女子会2
少しして、キュッカが遊びに来た。姉のところにフランクが来てくれたように、犬獣人の同級生代表として様子を見にきてくれたのだろう。
大人は大人たちで話をしているので、リル達子供は子供部屋で過ごす事になった。
キュッカが興味を示したので、ジェマも一緒に喋る事になった。
そして、犬獣人と猫獣人が混じっているので、クレオパスのお父さんがこの部屋の中では誰でも言葉が通じる『魔術』をかけてくれた。クレオパスの先生だからか彼より凄い事が出来るのだろう。
ジェマの彼氏のアーロンは一旦ホテルに帰るそうだ。後で迎えに来るという。
部屋で、今までの話を聞いたキュッカは当然絶句していた。そりゃそうだ。人攫いなんていうとんでもない事がこの土地で起きているなんて思ってもいなかったのだろう。
ジェマが気をつかって、殺されそうになった云々は省いて話していたのだが。やはりショックな出来事のようだ。
「酷すぎる! そこにいたら吠えて追っ払ってやりたかったなぁ……」
「猫の学校の側だったから無理よ。それに大勢いたし、逆にキュッカちゃんが危険になっちゃうわ」
「そっかぁ……。でも本当に二人が無事でよかったよ。おじいさんたちも」
『おじいさん』と言われてもやはりリルにはピンとこない。今までほぼ関わって来なかったのだ。
「そうね。……もう、おじいちゃん、おばあちゃん、って呼べるのよね」
でも、姉は猫獣人の街でシモン達を見かけたりしているのだろう。感慨深い感じの声でぽつりと呟いている。
「そういえば、犬の街と猫の街の仲も少しよくなるみたいだよね。さっきの話だと」
「うん。アマーリャ……おばあ……ちゃんが、う、動くみたいな事言ってたから」
なんだか『おばあちゃん』と呼ぶのが照れくさいようだ。いろいろあったが、姉は嬉しいのだろう。
「じゃあリル達の両親たちみたいに街を超えて愛し合う人達も出てきそうだね」
キュッカがそう言うと、姉が一瞬だけリルの方を見たような気がした。
「そうね、きっと……」
その言葉にリルは首を傾げた。なぜ自分の方を見るのかさっぱり分からない。それともさっきのは気のせいだったのだろうか。
「種族を超えるといえば、ジェマさんもですよね。黒豹の、アーロンさん、でしたっけ」
「愛し合うのに種族関係ないもの」
姉の言葉にジェマが即答している。全く迷いがない。
「関係、ないんですか?」
どうして念押しで聞こうと思ったのか自分でも分からない。でも、リルは自然と聞き返していた。
「関係ないよ。お互い好きだから付き合ってるの。ミーアちゃん達のご両親もそうでしょ」
そう言われるとそうなのだが、そうですね、と簡単には言えない。反対している人もたくさんいたのだ。
——犬なんかが猫獣人と仲良くしているのがおかしいのよ。
シピの言葉を思い出す。お友達関係すら難しいのだ。そういう意味では本当に両親は思い切ったなと思うのだが。
「そういう意味では、今はいいチャンスなのかもしれませんね」
姉がしみじみと言った。
「そうだよね。街の関係もこれから修復されようとするだろうしね。こんな事があったら」
キュッカも同意している。
なんのチャンスなんだろう。そんなに街を超えて結ばれたい人がいるのだろうか。
姉とフランクは外見的には猫獣人同士だし、問題はなさそうに思える。考えると、なんだかよく分からないもやもやした気持ちになるのだが。
リルがきょとんとしていると、姉が苦笑いをした。なんだか子供扱いされているようだ。同い年なのに姉の方が大人びているみたいだ。
やっぱり置いてきぼりにされている気がした。




