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たとえどんなに苦しくても…

作者: 優一 雫

この作品に目を向けてくださりありがとうございます。

悲しくも先が気になるこの作品を是非楽しんでください。

「おはよー」

そっと微笑みかけてくれる彼女…

俺はとても好ましい女性だと思った。


初めは話しかけるきっかけを探していた。いつだって理由がないと話しかけてはいけないものだと思っていたからだ。

しかし、彼女はそんなの関係なしに話しかけてきてくれる。そのうち俺は彼女と話す理由、彼女と会う理由を探さなくなっていた。


出会ってから半年が経った…

俺はあるひとつの決意をした。彼女に自分の気持ちを伝えよう…


俺は彼女を公園に呼び出した。

しかし彼女はいつまで経っても来ない。それでも俺は待ち続けた。

きっと交通機関のトラブルだろう…

きてくる服を迷っているのかな?

などの疑問を自分に言い聞かせて気持ちを落ち着かせていた。


だが、自分でもわかっているのだ。

待つことで自分の優越感に浸っていることを…

それでもそのままで居たかった。彼女が来てくれる。そう思い待ち続けることは自分の心にゆとりを持たせてくれるから…


夕方から夜に…

「そろそろ俺も帰るか…」

こんな時間まで待っていた俺はバカか?などと思っていたそのとき、周りがざわつき始めた。

周りの声を頼りにスマホでニュースに目をやった。

ニュースの内容はこうだった。


今夜7時ごろバスにトラックが追突。

原因はトラックの運転手が飲酒運転をしていて、反対車線に突っ込んだらしい。

死者は5名、重傷者3名、軽傷者10名


そんなニュースだった。この人たちはここの近くの病院に運ばれたという。


スマホをしまおうとした時、電話が鳴った。男友達からだった。

彼曰く、「知合いが事故に巻き込まれたから様子を見てきてほしい」とのこと。ついでだったので見に行ってやることにした。


病院に着くとたくさんの人がいた。しかしそれに見入っているより先に友達に連絡を入れてやろうとしたが電池はきれていた。仕方がないので公衆電話から掛けて無事を報せてっやった。


ついでに病院の中を回った。するとすれ違いざまに担架で運ばれている彼女の姿を見た。

すぐさま進行方向の向きを変えて彼女がいる方へと走った。しかし彼女は集中治療室に入った。

俺は出てきた看護師さんに話を聞いた。


彼女には家族がいないことを看護師に伝えると中に通してくれた。


俺はやっと会えたと思いながら彼女のベットの横に座った。


彼女は目を開けながら

「だ…れ……?」

と聞いてきた。


事情は先生から聞いていたので覚悟はしていた。


「失明」


らしい…


彼女を守れなかった無力感で泣き崩れてしまった。


「もしかして…マー君?」

痛いげな彼女を前にして泣きながらも、

「そーだよ」

「マー君、ゴメンね…。電話がね…充電切れちゃっててね…気づいたのが…遅くなったの…」

いまにも消えそうな声。

痛々しい彼女の姿。

「マー君。どんな…用事だったの…?」

「あぁ、そうだったな。話があるんだよ。辛そうだから答えなくていいから聞いてくれ。」

泣くことを我慢しながら彼女にこう告げた。

「俺と付き合ってくれないか?ずっと前から好きだったんだ。」

彼女は微笑みながらこちらを見た。


目が見えないはずなのに声を頼りにこちらを見た。


動かない体を動かした。


心配させまいと笑顔を見せてくれた。


「マー君…嬉しいな…。私のこと…好きでいてくれた…なんて…。私からも…よろしく…お願い…します…」

俺は嬉しくなって泣いた。

「マー君…大袈裟だよ…」

「すごく嬉しいんだ…」

「マー君…」

そう言って彼女は目を閉じた。

俺は薄いピンクの彼女の唇にそっと唇を重ねた。

「嬉しい…マー君…大好き…」

「俺もだ。大好きだよ…友希」


「ねぇ…マー君…これから先の話…しよ?」

俺はまたしても涙を流した。

「マー君…。これからは毎日…一緒だね」

「あぁ…」

俺の声は震えていた。

「マー君。そんなに嬉しいの…?」

「あぁ…」

「そうだ…病院から出られたら、デートしよ…。映画館…行きたいな。でも私…目が見えないんだった…エヘヘ…」

一生懸命に笑わせてくれようとする。

でも俺は不器用に笑うことしかできなかった。

「マー君…映画館のキャラクターのストラップ…青いの欲しいな…」

「分かったよ。今度一緒に買いに行こうか。」


しばらくして

「ねぇ…少し眠いの…。」

俺は泣きたい気持ちを我慢して、

「あぁ、次起きた時には退院出来るさ。だから、ゆっくりおやすみ。」

彼女が目を閉じた。


彼女は今日が山らしい…


3分後に彼女はこの世をたった。


次の日、彼女の葬式が行われた。そこでは彼女の友達が多く集まっていた。


俺は映画館で買ってきたキーホルダーを棺の中に入れてもらった。


彼女の葬式の後…

我慢ばかりしていた俺にも限界がきた。

俺は空に向けて叫んだ。


自分の無力さを。

自分の悲しさを。

彼女への想いを。


俺はきっと忘れることはできないだろう。

彼女は最後笑っていた。俺だって笑って終わらせたかった。


もういい…

彼女がいないなら…


しかし、彼女は俺に「生きて」と言っていた。


だからこそ…生き続けてやる…

彼女の分まで…




~fin~

読んでいただきありがとうございます。

良ければ評価等をお願いします。

コメントなどもどしどし!

夏休みの宿題に書くわ!少し内容変えて!

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― 新着の感想 ―
[良い点] とにかく、まっすぐなのがいい。 [気になる点] これって、コメディー? [一言] ジャンルはともかく、最後に言いたいことに向かって、妙なひねりやどんでん返しなしのストレート一本勝負。 題名…
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