の予感があるかも! ラッキーアイテムは、古本!』
「やったぁ、一位だ! なんかいいことありそうかも!」
ハンカチを入れているタンスから黄色を取り出し、よしといいながらポケットに入れた。
僕―赤羽満は、五月二十日生まれのおうし座。
昨日から無事に、花の高校生デビューしました!
と言っても高校生になった自覚はほぼ皆無で、初日から中学生に間違われるという何とも恥ずかしい……
で、でも高校生といえば大人になる第一歩!
今年からは子供っぽく見られないように、まずは見た目からちゃんとしなきゃ!
よぉし、まずは制服を……
「あ、あれ?? ネクタイってどう結ぶんだっけ??」
「え~満君、ネクタイもろくに結べないのぉ~?」
「だっ、だって昨日はお母さんにしてもらって……」
「それくらい自分でしないとよ~? 大人の一歩を踏み出したいんでしょ~?」
意地悪そうにへへんと笑っているのは、僕の友達の一人、相良虹己君だ。
こんな風に僕や人を、よくからかってくる。
まるでいたずらっ子みたいだけど、僕が困っていると助言してくれたり教えてくれたり……優しい一面もあるんだ。
「俺が教えてやろうか、満。結ぶから、こっちに来い」
洗面所から出てきたもう一人が、手に持っていた眼鏡をかけながら言う。
彼も僕の友達の一人、藍沢恭弥君。
僕とも虹己君とも違う、何もかも冷静に物事をとらえるクール系男子だ。
こんなにメガネが似合う人なんて、いないんじゃないかなってくらい様になっている。
そんな二人と何故朝なのに一緒にいるのか、理由は一つ。
それは実家暮らしを禁じ、全寮制の寮生活を強制するという校則があるためだ。
だから僕達生徒は、実家ではなく学校と隣り合わせの寮で生活している。
全校生徒が使用する分、設備は整っていて、大浴場や食事をする場所、くつろげるロビーなどもある。
基本部屋は友達や、同じ中学校の人と一緒で……そのおかげで虹己君とも恭弥君とも同室だ。
それだけで、すごく安心しちゃうんだよね。
「これでよし……と。いいぞ、満」
「ありがとう、恭弥君」
「んじゃ満君も準備終わったことだし、行くとしますかねー。気は乗らないけど」
「大丈夫、きっとなんとかなるよ!!」
そういいながら、自分の片手をぐっと握りしめる。
決意を新たにしながら、僕は二人とともに歩き出した。
(つづく!!!)
ついに始まりました!
今回の新作は、ファンタジー要素を織り込んだ
恋愛物語です!
とはいうものの、まだ一話だし、
とりあえず今回の主役達はこちら!
…的な内容になっているので
色々わからないことだらけでしょうが
待つのも大事です。笑
物語の進行にそって、あらすじをかえたり、
色々語っていこうと思います!
こんな大変な時に、だからこそ
たくさんの方々に読んでいただけるよう、
これからもよろしくお願いします!
次回は26日に更新します!