金色の巨木
確かに、神々しいほど輝いています。そこに吸い込まれるように近付いていきます。何か本当にファンタジックな物語の世界に向かっているかの様です。ただのトンネルの出口なんですけど。出口の外は、照り返しの強い状況なのでしょう。もうかなり近くに来ているのですが、全く外の景色が見えないのです。 そして更に閃光の玉はどんどん大きくなり、ついに車を飲み込みました。カミーユも父親も一瞬目がくらみ、自分達が真っ白い空間に突き刺さった様になったのです。
その時、何か大きな文字のようなものが急に目に入って、それから・・・。
# ファンファンファンファン・・・
1時間程経ったでしょうか。高速道路で、警官が状況を本部に伝えています。
“緊急車両と救急隊が着きました。これから、事故車輌の移動と遺体の収容を行います。現在、故障停車したトレーラーの運転手に警察が事情聴取を行っているところです。”
# ギュイーン ゴゴゴゴゴ・・・
半分が潰れてしまった車体がカートレーラーに積み込まれていました。長閑な山の谷間に起こった、凄惨な交通事故の現場です。
そして一方で、カミーユは、意識が戻っていました。
『此処は、どこなんだろう。暗くて良く分からないよ。未だトンネルの中?』
「父さん。あっ、あそこが明るいぞ、きっとトンネルの出口だ。」
カミーユは、先程見ていた感じとは違うような気がしていましたが、明るく光っている所へ向かって行きました。
するとやがて、金色に輝いている20メートルはあろうかと思われる巨木が現れました。そしてそこに、沢山の人達が集まっているのです。
# *******
『これはいったい何だろう?』
そう思いながら近寄って行くと、何か分らないのですが皆、少しずつ巨木に向かって進んでいるようです。そこに並んでいる禿げ頭で、白い長髭の仙人の様なお爺さんに事情を尋ねてみことにしました。
「ねえ、おじいさん、此処は何処なの?」
声に気が付いたお爺さんは、一度カミーユの姿をじろじろと見定めてから返答しました
「お前さん、未だ子供なのにもう此処に来たんだねえ、残念だったのお。」
当然、自分の状態が分からないカミーユです。
「どうして残念なの?」
「それは、この後に神様が教えてくれるじゃろう。だが、安心して良いんだぞ。また、次がある。皆は、くじを引くために此処に来たんだよ。どうか良いことになりますように祈っとるんだよ。」
「くじを引く?、それは何のために?」
「もう3回目なんじゃがね、幸せになるためじゃよ。」
「幸せ?」