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9月20日
店の前を箒で掃いていると警報が鳴り響いた。今回の隕石がレベル2だと分かると視界に入る人々、全員が安堵の息を吐いた。私も彼らと相違なく息が漏れる。退避命令が出てしまっては掃除が終えられない。
私が月面基地に来てから数年が過ぎた。地球とは違い、武骨な宇宙服が普段着となる月にお洒落という概念を思い出させようと一人奮起した。地球から持って行ったのは流行りの布の服だった。月面の店で売っている布製の物はインナーのみで他には何もなかった。月面基地は大きなガラス膜で覆われており、隕石が当たるだけで穴が空き、最悪中に住む人々は窒息してしまう可能性がある。だから宇宙服を誰も手放せないでいた。宇宙に人が住めるようにはなったが、人間の技術はまだまだ未熟だ。いずれは宇宙服もなく過ごせるようになるだろう。
吐息で曇ったヘルメットを拭き、私は店内を埋める宇宙服を磨きに自動ドアを潜った。
今回の題材は 「几帳面なアパレル店員が月面基地にいる」です!
ちゃんと題材に沿えているか感想をいただければ幸いです!